立春の次に訪れる雨水。昔から農耕の準備を始める目安を考えられてきました。氷が溶け始め、雪が雨に変わり、冬を耐えた田畑に潤いが届けられる時季です。
今回は、雨水についての情報を詳しくご紹介いたします。
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雨水とは?
雨水は「うすい」と読み、24節季の中で2番目の節季になります。
季節
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季節の気配
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72候の分類 |
初春
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春一番
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初候:土脉潤起 |
次候:霞始靆 | ||
末候:草木萌動 |
雨水はどんな季節?どんな意味があるの?
雨水には、空から降る雪が雨へと変わり、雪や氷が溶けて水になるという意味があります。雪解け水で田畑が潤いを取り戻すことから、農作業の準備を始める目安として親しまれてきました。本格的な春の気配を身近に感じられ時季です。
雨水の季節の気配「春一番」
春一番は2月末から3月にかけてその年に初めて吹く強い南風です。この風が吹くと気温が上昇していくことから春をもたらす風とされました。名前の由来は長崎の漁師が「春一」と呼んだことから、このタイミングに吹く風を春一番と呼ぶようになりました。
今年の雨水はいつ?
2020年の雨水は?
雨水は立春から15日目に始まります。毎年2月19日〜3月5日ごろですが、その年の立春がいつから始まったかによって日付が変わりますので、毎年日付がピタリと同じというわけではありません。
今年の雨水を詳しく知りたい方は、下記の年間カレンダーをご参照ください。ちなみに、五節句の一つである桃の節句は、3月3日に行われます。
雨水 | 2020年 | 2月19日 |
2021年 | 2月18日 |
24節気・72候のまとめカレンダー
太陽の動きをもとに、1年を二十四に分けた「二十四節気」は、季節の指標となる大切な暦であり、古代中国が発祥です。
立春、立夏、立秋、立冬を区切りに4つの節気を設定し、それぞれの季節を更に6等分することで、正しく季節を把握するために使われてきました。
24節気 | 2021年 | 72候 |
立春 | 2月3日 | 東風解凍,黄鶯睍睆,魚上氷 |
雨水 | 2月18日 | 土脉潤起,霞始靆,草木萠動 |
啓蟄 | 3月5日 | 蟄虫啓戸,桃始笑,菜虫化蝶 |
春分 | 3月20日 | 雀始巣,桜始開,雷乃発声 |
清明 | 4月4日 | 玄鳥至,鴻雁北,虹始見 |
穀雨 | 4月20日 | 葭始生,霜止出苗,牡丹華 |
立夏 | 5月5日 | 蛙始鳴,蚯蚓出,竹笋生 |
小満 | 5月21日 | 蚕起食桑,紅花栄,麦秋至 |
芒種 | 6月5日 | 螳螂生,腐草為蛍,梅子黄 |
夏至 | 6月21日 | 乃東枯,菖蒲華,半夏生 |
小暑 | 7月7日 | 温風至,蓮始開,鷹乃学習 |
大暑 | 7月22日 | 桐始結花,土潤溽暑,大雨時行 |
立秋 | 8月7日 | 涼風至,寒蝉鳴,蒙霧升降 |
処暑 | 8月23日 | 綿柎開,天地始粛,禾乃登 |
白露 | 9月7日 | 草露白,鶺鴒鳴,玄鳥去 |
秋分 | 9月23日 | 雷乃収声,蟄虫戸,水始涸 |
寒露 | 10月8日 | 鴻雁来,菊花開,蟋蟀在戸 |
霜降 | 10月23日 | 霜始降,霎時施,楓蔦黄 |
立冬 | 11月7日 | 山茶始開,地始凍,金盞香 |
小雪 | 11月22日 | 虹蔵不見,朔風払葉,橘始黄 |
大雪 | 12月7日 | 閉塞成冬,熊蟄穴,魚群 |
冬至 | 12月22日 | 乃東生,麋角解,雪下出麦 |
小寒 | 1月5日 | 芹乃栄,水泉動,雉始 |
大寒 | 1月20日 | 款冬華,水沢腹堅,始乳 |
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上巳の節句(別名:桃の節句)
