さっそくですが、皆さんは6次産業という言葉をご存知ですか?第1次産業は農業・水産業、第2次産業は製造業や建築業など…なんて、思い出される方が多いかもしれませんね。
6次産業とは農業経済学者の今村氏が提唱した造語で、農業や水産業などの第1次産業が生産だけに留まらず、食品の加工や流通までを手がけることで生産者の思いを消費者にダイレクトに伝えられるビジネスモデルと近年増加傾向にある取り組みです。
そういった動きのおかげで、最近では古臭いイメージがあり親しみを持てなかった「伝統野菜」の存在が注目されています。伝統野菜には、改良され安定的に供給されやすい野菜に比べて栄養素も高いといった研究発表もあるようです。今回は、そんな伝統野菜の1つである万木かぶについて詳しく見ていきましょう。
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目次
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万木かぶってどんなかぶ?
読み方 | ゆるぎかぶ |
旬の時期 | 11月頃 |
主な生産地 | 滋賀県高島市安曇川町西万木地区 |
種類 | 赤かぶ、中~小かぶ |
読み方
万木(ゆるぎ)かぶと読みます。万木とは、滋賀県の琵琶湖西岸に位置する高島市安曇川(あどがわ)町にある西万木(にしゆるぎ)の地名を指しており、滋賀県を代表するカブの1つです。
万木かぶの由来はまだ詳細にわかっていないようですが、古くからこの地で栽培されていた「蛭口(ひるぐち)かぶ」と白かぶが自然交雑したものを明治時代に選抜したものと言われています。当時は、栽培農家の名前から「藤助かぶ」と呼ばれていたようですが、次第に地名にちなんだ万木かぶと呼ばれるようになったそうです。
万木かぶは根こぶ病に弱いため、1990年頃には根こぶ病に耐性のある「近江万木かぶ」という品種が開発され、現在は近江万木かぶとして多く販売されています。
特徴(サイズ、味、形状など)
万木かぶは表皮が鮮やかな紅色をしており、土の上より飛び出している部分だけでなく土の中に埋まっている根先部分まで真紅に染まります。直径10cmくらいの丸い形をしており、中身は白色・葉部分は淡い緑色をしています。肉質は程よい硬さがあるので歯ごたえが非常に良く、お漬物に最適です。
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万木かぶの旬の時期と主な生産地
ここからは、万木かぶの旬の時期や主な生産地について詳しく見ていきます。万木かぶは、日野菜かぶ・北之庄菜かぶ・赤丸かぶなど同じく近江の伝統野菜の1つです。
現在日本で栽培されているカブは、東日本(ヨーロッパ型)と西日本(アジア型)の2つの由来で区別されることが多いのですが、滋賀県は日本の中心に位置しているので様々な品種のカブが栽培されている珍しい地域で、かぶ王国とも言われることもあります。
旬の時期はいつ?
万木かぶは11月頃が旬です。9月上旬頃~種蒔きをされ、11月頃~大きく育ったものから順次収穫されます。
琵琶湖の東地域などでは11月~12月頃の木枯らしが吹き始める季節になると、琵琶湖湖岸にお漬物にするための万木かぶが大きなハサに掛けられハサ干し(天日干し)される光景を見ることができます。
地元ではこの万木かぶのハサ干しが晩秋の風物詩になっており、ハサ掛けされ冷たい風で干されている真紅の万木かぶに冬の訪れを感じるそうです。
主な生産地はどこ?
万木かぶは、滋賀県高島市安曇川町の西万木地区を中心に三尾里地区など周辺地域で栽培されています。生産される多くの万木かぶはお漬物業者との契約栽培になっているため、加工された万木かぶが主に出荷されるようです。
最近では、万木かぶの需要の高まりなどから発祥地の湖西地方だけでなく湖東地域でも栽培されており、滋賀県内で広く栽培されているようです。
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万木かぶの価格相場ってどのくらい?
