お刺身など生魚を食べる時に気をつけたいものが、“アニサキスによる食中毒”。2017年には芸能人の渡辺直美さんや庄司智春さん・南海キャンディーズの山里亮太さんが発症し、大々的にニュースでアニサキス騒動として取り上げられました。
アニサキスはどんな魚に寄生し、どんな条件で食中毒は安全となるのでしょうか?今回は、
- アニサキスが寄生する魚・いない魚の特徴
- アニサキスの死滅条件は?
- アニサキスによる食中毒症状・対処法
- アニサキス以外の寄生虫には何がある?
これらのテーマについて解説いたします。
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目次
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魚に潜む主な寄生虫
魚の体内に潜んでいる寄生虫の中でも代表的なものは“アニサキス”です。アニサキスが人間の体内に入ると様々な食中毒症状を起こすわけですが、そもそもアニサキスはどんな特徴を持つ寄生虫なのでしょうか?
アニサキスとは?
アニサキスは海に生息する小さな寄生虫で、クジラやイルカなどの体内で生まれます。アニサキスの始まりは卵の状態で、クジラやイルカの排泄物と共に海に放出されます。
その後、アニサキスは海中で幼虫のような形状に羽化します。この時点でのサイズは大きくても長さ3cmほどです。その小さなアニサキスの幼虫は最初の住処として甲殻類などの動物プランクトンに寄生し、そこから生まれる食物連鎖によって寄生を繰り返します。
アニサキスが寄生している小さな甲殻類を小魚が食べ、その小魚を大きな魚が食べ…その魚を私たち人間が食べることによって、アニサキスによる食中毒を発症することとなります。
特徴 | 半透明の白色で糸状で魚に寄生している |
寿命 | 人の体内に入った後は約1週間 |
幼虫のサイズ | 長さ2~3cmで幅0.5~1mmくらい |
成虫のサイズ | メス:6〜10cm / オス:3〜9cm |
良く発見される魚 | サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類 |
アニサキスの色は半透明の白色で、幼虫のサイズは2〜3cmの糸状なので、気づかず食べてしまうことも多いです。
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魚など宿主の体内では成虫に成長しますが、人間の体内はアニサキスにとって環境が合わないため成虫にはならず、1週間以内に死滅します。しかし、その際アニサキスが胃や腸内の粘膜に潜り込むことによって激しい激痛などの食中毒症状が起こります。
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アニサキス以外の危険な寄生虫
アニサキス以外にはどんな寄生虫がいるのでしょうか?食中毒の原因となる危険な寄生虫をいくつか見てみましょう。
- サヨリヤドリムシ…ダンゴムシに似た白くて長さ1cm程度の寄生虫。秋〜冬に旬となるサヨリのエラに8割以上の確率で寄生している。マダイ・アジの口内に寄生することもあり、食べても害はない。
- ニベリニア…………楕円形で長さ5mm程度のイカに寄生しやすい乳白色の寄生虫。筋肉部分や体腔に付き、食べても害はない。
- テンタクラリア……米粒型の長さ5〜10mm程度の白い寄生虫。頭に4つの口先を持ち主にカツオの腹部に寄生するが、食べても害はない。
- ディディモゾイド…棒状・紐状・球形など形は様々で長さ1〜50mm。生きている時は黄色で死滅すると黒色に変化する寄生虫。寄生場所はエラ・ひれ・口腔・筋肉・卵巣など様々で、食べても害はない。
- サンマヒジキムシ…黒色で長さ7cmの黒い紐のような見た目をした寄生虫。サンマに寄生するが食べても害はない。
- ブリ糸状線虫………ブリの血合い部分に寄生している赤く細い糸状の寄生虫。大きくなると長さ20〜50cmにもなるが食べても害はない。
このように、アニサキス以外にも形や大きさ・寄生する魚の異なる寄生虫が様々いますが、食べても人体に害のないものが沢山あります。
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アニサキスは魚のどこにいることが多い?
寄生虫によって寄生する場所が異なりますが、アニサキスは魚のどこにいることが多いのでしょうか?それがわかれば食べる前に取り除きやすくなりますよね。
アニサキスは目視で見つけられるのか・発生率が高い部位はどこなのかについて解説します。
目視でチェックできる?
