日本で9番目に使用者が多い家紋が「橘紋(たちばなもん)」です。
「橘」とは、蜜柑のようか形をした果物のこと。その読みに「太刀」をあてはめ「太刀花」とされることもあり、武家との関係が漂います。その橘門の成り立ちと由来、家紋の種類を解説します。
目次
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橘紋とは
読み方 | たちばなもん |
家紋の分類 | 植物紋 |
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橘はミカン科の常緑小高木で、「右近の橘、左近の桜」と称される日本固有の植物です。小さく香りの強い実を付け、桃の節句には桃と共に飾られます。この風習は奈良時代頃から始まったようです。
家紋としては平安時代末期頃から用いられるようになり、特に西日本で多く用いられました。橘紋は、十大家紋の一つでもある代表的な家紋です。
橘一族の家々や、武家の井伊氏、薬師寺氏、土田氏、小寺氏、安芸氏などが使用していました。井伊氏が使用していたものは井伊橘、薬師寺氏のものは薬師寺橘と呼ばれています。
他に、一つの橘の花をモチーフにしたシンプルな橘や、二つの橘を使った抱き橘、沢山の花を使った花橘などがあります。
10大家紋には何がある?
日本には、実に25,000以上の家紋があると言われていますが、中でもよく使用されている家紋を「日本10大家紋」と呼んでいます。
そのうち、 【藤・桐・鷹の羽・木瓜・片喰】を5大家紋と呼び、【蔦、茗荷、沢瀉、橘、柏】を加えて10大家紋と呼びます。10大家紋の解説をまとめましたので時間のある方は是非チェックしてください!
藤紋 | 桐紋 | 柏紋 | 蔦紋 | 沢瀉紋 |
茗荷紋 | 鷹の羽紋 | 橘紋 | 片喰紋 | 木瓜紋 |
詳しくはこの記事をチェック!
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いつの季節でも葉が多い繁ることから「永遠」を意味すると言われた「橘」
橘の家紋は「橘氏」から生まれた?
時は奈良時代。県犬養三千代という女性が、その時代の女帝に「橘」の姓を授かりました。その流れから、三千代の子供たちにも「橘」の姓が与えられ、ここから「橘氏」が始まります。
この時はまだ家紋はできていませんが、橘の姓から橘紋が生まれたことは容易に想像できます。現に、橘氏の家紋は「橘紋」ですからね。
文化勲章の花として
橘の花は、文学や芸能で優れた功績を残した人におくられる「文化勲章」に使用されていることで知られています。もともとは桜の花が使用される予定でしたが、昭和天皇の意向により差し替えられました。
理由は「桜は葉も華も散ることが武将の潔さを表すものとして使用されてきた。しかし、橘の葉は季節にかかわらず多い繁っていることから、永遠を意味する。文化勲章は永遠のものなので、橘の方がふさわしいのでは」とのこと。
これにより、文化勲章には橘の花が使用されるようになったのです。
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日本の文化の中での橘
「万葉集」の中にも登場する橘は、桃の節句に欠かすことができない花としても大切にされてきました。
日本の生活と文化に深く根付き、愛されてきた花だからこそ「橘」の家紋がここまで広がったと考えることもできそうです。
「橘紋」の種類!どんなものがあるのかを解説
「丸に橘」と「井伊橘」の違いとは?
橘紋の中でも、とりわけ有名なのが丸で囲んでいる家紋。これは、戦国時代の武将・井伊直政が使用したことから有名になりました。しかし、「丸に橘」と「井伊橘(彦根橘)には違いがあるので注意です。
井伊橘
戦国時代に、徳川家康の家臣として活躍した猛将・井伊直政の家に伝わる家紋です。
井伊直政の養母は、2017年の大河ドラマにもなった井伊直虎。井伊家の祖となり人物は「井戸から生まれた」と言われていて、その時に手に持っている花が「橘」だったことから橘紋になったと言われています。「彦根橘」とも呼ばれているそう。
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丸に橘紋
「井伊橘」とよく似ていますが、よく見ると少し形が違います。
間違いやすいですが、花のヘタの部分などがちょっと違います。見分け方を覚えておきましょう。
他の橘紋
橘
橘紋の、基本の基本になる家紋がこちら。橘氏が使用していたのも、この家紋でした。
橘崩し
橘の葉が、丸く縁になるように描かれているものです。
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変わり橘蝶
日本の家紋は、植物の家紋であっても生き物に姿を変えている者も多いのですが、とりわけ蝶に関しては多くの種類が作られているようです。
橘菱
橘の花が、まるでひし形のようになっている家紋です。
家紋はひし形のものも多いですね。
橘に水
橘の花が、水に流れる様子を描いたもの。
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井筒に橘
「日蓮宗」が使用している家紋です。
日蓮宗は井伊家と縁が深いため、橘紋を使用している可能性があるそうです。
橘紋まとめ一覧
橘 | 丸に橘 | 久世橘 | 丸に三つ足橘 | 石持ち地抜き橘 |
五瓜に橘 | 橘崩し | 向かい橘 | 三つ橘 | 丸に三つ橘 |
三つ割り向こう橘 | 団扇橘 | 角立て井筒に橘 | 井桁に菊座橘 | 丸に組み合わせ枡に橘 |
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橘紋を使っていた戦国武将・著名人
井伊直政
徳川家康の忠臣として有名な井伊直政の家紋が「橘紋」です。
井伊家は今川家とつながっていた時期があり、その時に跡継ぎの男児をどんどん暗殺されてしまっています(諸説あり)。その中で、唯一残されたのが直政でした。
井伊家を守るために還俗した井伊直虎は、かつての婚約者の子である直政を守り抜き、徳川家康の重臣になるほどの猛将に育て上げたのです。
「関ヶ原の戦い」の後に直政は死んでしまいますが、きちんと子孫を残し井伊家の未来をつないでいます。
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井伊直虎
井伊直政の養母・井伊直虎の家紋も橘紋でした。
直虎は直政の父と婚約関係にありましたが、井伊家の後継ぎとなる男子が次々と命を落とし暗殺される可能性があったため、国を脱出。二人は結ばれることはありませんでした。
その後、婚約者は別の女性と結ばれて井伊家に戻ったものの、やはり途中で命を落としてしまいます。直虎は、婚約者とその妻の間に生まれた直政を井伊家の跡取りとして育て上げました。
2017年の大河ドラマの主人公になったことで、一気に知名度が上がった直虎。しかし、近年の発見で「男性だった可能性」も指摘されています。
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前田玄以
織田信長の家臣。
その後は豊臣秀吉に仕え「五奉行」と呼ばれました。
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その他の著名人
井伊直弼
井伊直政の子孫であり、幕府の大老として活躍した人物です。
「安政の大獄」で譲位志士を多数殺害したことで恨みを買い、さらに天皇の許可を得ないまま黒船で日本にやってきたペリーと条約を結んでしまったため、「安政の大獄」で暗殺されてしまいます。
井伊家の子孫ですから、もちろん家紋も「井伊橘」です。
井伏鱒二
日本を代表する文豪、井伏鱒二。「山椒魚」や、原爆をもとにして描かれた「黒い雨」が有名です。また、太宰治の面倒を見た人物としても高名。
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