ホウボウはかつて高級魚としても扱われ、その旨味・甘み・身の柔らかさから美味しいと言われている魚です。お刺身としても食べることができますが、そこで気になるのが寄生虫問題です。ホウボウには、アニサキスとフィロメトラという2つの寄生虫が入る可能性があります。今回は、
- ホウボウにはどんな寄生虫がいる?
- アニサキス・フィロメトラの特徴
- ホウボウのどんな食べ方・調理法が危険?
- アニサキス食中毒になる原因・対処法
これらのテーマについて紹介いたします。
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目次
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ホウボウってどんな魚?
特徴
“ホウボウ”は、カサゴ目亜目ホウボウ科ホウボウ属に属する魚です。胸ビレが大きいのが特徴で、海底の砂底に生息しています。非常に美味しいと言われる白身魚で、刺身・焼き魚・ムニエル・煮付け・干物など料理のバリエーションは豊富です。
『ホウボウ』という名前の由来には、様々な説があります
- 頭が大きくごつごつしているため「方帽」に由来したという説
- 海底を「這う魚」という語源が変化したという説
- 鳴き声が「ほうぼう」という音に似ているという説
ホウボウの身は、ほどよく柔らかくて甘み・旨味があり、しっとりして濃厚な味わいをしています。以前はフグや鯛と並ぶくらいの高級魚として扱われていました。
ホウボウの体長は30〜40cmが平均ですが、中には50cmにまで成長するものもあります。
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旬の時期
ホウボウの旬の時期は、11〜2月となっています。この時期のホウボウは産卵期前で脂がのっており、溶けるような口溶けです。
生産地
ホウボウは、北海道南部から九州・沖縄県までの広い地域で獲ることができます。
ホウボウにはどんな寄生虫がいる?
ホウボウは生で食べることもある魚ですが、そこで気になるのが“寄生虫”です。寄生虫は魚が死んでも内臓部分や筋肉部分に寄生したまま生きていることが多く、そのまま食べると食中毒を起こす原因となることがあります。
ホウボウには、どんな寄生虫が潜んでいる可能性があるのでしょうか?
- アニサキス
- フィロメトラ
ホウボウには、“アニサキス”と“フィロメトラ”という寄生虫が寄生している可能性があります。アニサキスに関しては、食べると激しい腹痛・嘔吐・下痢などの 食中毒症状を引き起こす危険なもの です。
フィロメトラに関しては食中毒となることはなく、万が一食べてしまっても人に寄生するものではありません。主に魚の卵巣内に寄生しています。
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ホウボウのどんな食べ方・料理法が危険?
アニサキスは、魚が死んでいてもアニサキスを生きた状態で食べると下痢や腹痛などの食中毒症状が現れます。ホウボウは生で食べることもできるので、注意すべき食べ方・調理法がいくつかあります。
- お刺身
- お寿司
- たたき
- なめろう
- カルパッチョ
ホウボウを生食するには、お刺身やお寿司などオーソドックスなものやたたき、お洒落なカルパッチョなどがあります。
一度冷凍処理したホウボウであれば、万が一混入しているアニサキスも死滅しているので食べても問題ありませんが、一度も冷凍せずそのままの状態で調理した場合はアニサキスが生きたまま混入している可能性が高いです。
たたきやなめろうに関しては、アニサキスごと刻んでいることが多いので危険性は低くなります。
お刺身・お寿司・カルパッチョ>>>たたき
続いては、ホウボウに寄生している可能性のある寄生虫アニサキスとフィロメトラについてです!
フィロメトラってどんな寄生虫?
見た目・大きさ
フィロメトラの大きさは、長さ10〜20mmのミミズのような形をしています。色は黒褐色です。
食中毒・害は?
見た目がかなり気持ち悪いので食中毒の危険性が疑われますが、フィロメトラに毒性はなく、万が一食べてしまっても人に害はありません。
寄生している魚介類
フィロメトラは、主にカサゴ・マゴチ・メバルなどに寄生している寄生虫です。
寄生場所は?
フィロメトラは基本的に魚の卵巣部分に寄生しています。1匹の魚に数百匹のフィロメトラが寄生していることもあるので、対象の魚の内臓を扱う際は注意しましょう…!
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アニサキスはどんな寄生虫?
魚の体内に潜んでいる寄生虫の中でも代表的なものは“アニサキス”です。アニサキスが人間の体内に入ると様々な食中毒症状を起こすわけですが、そもそもアニサキスはどんな特徴を持つ寄生虫なのでしょうか?
アニサキスとは?