アニサキスは半透明の白色なので見にくいですが、大きさは幼虫でも長さ2〜3cmなので目視で確認することはできます。白身魚の場合は色が同化しているので発見しにくいですが、赤身魚であれば目に付くことが多いです。
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アニサキスの発生率が多い場所
アニサキスの発生率が多い場所・部位は下記になります。アニサキスが寄生しやすい魚を捌く時は、この部位に注意してみてください。
- 内臓
- 筋肉の部分
- 卵
アニサキスは魚の内臓部分を好んで寄生します。付着したら魚の体液をエサとして住み着くのですが、これは寄生している魚が生きている時の寄生場所です。その魚が死ぬと、アニサキスは魚の筋肉部分に移動していきます。
私たちは魚の内臓を生で食べることはないので魚が新鮮なうちはアニサキスを食べずに済むことが多いですが、 魚が死んでから時間が経っていると私たちが食用としている魚の筋肉部分に移動しているので、食べてしまう可能性が上がる のです。また、魚の卵に寄生していることもあります。
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アニサキス・寄生虫を含む主な魚102種まとめ
アニサキスを含む可能性のある魚には、いくつか種類があります。その魚の住む場所や食べるエサが、アニサキスが寄生するかどうかと関係しています。
アニサキスが寄生しやすい魚の種類には、お刺身で食べると美味しいものが多いので注意が必要です!アニサキスを含む魚の種類とその特徴について見てみましょう。
アニサキスが良く出る魚15種
サバ
サバ(鯖)は、スズキ目サバ亜目サバ科サバ属に分類される魚の総称です。お刺身やしめ鯖など、生食することも多く、アニサキスよる被害が多い魚の一つです。
旬の時期 | 7〜2月 |
生産地 | 茨城県・長崎県・静岡県など |
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アジ
アジ(鯵)は、アジ科アジ亜科に含まれる魚の総称のことですが、日本ではその中でも「真鯵」を指すことが多いです。他にも複数の種類が存在します。アジのアニサキス食中毒は、なめろう・アジのたたき・お刺身などの料理で起きています。
旬の時期 | 6〜8月 |
生産地 | 静岡県の沼津や伊東が有名 |
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サンマ
サンマ(秋刀魚)は、サンマ科サンマ属に分類される魚の総称で、秋の約1ヶ月間のみ出回る季節限定の魚です。サンマは焼き魚にして内臓まで食べることが多いため、生焼けの場合、内臓に寄生しているアニサキスを食べてしまい食中毒となることが多いです。
旬の時期 | 9〜10月と短い |
生産地 |
北海道が中心 /宮城県・岩手県などの東北地方 |
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カツオ
カツオ(鰹)は、サバ科に属する魚の総称で、日本では太平洋側を回遊している魚です。カツオのたたき・お刺身・なめろうなど生食が美味しく、アニサキスによる食中毒が多い魚です。アニサキスは白色なのに対し、カツオは赤身魚なので、捌く際に目視で発見できることもあります。
旬の時期 | 3〜9月→生産地によって異なる |
生産地 | 鹿児島県・静岡県など |
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イワシ
イワシ(鰯)は、ニシン科のマイワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシなどの魚の総称です。イワシは古くから庶民の食事を支えてきた魚です。一番の旬の時期は梅雨時と言われ、お刺身やお寿司などでアニサキスを食べてしまうことが多い。
旬の時期 | 5〜10月 |
生産地 | 長崎県・三重県・宮崎県・茨城県など |
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サケ
サケ(鮭)は、サケ科サケ属の魚で秋を旬の時期としています。アニサキスによる食中毒は、サーモンとして食べるお刺身やお寿司に多いですが、アニサキスは魚卵にも寄生するため、稀にイクラに混ざっていることもあります。
旬の時期 | 9〜11月 |
生産地 | 北海道・本州北部など |
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ヒラメ
ヒラメ(平目)はヒラメ科ヒラメ属の魚で、大きいものは1m以上にまで成長します。水深10〜200mの深い海に生息し、アニサキス以外にも“クドア”という寄生虫がいることもある。人がクドアを食べると下痢や腹痛を起こす危険な食中毒の一つです。
旬の時期 | 11〜2月 |