上巳の節句というよりも桃の節句という方が親しみがありますね。
「上巳」というのは3月上旬の巳の日を指し、節句は季節の変わり目や節目という意味が込められています。そのため元々、上巳の節句では紙、草、藁等を使った人形(ひとがた)を作り自分の厄を移して川に流すことで、節目の厄払いをしてきました。
日本での旧暦の3月3日の時期には桃の花が咲く頃でもありました。桃は中国では邪気を祓うとされ、日本でも魔除けの木とされていたため、桃の花が咲く頃=「上巳の節句」=「(連想しやすい)桃の節句」と呼ばれるようになったと言われています。
桃の節句(上巳の節句)の由来・意味とは?食べ物やお祝いの準備、マナー
雨水の七十二侯
初候:「土脉潤起」(2月19日~2月23日)
初候にあたる「土脉潤起」は「つちのしょううるおいおこる」と読みます。大地が潤い目覚めるころという意味で、冷たい雪が溶け、生き物が冬眠から目覚める時季をさします。
次候:「霞始靆」(2月24日~2月28日)
次候は、「霞始靆」。読み方は「かすみはじめてたなびく」です。その名の通り、ぼんやりと霞がたなびく時季です。ちなみに春のころは霞と呼ばれますが、秋に立ち込める場合は霧と呼ばれます。夜の霞は朧という名前です。
末候:「草木萌動」(3月1日~3月5日)
末候は「草木萌動」。読み方は「そうもくめばえいずる」です。新芽が芽生え、新しい生命の息吹が感じられる時季にあたります。
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雨水の候:手紙や挨拶状に時候の挨拶
書き出し
- 拝啓 雨水の候、○○様にはその後お変わりなくお暮らしのことと存じます。
- 拝啓 雨水の候、貴社におかれましてはなお一層のご発展のことと大慶至極に存じます。
- 拝啓 雨水の候、寒さもゆるみようやく春めいてまいりました。
結びの挨拶
- 余寒厳しき折、どうぞお身体を大切になさってください。
- 梅のつぼみもほころび、春はもうすぐそこ。皆様のご多幸をお祈りいたしております。
- 春の便りが待ち遠しいですね。お互い体に気をつけて、元気に過ごしましょう。
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旬の食材
うど
漢方でも活用荒れているうど。皮が硬いですが、しっかり剥くことで美味しく調理できます。穂先は天ぷら、茎は煮物、剥いた皮はきんぴらなど、色々な楽しみ方ができる食材です。
はまぐり
結婚式などの慶事の食材として一般的なはまぐり。ひな祭りにははまぐりのお吸い物が欠かせません。
菜の花
菜の花には観賞用の他に食用のものもあります。良質なタンパク質を含んでおり、炒め物などに適した食材です。気持ちをやわらげる効果も期待できます。
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旬の植物
猫柳
猫柳は、綿毛に覆われた独特の花をつけます。猫の尻尾に似ていることからこの名前がついたと言われている植物です。
オオイヌフグリ
小さな青い花をたくさん咲かせるオオイヌフグリ。花の周りには、蜜を求めて虫や鳥がよく集まっています。
ハコベ
ハコベは6月くらいまで開花する小さな白い花です。春の七草の一つとしても名前が知られています。
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旬の生き物
越年とんぼ
やごではなく成虫の姿で越冬する珍しいとんぼです。樹皮の影などをのぞくと、寒さをしのいでいる姿を観察することができます。
むつ
身が柔らかく、刺身だけでなく煮物にしてもおいしいむつ。定食屋さんのメニューで名前を見かけることが多い魚です。
飛魚
波間を飛び跳ねる行動が特徴的な飛魚は、実は春から夏にかけてが旬の魚です。煮干しとしても食されています。
まとめ
雨水は、冬の間姿を潜めていた生き物の息吹が、徐々に感じられる味わい深い時季です。江戸時代の頃はお伊勢参りが盛んに行われていました。本格化する春の気配を楽しみながら、旬の植物などを探してみてはいかがでしょうか。
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