アニサキスは海に生息する小さな寄生虫で、クジラやイルカなどの体内で生まれます。アニサキスの始まりは卵の状態で、クジラやイルカの排泄物と共に海に放出されます。
その後、アニサキスは海中で幼虫のような形状に羽化します。この時点でのサイズは大きくても長さ3cmほどです。その小さなアニサキスの幼虫は最初の住処として甲殻類などの動物プランクトンに寄生し、そこから生まれる食物連鎖によって寄生を繰り返します。
アニサキスが寄生している小さな甲殻類を小魚が食べ、その小魚を大きな魚が食べ…その魚を私たち人間が食べることによって、アニサキスによる食中毒を発症することとなります。
特徴 | 半透明の白色で糸状で魚に寄生している |
寿命 | 人の体内に入った後は約1週間 |
幼虫のサイズ | 長さ2~3cmで幅0.5~1mmくらい |
成虫のサイズ | メス:6〜10cm / オス:3〜9cm |
良く発見される魚 | サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類 |
アニサキスの色は半透明の白色で、幼虫のサイズは2〜3cmの糸状なので、気づかず食べてしまうことも多いです。
魚など宿主の体内では成虫に成長しますが、人間の体内はアニサキスにとって環境が合わないため成虫にはならず、1週間以内に死滅します。しかし、その際アニサキスが胃や腸内の粘膜に潜り込むことによって激しい激痛などの食中毒症状が起こります。
アニサキスの見つけ方|目視は可能?
アニサキスは半透明の白色なので見にくいですが、大きさは幼虫でも長さ2〜3cmなので目視で確認することはできます。白身魚の場合は色が同化しているので発見しにくいですが、赤身魚であれば目に付くことが多いです。
アニサキスの発生率が多い部位
アニサキスの発生率が多い場所・部位は下記になります。アニサキスが寄生しやすい魚を捌く時は、この部位に注意してみてください。
- 内臓
- 筋肉の部分
- 卵
アニサキスは魚の内臓部分を好んで寄生します。付着したら魚の体液をエサとして住み着くのですが、これは寄生している魚が生きている時の寄生場所です。その魚が死ぬと、アニサキスは魚の筋肉部分に移動していきます。
私たちは魚の内臓を生で食べることはないので魚が新鮮なうちはアニサキスを食べずに済むことが多いですが、 魚が死んでから時間が経っていると私たちが食用としている魚の筋肉部分に移動しているので、食べてしまう可能性が上がる のです。また、魚の卵に寄生していることもあります。
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なぜアニサキス(寄生虫)を食べると食中毒になるの?
なぜ食中毒になるの?
アニサキスによる食中毒は、みぞおちや腸の激しい痛みや嘔吐を生じます。これはアニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こすからです。
どんな症状になる?何時間後から症状がでる?
アニサキスが胃の粘膜に刺入した時はみぞおち辺りに激しい痛みを生じ、腸の粘膜に刺入した時は下腹部に激しい痛みを生じします。痛みが出るのは主に胃・腸ですが、そのほとんどが胃のケースであることが多いです。
- 急性胃アニサキス症(ほとんど)…食後数時間後~十数時間後に、みぞおちの激しい痛み・悪心・嘔吐を生じる
- 急性腸アニサキス症(稀)…食後十数時間後~数日後に、激しい下腹部痛・腹膜炎症状を生じる
- 消火器外アニサキス症(稀)…消化器官を突き破り他の部位に移動することで症状を生じるが、非常に稀なケース
- アニサキスアレルギー…通常無害であるアニサキスの死骸でも、腹痛や蕁麻疹などのアレルギー症状を生じる
アニサキスアレルギーはアニサキス症とは別物です。アニサキスアレルギーはアニサキスに含まれるタンパク成分に反応して発症するので、アニサキスがいるかどうか、死滅できているかどうかは関係ありません
アニサキスの症状が出る確率はどのくらい?
アニサキスの症状が出る確率は、あるレポートによると 『1,000万円の宝くじが当たる確率と同じくらい』 と言われています!
その理由というのは、アニサキスによる食中毒の年間発生件数と全国民が1週間に1度お刺身を食べると仮定して計算した数値です。診療報酬明細書から計算した年間のアニサキス発生件数は、約7,000件にも及ぶと言われています。
「全国民(1億2,500万人)」が「毎週1度生魚を食べて(年間約50回)」年間7,000件発症した場合、1/90万の確率でアニサキスによる食中毒を発症していることとなる
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寄生虫(アニサキス)から確実に予防する6つのステップ
食べると激しい腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こすアニサキスですが、確実に予防できる方法はいくつかあります。予防するための6つのステップは下記になります。
アニサキスから身を守る6つのポイント
- 新鮮な魚を選び早めに内臓を取り除く
- 目視で幼虫の有無をチェックする
- しっかりと噛むようにする
- 刺身(生食)を控える
- 冷凍する(-20℃で24時間以上)
- 70℃以上で加熱する
アニサキスによる食中毒を起こさないポイントは、主に鮮度・加熱・冷凍です。アニサキスは加熱や冷凍すれば死滅し、死滅したものは食べてしまっても体に害はありません。
新鮮な魚を食べるに越したことはないお刺身やお寿司ですが、一度冷凍することでアニサキスが死滅するので安全に食べることができます。また、アニサキスが死滅する加熱温度が決まっているので生焼けにも注意が必要です。
確実にアニサキスを殺す2つの方法には
確実にアニサキスを殺すには冷凍と加熱処理が確実です。
- 冷凍で死滅させる (-20℃で24時間以上冷凍)・・・アニサキスを死滅させる方法の1つは“冷凍処理“です。-20度で24時間以上冷凍することで、完全にアニサキスは死滅します
- 加熱で死滅させる(70℃以上、または60℃なら1分)・・・70度以上で加熱することでアニサキスは死滅します(60度でも1分加熱すれば死滅)
冷蔵庫の温度・低温調理には要注意
冷凍と加熱処理で確実に撃退することが可能ですが、以下の2点の注意が必要です。
- 家庭用の冷蔵庫・冷凍庫ではアニサキスが死ぬくらいの温度にならないので死滅しない
- 流行りの低温調理は温度が足りずアニサキスが死滅しないので注意!