生産地 | 宮城県・青森県・北海道など |
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イカ
イカ(烏賊)は、判別されているだけで約450種以上といわれており、そのうち食用は約30種類です。日本でよく食べているイカは、コウイカ目とツツイカ目の2種類に分けられています。イカによるアニサキスの食中毒は、生の内臓を使ったイカの塩辛やお刺身で起きています。
また、“ニベニリア”という5mmほどの楕円形をした寄生虫も付きやすいですが、こちらは食べても害はありません。
旬の時期 | 7〜10月 |
生産地 | 八戸・函館・石巻・小木などの東北地域 |
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ニシン
ニシン(鰊)は、冷たい海域に生息し日本では富士以北のエリアで収穫されます。ニシンの卵は「数の子」で、縁起のよいものとしてお正月に食べられている食材です。
生食はあまり有名ではありませんが、お刺身としても食べられるため、アニサキスによる食中毒が起こり得る魚です。ニシンの卵である数の子は、加熱処理されているためアニサキスの被害はほとんどありません。
旬の時期 | 10〜12月 |
生産地 | 北海道・青森県・宮城県など |
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ハチジョウアカムツ
ハチジョウアカムツ(八条赤睦)は、フエダイ科ハマダイ属に属し、赤い鱗と白い身が特徴、アカムツとは別の魚です。小笠原諸島から沖縄県までの広い範囲での漁が可能で通年出回っており、お刺身やカルパッチョとして食べることができる。
旬の時期 | 不明だが通年水揚げ可能 |
生産地 | 小笠原諸島・鹿児島県・沖縄県など |
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マトウダイ
マトウダイ(馬頭鯛)は、マトウダイ科マトウダイ属の魚で、世界中に生息しています。ヨーロッパではムニエルにして食べられている高級食材ですが、日本では主に日本海側で食べられています。ムニエルや焼き魚以外ではお刺身として食べることができ、モチモチとした食感が特徴です。
旬の時期 | 秋〜冬の寒い時期 |
生産地 | 新潟県・静岡県・長崎県など |
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キンメダイ
キンメダイ(金目鯛)は、世界中に広く生息している鱗の赤い魚です。名前に「鯛」と付いていますが、真鯛などタイ科の仲間ではありません。キンメダイは煮付けが代表的な料理ですが、お刺身として食べても美味しいのでアニサキスによる食中毒が起きています。
旬の時期 | 12〜2月 |
生産地 | 静岡県の伊豆地方が有名 |
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イサキ
イサキ(伊佐裁)はスズキ目イサキ科の魚で、全長45cmほどに成長し胸ビレや腹ビレは黄色みがかっています。淡白な味ですが焼き魚・揚げ物・お刺身など料理のバリエーションは豊富です。
お刺身を食べる時に気をつけたいアニサキスですが、イサキには他にも“フィロメトラ”という寄生虫が付いていることがあります。食べても無害の寄生虫ですが、10〜20mmほどで卵巣内に寄生していることが多いです。
旬の時期 | 5〜7月 |
生産地 | 長崎県・福岡県・山口県など |
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アンコウ
アンコウ(鮟鱇)は肉や肝を使って「アンコウ鍋」として食べられることが多く、高級魚として扱われています。アンコウによるアニサキス食中毒は、あん肝を食べて起こることが多いです。加熱処理された料理ですが、完全に加熱できず半生だとアニサキスが死滅していない可能性があります。
旬の時期 | 12〜2月 |
生産地 | 山口県・島根県・茨城県など |
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真アジ
真アジ(真鯵)はアジの中でも代表的な品種で、旬の時期になるとなめろうやアジのたたきとして食べられています。生食が美味しい魚ですが、アニサキスが寄生しやすい魚なので注意が必要です。
旬の時期 | 6〜8月 |
生産地 | 静岡県の沼津や伊東が有名 |
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アニサキスは、上記のような魚介類に寄生しています。普段みなさんが食べている魚もたくさんあったのではないでしょうか?アニサキスが寄生する魚の種類は多く、生で食べることで食中毒を起こしてしまうので注意したいものです。では、逆にアニサキスを含まない魚にはどんなものがあるのでしょうか?