ここからは万木かぶのカブ価について詳しく見ていきます。近江の伝統野菜の1つである万木かぶは、生産地域が限られていることやお漬物業者との契約栽培が主流なこともあり、希少性の高い野菜と言えます。また、栽培農家さんの高齢化もあるので今後は益々減少する可能性もあります。
スーパーだと
万木かぶは、お漬物業者との契約栽培が主流なため、一般市場に流通することはほぼありません。そのため、地元のスーパーでも見かけることは無い可能性が高いです。栽培地域は昔に比べ拡大してはいますが、生産量が限定的なことと栽培農家さんの高齢化もあり希少性は高いです。
しかし、万木かぶをお漬物に加工したものは多く流通していますので購入できます。種類も豊富なので、見つけた際には食べてみてくださいね。
ネット通販だと
近年、農家さんの直売ネット通販なども人気なため、数は多くはありませんがタイミングが合えば購入できる可能性があります。また道の駅・野菜マルシェなどでも見つけられる可能性はあります。また、お漬物専門店では万木かぶのぬか漬けや甘酢漬けなどが販売されている場合もあるので、ぜひ探してみてくださいね。
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かぶの主な栄養成分と期待できる6つの効果
根の部分だけではなく、葉も美味しく食べることができるかぶ。ただ後で調理しようと置いておいたら葉っぱがしなびてしまって使い物にならない、なんて勿体ないことにならいないようにきちんと保存しておきたいですよね。
かぶを美味しく食べられる保存方法と冷蔵・冷凍・常温の3種類の目安期間をお伝えしていきます。
かぶの主な栄養成分表(100g当たり)
エネルギー | 20kcal |
水分 | 93.9g |
たんぱく質 | 0.7g |
炭水化物 | 4.6g |
灰分 | 0.6g |
ナトリウム | 5mg |
カリウム | 280mg |
カルシウム | 24mg |
リン | 28mg |
鉄 | 0.3mg |
亜鉛 | 0.1mg |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンC | 19mg |
食物繊維総量 | 1.5g |
食品成分表(可食部 100gあたり)
かぶの主な栄養素:根部分
- ビタミンC:抗酸化作用があり、ビタミンEと協力して有害な活性酸素から体を守る働きがあります。また、コラーゲンの合成には必須で、鉄分やカルシウムなどのミネラル吸収を高める効果もあります。水溶性のため、汁物にすると効率よく摂ることができます。
- 分解酵素アミラーゼ(ジアスターゼ):体が栄養を十分に吸収するために食べた物を消化する働きをする消化酵素の1つです。特に、炭水化物の1つであるデンプンの消化を行う働きをします。
- イソチオシアネート:口にした時に感じる辛みのもとで、消化機能を高める働きがあります。殺菌作用があるので、発がん物質の毒性を解毒して排出するとも言われています。免疫力を高める効果もあります。
かぶの主な栄養素:葉
- β-カロテン:人間の体の酸化を防ぐ抗酸化作用が強く、免疫力を高めます。またビタミンAが足りない時には変換されることでビタミンAの働きも担います。
- カリウム:ナトリウムとともに、神経刺激の伝達や心臓機能や筋肉機能の調節、酵素反応の調節などの働きをします。必須ミネラルの1つで、体内にある余分な塩分を体外に排出する効果があります。
- カルシウム:骨や歯などを作るだけでなく、筋肉収縮のコントロールや神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進効果があります。
- ビタミンB1:ブドウ糖をエネルギーに変換する際に、必要な栄養素で疲労回復効果が高いです。
- 葉酸:「造血のビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに血液の赤血球生産を助けたり、細胞の生まれ変わりに関わる働きがあります。特に胎児・乳幼児期・成長期の子どもの発育に必要不可欠な成分であるとされています。
- 鉄:人間の血液を運ぶ赤血球に含まれるヘモグロビンの材料として使用されます。加えて、体内に存在する酵素の材料にもなりエネルギー代謝や肝臓での解毒の働きに関わっているミネラルです。
- ビタミンE:強い抗酸化作用、加えてコレステロールの酸化を防ぎ血流を良くする働きを持っています。また、毛細血管の収縮を抑制することで、細くなった血管が広がることで血流の悪化による体の不調改善効果もあります。
カブを食べて期待できる6つの効果・効能
実際にかぶを食べるとどのような効果が期待できるのでしょうか。代表的なものをまとめてみました。
- 高血圧の予防
- 便秘の予防・改善
- 老化の抑制
- 貧血の予防・改善
- 骨粗鬆症予防
- 抗がん作用
詳しくはこの記事をチェック!
