米油は危険って本当?どうして体に悪いといわれるの?安全な植物油の選び方を紹介

皆さんはほとんどの料理に「食用油」を使用しますよね。食用油にはサラダ油、オリーブオイル、菜種油、ごま油など様々な油がありますが「米油」という油はご存知ですか?米油は名前の通り、米から作られた植物油でとても栄養価に優れた食用油です。ですが米油にはいくつか悪い噂もあるのです。今回の記事では米油がいわれている危険性や米油の栄養素について紹介していきます。

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米油とは?

米油は他の油に比べて「油のにおいがほとんどない」という特徴を持っており、どんな料理にも合わせやすい油です。米油特有のクセなどもないので、炒め物料理のほかにもお菓子作りの際によく使用されます。

米油は古くから日本人の生活を支えていた食材といわれており、江戸時代には既に使われていたといいます。

原料は?

米油の原料は「米ぬか」です。米ぬかというのは、白米に精製する前の「玄米」の表面にあるもので、白米にするときにほとんどが取り除かれます。米ぬかはたくさんの栄養が含まれており漬物や家畜の餌、肥料などに使用されます。米ぬかには良質な油がふくまれているので、そこから油だけを抽出したものが米油になります。

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どんな栄養が含まれているの?

米油にはたくさんの栄養が含まれています。いくつかピックアップしてご紹介いたしますね。

  • オレイン酸
  • リノール酸
  • α-リノレン酸
  • ビタミンE
  • γオリザノール
  • トコトリエノール
  • 植物ステロール

これらの成分は高い抗酸化作用や、血液の流れを良くして血圧を下げる働き悪玉(LDL)コレステロールを下げてくれる働きがあるのでとても健康的な成分です。

抗酸化ってどういうこと?
私たちの体は酸素を利用してエネルギーを作りだしています。酸素を利用すると同時に「活性酸素」というものが常に体内で生じています。この活性酸素が厄介で、私たちの細胞を傷つけ被害をもたらす働きがあります。活性酸素は老化、がん、シワ、しみ、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因となります。

 

活性酸素は年齢とともに増えるとも言われていますが、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線なども活性酸素が増える原因です。活性酸素を増やす因子は身の回りにたくさん存在しています。この活性酸素によって酸化を抑えることを抗酸化と言い、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用と言います。抗酸化とは体の中を錆びつかせない(酸化を抑えること)ことです。

 

一般的に活性酸素は体内の酵素によって分解されていきますが、分解できる量が決まっており大抵は分解できずに体に残ってしまいます。抗酸化物質を積極的に摂取することで、活性酸素を分解する酵素の働きをサポートしてくれ酸化を抑えることができるのです。

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米油の抽出法

米油の抽出方法には大きく分けて「2種類」あります。

圧搾抽出法

圧搾抽出法は「圧搾機」という、高い圧力をかけて油を米ぬかから取り出す方法です。この方法のメリットは「化学薬品を使わないので非常に安全性が高い」ということや「栄養成分が残りやす」ことです。

しかし圧搾抽出法は、一度の抽出できる量が少ないので量が作れないというデメリットがあり、「他の抽出法に比べて価格が高くなりやすい」です。

溶剤抽出法

溶剤抽出法は「ノルマルヘキサン」と呼ばれる化学溶剤を使って油を抽出する方法です。この方法だと一度に大量の米ぬかから米油を抽出することができます。米ぬかに含まれる油を効率よく抽出することができるので、圧搾抽出法よりも大量の米油が手に入るため「価格が安い」というメリットがあります。

しかし溶剤抽出法は米ぬかを「加熱」しながら抽出する方法なので、加熱する中で体に有害な脂肪酸として知られる「トランス脂肪」が発生するリスクがあります。さらに加熱してしまうといくつかの健康的な成分も失われてしまうなどのデメリットが存在します。

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米油が危険といわれる理由は?