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アニサキス・寄生虫を含む主な魚102種
海の魚
アイナメ | アオハタ | アカハタ |
アカヤガラ | 鯵 | アンコウ |
イサキ | イシガレイ | 石鯛 |
イシナギ | イシモチ | イナダ |
鰯 | ウスメバル | ウマヅラハギ |
オオモンハタ | カサゴ | カタクチイワシ |
カツオ | カワハギ | カンパチ |
キジハタ | 金目鯛 | クエ |
クロソイ | クロダイ | コショウダイ |
コノシロ | ゴマサバ | コロダイ |
サバ | さより | サワラ |
サンマ | サヨリ | シイラ |
ししゃも | シマアジ | シロギス |
スケトウダラ | スズキ | 鯛 |
たら | タチウオ | チダイ |
トビウオ | ニシン | のどぐろ |
ハタハタ | ひらめ | ハマチ |
ハモ | ヒラスズキ | ヒラマサ |
ヒラメ | ふぐ | ブリ |
ヘダイ | ホウボウ | ホッケ |
ボラ | マアジ | マイワシ |
まぐろ | マゴチ | マダイ |
マダラ | マトウダイ | マナガツオ |
マハタ | メジナ | メジマグロ |
メバル | ワラサ |
川の魚
アメリカザリガニ | 鮎 | うなぎ |
サケ | ワカサギ | 鯉 |
アトランティックサーモン |
海藻・貝類
わかめ | 海ぶどう | あさり |
あわび | さざえ | しじみ |
はまぐり | ムール貝 | |
ホタテ |
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アニサキスを含まない魚の5つの特徴
魚の中には、アニサキスが寄生しないものもあります。アニサキスがいる魚としない魚には、どのような違いがあるのでしょうか?アニサキスを含まない魚の特徴について解説します。
養殖の魚
1つ目は養殖の魚です。海とは別の場所で養殖されている魚は、食べているエサや環境が決まっているので物理的にアニサキスを食べる機会がありません。
元々アニサキスは、クジラやイルカの排泄物から生まれます。その排泄物を食べた小さな生き物を魚が食べる食物連鎖によって、私たちが食べている魚にアニサキスが寄生することになるのですが、養殖場ではアニサキスを交えた食物連鎖が起こらないため、アニサキスを含むことがないのです。
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淡水魚、淡水のカニ・エビ
2つ目は淡水魚・淡水のカニやエビです。 アニサキスは海に生息する寄生虫で、淡水では生きることができません 。従って、淡水魚や淡水に住むカニやエビにはアニサキスが寄生していないのです。
しかし、海と淡水の交わるエリアに生息している魚についてはグレーゾーンです。淡水魚稀にアニサキスが寄生していることもあり、絶対にいないとは言い切れないので注意しましょう。
淡水魚や淡水のカニ・エビには他の寄生虫がいることも
アニサキスの危険性は無い淡水に住む魚介類ですが、淡水特有の寄生虫がいることはあります。“メタセルカリア”という寄生虫で、別名“横川吸虫”とも言われています。
鮎(アユ)やシラウオ・ウグイなどの淡水魚に寄生するもので、生で食べると腹痛や下痢を起こすことがありますが、食べても症状が出ないことも多く、加熱すれば死滅するのでそれほど危険性はありません。
貝類
3つ目は貝類です。プランクトンをエサとする二枚貝や、その二枚貝やゴカイ類などを食べる肉食の巻貝なども含め、総じて貝類にはその食性からアニサキスはいないと言えます。
貝類には貝特有の「貝毒」という食中毒がある
アニサキスはいない貝類ですが、貝には貝特有の“貝毒”という食中毒があります。貝毒は二枚貝が毒素を持ったプランクトンを餌として食べ、体内にその毒を蓄積させることで起こります。この毒は熱処理をしてもなくならず、毒をもっている時点で食べることはできなくなります。
都道府県では有害プランクトンの発生状況を定期的に調査し、二枚貝について、都道府県や生産者により定期的な貝毒検査が行われています。そのため市販の貝類で貝毒による食中毒を起こすことはほとんどありませんが、 潮干狩りなど自分で収穫した貝類を食べる時は注意 が必要です。
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アニサキスを食べない一部の海水魚
4つ目はアニサキスを食べない海水魚です。アニサキスが生息する海の魚にも、アニサキスを食べない海水魚がいます。アニサキスはオキアミから始まり、イワシなどの小魚、そして最後は鯨やイルカなどを寄生宿とします。この食物連鎖に入らない魚が、アニサキスを含まない魚の種類です。
このように、食べるエサの種類が異なるためアニサキスが寄生することがないのです。