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かぶの保存方法|冷蔵・冷凍・常温の保存期間の目安
根の部分だけではなく、葉も美味しく食べることができるかぶ。ただ後で調理しようと置いておいたら葉っぱがしなびてしまって使い物にならない、なんて勿体ないことにならいないようにきちんと保存しておきたいですよね。
かぶは腐るとどうなる?どこまで食べられる?
かぶを見極める上で大切なポイントはコチラです。腐っているのかセーフなのか、臭いや見た目・感触などをよくチェックしてみてくださいね。
食べても大丈夫な状態
- 触感:多少柔らかくなっている程度であればOK
- 見た目:少しだけ萎んでいる程度ならOK
腐っているので食べるとダメな状態
- 臭いで判断:腐った臭いがする
- 見た目で判断:茶色・黒・青色に変色している
- 感触で判断:ぶよぶよして柔らかくなっている
詳しくはこの記事をチェック!
カブの保存期間の目安を解説
かぶを美味しく食べられる保存方法と冷蔵・冷凍・常温の3種類の目安期間をお伝えしていきます。
- 冷蔵での保存期間の目安:根は1週間、葉は2〜3日間
- 冷凍での保存方法の目安:1ヶ月
- 常温での保存方法の目安:1ヶ月
詳しくはこの記事をチェック!
もちろん保存期間は、あくまでも目安になるのでできるだけ早く食べると美味しいです。上手に保存して根の部分も葉の部分も美味しくいただきましょう。
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おすすめの食べ方
万木かぶは、かぶの中でも甘みが強いのが特徴的です。肉質が程よい堅さなため食感も良いので、あまり手を加え過ぎない調理法がベターです。加熱調理する際は過熱し過ぎると色味が飛んでしまうため、さっと火を通す程度にしましょう。煮物の際は、煮崩れに注意が必要です。
薄く切ってそのまま生食でサラダにしても美味しく頂けますし、ぬか漬けや甘酢漬けは地元の名産品にもなっているほどで、その美味しさから多くの方に根強く愛され続けています。
ちなみに、万木かぶの生産者さん達の間では、万木かぶを薄切りしたものに昆布と柚子の皮とを一緒に浅漬けにした「あちゃら漬け」と呼ばれるシャキシャキとした食感を楽しめるお漬物にして食べられているそうですよ。
当サイトのかぶの人気コンテンツを4つまとめました。是非色々見ていってくださいね(^^♪かぶの人気コンテンツをチェックしよう
カブ3種類31品種をまとめて紹介!色付き?丸い?長い?春の七草をおいしく食べる
カブの主な栄養成分と期待できる7つの効果・効能!根も葉もそれぞれ栄養たっぷりの野菜
かぶの保存方法まとめ|冷蔵・冷凍・常温での保存期間の目安はどのくらい?
かぶのおススメレシピ10選|ほっこり優しい冬野菜・かぶを美味しく食べよう!
まとめ
今回は万木かぶについて詳しく見てきました。万木かぶは、滋賀県高島市安曇川町の西万木地区を中心に栽培されている滋賀県を代表する近江の伝統野菜の1つで、表皮が紅色をした中小かぶです。
中身は白く、肉質は程良い硬さをしておりとても甘みがあるので、地元の名産にもなっているぬか漬けや甘酢漬けなどのお漬物にされることが殆どです。
栽培地域が限定的なことや契約栽培が主流なため、一般市場で出回ることはほぼなく希少性の高いカブです。琵琶湖湖岸にハサ干しされた万木かぶは、地元の晩秋の風物詩にもなっているほどで現在でも沢山の人に愛されているカブです。運良く見つけられた際には、ぜひ一度食べてみてくださいね。
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