悲しい

カネミ油症事件の風評被害

カネミ油症とは、昭和43年に日本の広域で発生した「米油による食中毒」のことを指します。当時米油を生産していた、カネミ倉庫社が製造した米油にいくつかの食中毒を引き起こす成分が含まれていたことから問題になりました。

このような事件があったので、米油は品質や内容物のチェックがかなり厳しくなりました。現在の米油には食中毒を引き起こす成分が含まれないようになっているので、むしろ安全性の高い油といえます。

一度食中毒を起こした過去があって、風評被害によって「米油=危険」というイメージが強く残ってしまったということです。

溶剤抽出法の成分が危険?

過去の食中毒事件以外にも、先ほどお伝えした化学溶剤の「ノルマルヘキサン」をつかった溶剤抽出法が危険だ、という情報から米油=危険とイメージが強くなってしまったという人もいます。

確かにノルマルヘキサンには「毒性」が確認されています。長期間にわたってノルマルヘキサンを摂取すると「多発性神経炎」という、私たちの体中の神経を傷つけてしまう原因になるのです。

ノルマルヘキサンは非常に危険な成分ですが、米油を生産する段階で「完全に取り除かれる」のです。ノルマルヘキサンの沸点は低く、高温で油を加熱すると蒸発してなくなります。多くのメーカーではノルマルヘキサンが完全に消えるまで徹底して加熱するので、ノルマルヘキサンの残留の失敗は全くないのです。

揚油は何回まで使える?

揚げ物で使う油は「大体3回くらいまでなら使える」といわれています。それ以上になると揚げ物の味が美味しくなくなったり、見た目が黒くなってしまったり、最悪の場合は体に害を与える成分が発生してしまうこともあります。これは油の「酸化」によるものです。

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米油は食べてはいけないの?

どんなもの?

米油が危険といわれる理由をお伝えしました。総評すると「米油は安全な食品」と言えるでしょう。私たちが恐れている食中毒やノルマルヘキサンによる神経へのダメージの心配はほとんどありません。

トランス脂肪酸もごく少量なので心配いらない

米油を溶剤抽出法で抽出する過程で「高温加熱」するとお伝えしましたね。その際に「トランス脂肪酸」という体に害を与える可能性のある脂肪酸が生成されてしまうという可能性もあります。

ただしこのトランス脂肪酸もごく少量であり、体に影響がないレベルであると国が認めているため過剰に心配する必要はありません。

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安心な米油の選び方

圧搾抽出法なら安心

より安全で安心な米油を選びたい方は、「圧搾抽出法」で作られた米油を選びましょう。これならば先ほどから話題になっている「ノルマルヘキサン」も使用しておりませんし、「トランス脂肪酸」が入り込む余地はありません。さらに栄養素も溶剤抽出法にくらべてかなり残った状態ですので、健康効果が高いといえます。

しかしスーパーで安価で売られている米油はほとんどが「溶剤抽出法」で生成された米油なので、購入する際はしっかり食品表示を確認してから選ぶようにしてくださいね!

代用品には何がある?

米油の代わりにお菓子作りに使える油を紹介していきましょう。

<米油の代用品として使える油>

  • サラダ油
  • 「白」ごま油(通常のごま油とは別物で香りが非常に少ない)
  • ココナッツオイル
  • オリーブオイル
  • グレープシードオイル
  • マーガリン

これらがお菓子作りの際に使うことができる油です。上記の油の特徴は「比較的クセがない」「その油特有の強い香りがしない」ということです。お菓子作りは素材の香りや味が大切になってきます。そこで癖の強い油を使用してしまうと、油の味が強く出てしまうのでおいしさを損ねてしまうのです。

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まとめ

この記事をまとめると

  • 米油は米ぬかから抽出した非常に健康効果の高い油!
  • 米油の抽出法には圧搾抽出法と溶剤抽出法の2パターンがある!
  • より安心な油を選びたいなら圧搾抽出法で生成された米油を選ぼう!

今回のように食品についての様々な知識を紹介しています。他にもたくさんの記事を掲載していますので、ご興味のある方は是非ご覧になってみてください。

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