春の山菜の一つに“わらび”がありますが、「毒性がある」と聞いたことはありますか?天然の毒性分を持つわらびですが、食べ方によっては副作用など危険性が伴うようです。どのように調理すれば安全に食べることができるのでしょうか?今回は、
- わらびには毒性がある?
- 発がん性 / ワラビ中毒とは
- あく抜きはする?しない?
- 食べ過ぎるとどうなるの?
これらのテーマについて紹介いたします。
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目次
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わらびってどんな山菜?
学名 | Pteridium aquilinum |
分類 | ワラビ科ワラビ属 |
原産地 | 温帯〜熱帯地方 |
別名 | ワラビナ、ヤワラビ、シトケ、サワラビ |
英語名 | bracken |
おいしい時期 | 3月〜5月 |
わらびは、日本全国の山などに自生している山菜の一つです。長い茎は地中にも伸びており、根っこは「わらび餅」の原料として使われています。先端はくるくると巻いているのが特徴で、葉は柔らかく緑色をしています。春の時期を旬とする季節の野菜です。
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わらびに毒性はある?
山菜料理として食べられているわらびですが、『プタキロサイド』という天然毒が含まれています。これが”わらびには毒性がある”と言われる原因成分です。
“プタキロサイド=アク”なのですが、あくは植物が虫などの外敵から身を守るために生成している天然の毒性分です。
プタキロサイドは、調理前の下処理(あく抜き)によって取り除くことが可能ですが、そのまま食べると食中毒症状を起こしてしまいます。通常の食用わらびであれば問題はないとされています。
わらびに含まれるアクによる食中毒症状には、このようなものがあります。
- 下痢
- 腹痛
- 嘔吐
- 倦怠感
- 死亡(大量摂取した場合)
わらびのアクには、主に下痢や嘔吐・腹痛といった食中毒症状を起こす危険性があります。
生食できる?
わらびは山菜の中でも特にアクが強く、生のまま食べると食中毒を起こしてしまうほどと言われています。そのため、わらびは生で食べることができません。わらびを食べる際は下処理をし、加熱調理して食べるのが基本です。
また、生のままだとビタミンB1を破壊する酵素「チアミナーゼ(別名:アノイリナーゼ)」という成分も含まれています。チアミナーゼによって引き起こされる症状には、下記のようなものがあります。
- 精神症状
- 神経症状
- 運動器症状
- ウェルニッケ脳症(→目の震え/ふらつき/意識障害など)
- 脚気(→手のしびれ/食欲不振/倦怠感/むくみなど)
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わらびを食べ過ぎるとどうなる?
わらびは下処理し調理すれば、毒性による体への影響はないとされています。しかし、大量に食べ過ぎるとリスクが伴います。その原因となっているのは、わらびが持つ天然毒のプタキロサイドです。プタキロサイドによる危険性には、どのようなものがあるのでしょうか?
発がん性
プタキロサイドには、発がん性があることがわかっています。特に膀胱や盲腸、回腸に発癌する可能性が高く、過剰摂取は危険とされています。プタキロサイドは、家畜がわらびを食べて大量死したことをきっかけに発見されました。
わらび中毒
わらびを食べて中毒症状を起こす“ワラビ中毒”というものがあります。主に牛や馬などの家畜に起こるもので、『急性中毒』と『慢性中毒』の2パターンが存在します。
- 急性中毒…短期間に大量摂取すると発症
→骨髄の造血機能低下と全身粘膜の出血を特徴とする症状を起こし、高確率で数日以内に死亡 - 慢性中毒…膀胱に腫瘍ができ、血尿などの症状を発症
急性中毒の場合、高確率で死亡するのでわらびの危険性は高いのです。しかし、これは毒性分を取り除く方法である「あく抜き」をせずに大量摂取した際に起こり得るものなので、そこまで怖がる心配はありません◎
わらびはアク抜きする?しない?
わらびをあく抜きせずにそのまま食べてしまうと、①苦みやえぐみが強い ②食中毒を起こす といったトラブルが起こります。食中毒症状については、先ほどお話した下痢や腹痛・吐き気などが主なものです。
あく抜きせずに食べると味自体もあまり美味しくないので、わらびを食べる時は下処理として絶対にあく抜きが必要になります。
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アク抜き方法
わらびのあく抜き方法は、重曹を使うのが一番効果的です。
- 水1リットルに対して小さじ1/2の重曹を用意する
- 沸騰させたら火を止めてわらびを入れる
- 浸けたまま半日そのまま放置する
→わらびがお好みの柔らかさになったら完了!
重曹なし・お湯のみ
重曹を使うあく抜きが一番効果的な方法ですが、重曹がなくお湯だけで茹でるのはあまりオススメではありません。肝心なアクを抜くには弱いです。その場合、代わりに塩を入れることでお湯だけで行うよりも効果的になります。
あく抜き失敗した時は…
上記でご紹介したあく抜き方法を試してみても、それでもまだわらびが苦い・えぐみがあることがあります。あく抜きを失敗した時の対処法としては、「小麦粉を使う」方法があります。
あく抜きに失敗したわらびを再度、小麦粉を入れたお湯で茹でることでアク抜きすることができます。小麦粉のアクをどんどん出させ吸着させる成分のおかげで、短時間で簡単にアク抜きできるようです。
小麦粉の代用として片栗粉は使える?という疑問があるようですが、小麦粉と片栗粉は成分が違うので代用できません。小麦粉を使ってアク抜きしましょう
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まとめ
この記事をまとめると
- わらびにはプタキロサイドという天然毒が含まれる!
- プタキロサイド=アクなので、あく抜きすれば安全に食べることができる
- プタキロサイドには発がん性があることが確認されている
- 生食すると食中毒症状を起こす可能性が高いのでNG
わらびには発がん性を持つ毒性分が含まれていますが、しっかり下処理すれば安心して食べることができます。ワラビ中毒に関しては家畜による事例となっているので、生のまま大量摂取しなければ問題ありません◎春を感じる季節の山菜なので、是非旬の時期に味わってみてくださいね。
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