食中毒などにならないためにも確実な対策をしておきましょう。
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アニサキスを食べてしまった後の対処方法
まずは病院で内視鏡検査を!
アニサキスによる食中毒が起きて病院に行った場合、どの消化器官に刺さっているのか内視鏡検査が行われます。粘膜に刺入していることが激しい痛みの原因であるため、アニサキスを取り除く処置をされることが多いでしょう。
軽度で病院に行かない場合
アニサキスによる食中毒は、場合によっては病院に行かなくても良いことがあります。
- 自然治療で回復:アニサキスは体内に入ると1週間以内に死滅するため、痛みが弱ければ様子を見て自然治療で治すことも可能
- 正露丸(胃腸薬):アニサキスによる下痢止めとして正露丸などの胃腸薬で乗り切ることも可能
- ロキソニンで痛み止めの応急処置:一時的な応急処置としてロキソニンなどの痛み止めを飲むことで症状を緩和させることも可能
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アニサキス・寄生虫を含む主な魚102種まとめ
アニサキスを含む可能性のある魚には、いくつか種類があります。その魚の住む場所や食べるエサが、アニサキスが寄生するかどうかと関係しています。
アニサキスが寄生しやすい魚の種類には、お刺身で食べると美味しいものが多いので注意が必要です!アニサキスやその他の寄生虫含む主な魚を102種類まとめました。
海の魚
アイナメ | アオハタ | アカハタ |
アカヤガラ | 鯵 | アンコウ |
イサキ | イシガレイ | 石鯛 |
イシナギ | イシモチ | イナダ |
鰯 | ウスメバル | ウマヅラハギ |
オオモンハタ | カサゴ | カタクチイワシ |
カツオ | カワハギ | カンパチ |
キジハタ | 金目鯛 | クエ |
クロソイ | クロダイ | コショウダイ |
コノシロ | ゴマサバ | コロダイ |
サバ | さより | サワラ |
サンマ | しめ鯖 | シイラ |
ししゃも | シマアジ | シロギス |
スケトウダラ | スズキ | 鯛 |
たら | タチウオ | チダイ |
トビウオ | ニシン | のどぐろ |
ハタハタ | ひらめ | ハマチ |
ハモ | ヒラスズキ | ヒラマサ |
ヒラメ | ふぐ | ブリ |
ヘダイ | ホウボウ | ホッケ |
ボラ | マアジ | マイワシ |
まぐろ | マゴチ | マダイ |
マダラ | マトウダイ | マナガツオ |
マハタ | メジナ | メジマグロ |
メバル | ワラサ |
川の魚
鮎 | うなぎ | アトランティックサーモン |
鯉 | サケ | サーモントラウト |
ワカサギ |
甲殻類
アメリカザリガニ | アオリイカ | ウニ |
エビ | ケンサキイカ | コウイカ |
スルメイカ | 生タコ | ヤリイカ |
海藻・貝類
わかめ | 海ぶどう | ケンサキイカ |
コウイカ | 生タコ | ヤリイカ |
エビ | ムール貝 | サザエ |
ホタテ |
まとめ
この記事をまとめると
- ホウボウに寄生している寄生虫は、①アニサキス ②フィロメトラ
- アニサキスは生きたまま食べると腹痛・下痢・嘔吐など食中毒症状を起こす
- フィロメトラの寄生場所は魚の卵巣!食べても害はないが見た目がキツイ
- 危険なホウボウの食べ方は、刺身・お寿司・たたき・なめろうなど
ホウボウにはアニサキスとフィロメトラの2種類の寄生虫がいる可能性がありますが、フィロメトラは卵巣部分、アニサキスも魚が死ぬまでは内臓部分に寄生しています。一度冷凍処理すればアニサキスも無害化するので、生食する際は下処理をしっかり行っていることが重要です!
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