海底を住処とし主なエサがアニサキスを含まない魚介
5つ目は海底を住処とする魚介類です。海底のエサは海面近くとは異なり、アニサキスを含んでいません。こうした魚たちの食生活の違いにより、アニサキスがいない魚介類もいるのです。海底を住処とするためアニサキスを含まない主な魚類は下記になります。
タコ・アナゴ・ウツボ・カニ類・エビ類・シャコ・カサゴ(ガシラ)・ハゼなど
寄生虫(アニサキス)から確実に予防する6つのステップ
食べると激しい腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こすアニサキスですが、確実に予防できる方法はいくつかあります。予防するための6つのステップは下記になります。
アニサキスから身を守る6つのポイント
- 新鮮な魚を選び早めに内臓を取り除く
- 目視で幼虫の有無をチェックする
- しっかりと噛むようにする
- 刺身(生食)を控える
- 冷凍する(-20℃で24時間以上)
- 70℃以上で加熱する
アニサキスによる食中毒を起こさないポイントは、主に鮮度・加熱・冷凍です。アニサキスは加熱や冷凍すれば死滅し、死滅したものは食べてしまっても体に害はありません。
新鮮な魚を食べるに越したことはないお刺身やお寿司ですが、一度冷凍することでアニサキスが死滅するので安全に食べることができます。また、アニサキスが死滅する加熱温度が決まっているので生焼けにも注意が必要です。
確実にアニサキスを殺すには
冷凍で死滅させる (-20℃で24時間以上冷凍)
アニサキスを死滅させる方法の1つは“冷凍処理“です。-20度で24時間以上冷凍することで、完全にアニサキスは死滅します。
家庭用の冷蔵庫・冷凍庫ではアニサキスが死ぬくらいの温度にならないので死滅しない
家庭用の冷凍庫の設定温度は、だいたい-18度となっています。-18度だとアニサキスの死滅温度としては足りないため、24時間以上冷凍しても完全に死なないことがあるので要注意です。
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加熱で死滅させる(70℃以上、または60℃なら1分)
アニサキスを死滅させる方法の1つは“加熱処理“です。70度以上で加熱することでアニサキスは死滅しますが、60度でも1分加熱すれば死滅します。
アニサキスのいる可能性のある魚を加熱する際のポイントは、加熱温度が重要です。電子レンジ加熱だと温度が死滅温度に達しず、また加熱ムラも出るためオススメしません。しっかり火を通し熱処理するには、フライパンや魚焼きグリル・オーブンなど高温で加熱できる方法が良いでしょう。
流行りの低温調理は温度が足りずアニサキスが死滅しないので注意!
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6つの調理別にみるアニサキスの注意度
魚の調理法には様々なものがありますが、調理法によってどのくらい危険性があるのか見てみましょう。
アニサキスによる食中毒は生魚で起こるものなので、 お刺身やお寿司を食べる際は要注意レベル となります。ですが、回転寿司で扱われている魚類は一度冷凍処理されたものがほとんどなので、比較的安全と言えます◎
干物に関してはアニサキスが寄生している内臓を処理しているため安全度は高く、また、魚が死んだ後に筋肉部分に移動していても食べる際に焼いてしまうので安全でしょう。
焼き魚・煮魚・天ぷらは加熱温度が高いので、アニサキスの死滅条件である「70度以上」に達するため安全と言えます。
4つの調理方法でみる間違ったアニサキスの殺し方
アニサキスの死滅条件は加熱と冷凍です。中には”殺菌できそうだから”といって間違った方法でアニサキス対策をする人もいるようなので、注意しましょう。
- 酢じめ(酢漬け)
- 塩漬け
- わさび
- アルコール(ウィスキー)
一般的な料理で使う食酢での処理・塩漬け・醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。死滅させるには冷凍か加熱をしっかり行ってください
アニサキスはアルコールに強く、2.5〜10%濃度のアルコール飲料内で 5 日間生存、14〜25%アルコール飲料内でも平均 5.6 時間生存します。
あくまでも温度の決まった冷凍処理か加熱処理でしか死滅させることができないので、それ以外の方法は効かないので注意しましょう。
なぜアニサキス(寄生虫)を食べると食中毒になるの?
なぜ食中毒になるの?
アニサキスによる食中毒は、みぞおちや腸の激しい痛みや嘔吐を生じます。これはアニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こすからです。
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どんな症状になる?何時間後から症状がでる?
アニサキスが胃の粘膜に刺入した時はみぞおち辺りに激しい痛みを生じ、腸の粘膜に刺入した時は下腹部に激しい痛みを生じします。痛みが出るのは主に胃・腸ですが、そのほとんどが胃のケースであることが多いです。
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- 急性胃アニサキス症(ほとんど)…食後数時間後~十数時間後に、みぞおちの激しい痛み・悪心・嘔吐を生じる
- 急性腸アニサキス症(稀)…食後十数時間後~数日後に、激しい下腹部痛・腹膜炎症状を生じる
- 消火器外アニサキス症(稀)…消化器官を突き破り他の部位に移動することで症状を生じるが、非常に稀なケース
- アニサキスアレルギー…通常無害であるアニサキスの死骸でも、腹痛や蕁麻疹などのアレルギー症状を生じる
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アニサキスアレルギーはアニサキス症とは別物です。アニサキスアレルギーはアニサキスに含まれるタンパク成分に反応して発症するので、アニサキスがいるかどうか、死滅できているかどうかは関係ありません
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アニサキスの症状が出る確率はどのくらい?
アニサキスの症状が出る確率は、あるレポートによると 『1,000万円の宝くじが当たる確率と同じくらい』 と言われています!
その理由というのは、アニサキスによる食中毒の年間発生件数と全国民が1週間に1度お刺身を食べると仮定して計算した数値です。診療報酬明細書から計算した年間のアニサキス発生件数は、約7,000件にも及ぶと言われています。
「全国民(1億2,500万人)」が「毎週1度生魚を食べて(年間約50回)」年間7,000件発症した場合、1/90万の確率でアニサキスによる食中毒を発症していることとなる
1/90万の確率というのは、ズバリ宝くじで1,000万円を当てるのと同じくらいの確率だそうなのです。アニサキスの発症率と1,000万円の宝くじが当たる確率が同等なら、断然宝くじの方が良いですよね…!
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アニサキスを食べてしまったらどうすればいい?
アニサキスを食べてしまうと 激しい腹痛が起こります。アニサキスによる食中毒が疑われる際は、速やかに医療機関を受診してください。
アニサキスは人の体内に入ると1週間以内に死滅しますが、痛みが激しいので自然治癒は難しいです。医療機関では胃や腸の粘膜に刺さったアニサキスを取り除く処置が行われることが多いです。
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アニサキスを食べてしまった後の対処方法
まずは病院で内視鏡検査を!
アニサキスによる食中毒が起きて病院に行った場合、どの消化器官に刺さっているのか内視鏡検査が行われます。粘膜に刺入していることが激しい痛みの原因であるため、アニサキスを取り除く処置をされることが多いでしょう。
軽度で病院に行かない場合
アニサキスによる食中毒は、場合によっては病院に行かなくても良いことがあります。
- 自然治療で回復:アニサキスは体内に入ると1週間以内に死滅するため、痛みが弱ければ様子を見て自然治療で治すことも可能
- 正露丸(胃腸薬):アニサキスによる下痢止めとして正露丸などの胃腸薬で乗り切ることも可能
- ロキソニンで痛み止めの応急処置:一時的な応急処置としてロキソニンなどの痛み止めを飲むことで症状を緩和させることも可能
無症状の人もいます
アニサキスを食べてしまったけど症状が軽かったり、症状が出ないという人も実際にはいらっしゃいます。それでも万が一の場合もあるので病院に行っておくのがおススメです。アニサキスの滞在期間を自然治癒で治したという事例もあります。
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まとめ
この記事をまとめると
- アニサキスは海水魚の内臓や筋肉部分に寄生し、生食することで食中毒を起こす
- 死滅条件は①-20度で24時間冷凍 ②70度以上で加熱
- アニサキスを含まない魚類の特徴①養殖 ②淡水魚 ③貝類 ④生息地が海底 ⑤エサのルートに無い
- 食中毒症状は激しい痛みや下痢→病院で内視鏡検査となる
アニサキスは生で食べると強い食中毒症状を引き起こす危険な寄生虫ですが、冷凍や加熱処理をすることで死滅するので下処理が大切となります。死滅したアニサキスは体内に入っても無害なので安心しましょう。
魚の種類や部位によってアニサキスの有無が異なるので、生で魚類を食べる時はアニサキスがいる可能性があるのかどおうかのか、注意して食べるようにしてみてくださいね。