温海カブの特徴・旬の時期まとめ|山形県の伝統野菜で暗紫色の皮が特徴的な色付きカブ

近年、カブに限らず様々な野菜の地産地消の呼びかけが進んでいます。住んでいる地域で栽培された野菜は、その地域の土壌や水に合っているため素材の美味しさを活かした調理ができることや、出荷から販売までの時間も短いことから鮮度の良さが魅力です。

また住んでいる地域について知る事で郷土愛を高めるだけでなく、生活していく上での知恵を養うこともできることから最近の教育現場では地元農家さんの話を聞いたり、実際に収穫・調理を通じての体験学習の機会も増えています。今回は、特に地域に愛され続けている温海カブについて詳しくみていきます。

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温海かぶってどんなかぶ?   

読み方 あつみかぶ
旬の時期 10月上旬頃~12月頃
主な生産地 山形県鶴岡市温海一霞(ひとかすみ)地区
種類 赤カブ、中カブ

読み方

温海(あつみ)かぶと読みます。山形県庄内地域を代表する伝統野菜の1つとしても知られており、栽培は江戸時代からされていたと言われています。特に発祥地とされる温海町一霞の集落では、古来から温海かぶ以外のアブラナ属の植物の栽培をしないことで、温海かぶの種子の純度を守り続けてきたそうです。

また温海かぶは焼畑農業での栽培でも有名で、急傾斜の地形にて8月の盆の時期に炎天下の中で焼畑が行われ種播きをされます。現代においても伝統的な製法にこだわり続けており、本物の美味しさを味わえると高く評価されています。

特徴(サイズ、味、形状など)

温海かぶは表皮が濃い赤紫色、中身は白色の赤カブの1つです。直径10cm程度の中カブ肉質はやや硬く引き締まっており、味わいは甘みの中に少し特有の辛味があります。温海かぶは焼畑農法で栽培されるのが通常なため、無農薬での栽培となり葉の部分に虫食いが多く見られることがあります。

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温海かぶの旬の時期と主な生産地  

ここからは、温海かぶの旬の時期と主な生産地について詳しく見ていきます。温海かぶは希少な焼畑農法で栽培されているため、生産に適する地形や土壌が非常に限られています。また基本的に無農薬・無肥料での栽培なため、生産量も限られています。

温海かぶの種は一般に販売されており庄内地域でも広く栽培されていますが、温海かぶと名乗れるものは厳密には温海地域で栽培され・栽培法の基準を満たしたものだけとされています。

旬の時期はいつ?

温海かぶの旬は10月上旬~12月頃です。温海地域では8月の盆頃に焼畑され、余熱が残っているくらいの頃に種蒔きされます。栽培中は間引き程度の手入れのみで、大きく実ったものを10月頃から次々と収穫していきます。

温海かぶの収穫は畑が雪に覆われる12月頃まで続けられており、収穫されたかぶの多くがお漬物へと加工されるそうです。

主な生産地はどこ?

温海かぶは、山形県鶴岡市温海一霞(ひとかすみ)地区を中心に栽培されています。一般家庭用の種なども販売されており庄内地域で広く栽培もされていますが、伝統的な温海かぶと認定され名乗ることができるものは、温海地域で焼畑農法で栽培されたものに限られています。

そのため、温海かぶと名乗っているものは焼畑農法の影響から無農薬・無肥料栽培されたものしかありません。

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温海かぶの価格相場ってどのくらい? 

ここからは、温海かぶのカブ価について詳しく見ていきます。温海かぶは特別栽培農産物として認証されるために、独自で設けた水準を満たしたものにだけ認証シールを貼って出荷されています。

特別栽培農産物として認証されるためには、天然ミネラルが多く含まれ化学肥料の不要な土壌の使用・焼畑農法による栽培・栽培期間中に無肥料・無農薬で栽培などの非常に厳しい条件をクリアしなければなりません。正真正銘の温海かぶと言えるかぶは特定された栽培法と限られた地域ででしか収穫できないため、一般市場にはほぼ出回りません。

スーパーだと

一般的なスーパーでは、購入は困難と言えそうです。焼畑農法で栽培されて「温海かぶ」を名乗れるものは、生産量が少なく地元のスーパーでも見かけることはほぼ無いようです。近年、人気が高まる道の駅・野菜マルシェ・農家さん直売所などでは、タイミングが合えば見かけることもできるようです。

しかし地元でも販売される際は行列になることも少なくなく、人気があることは間違いありません。温海かぶの加工されたお漬物が販売されている場合もあるので、お試しになられたい方はお漬物を探してみても良いかもしれませんね。

ネット通販だと

お取り寄せブームなこともあり、自宅に居ながらもお手軽に遠方の食べ物も手に入れることができるようになってきました。野菜通販ネットや、農家さんが運営するネット店などでタイミングが合えば購入も可能です。1kg単位での購入が多く、相場は温海かぶの出来にも左右されますが1kgあたりおよそ700円前後のようです。

地元でも、加工されていない状態の温海かぶを手に入れる事は難しいと言われているので、温海かぶのお漬物を探してみるのも良いかも知れませんね。

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かぶの主な栄養成分と期待できる6つの効果

根の部分だけではなく、葉も美味しく食べることができるかぶ。ただ後で調理しようと置いておいたら葉っぱがしなびてしまって使い物にならない、なんて勿体ないことにならいないようにきちんと保存しておきたいですよね。
かぶを美味しく食べられる保存方法と冷蔵・冷凍・常温の3種類の目安期間をお伝えしていきます。

かぶの主な栄養成分表(100g当たり)

エネルギー 20kcal
水分 93.9g
たんぱく質 0.7g
炭水化物 4.6g
灰分 0.6g
ナトリウム 5mg
カリウム 280mg
カルシウム 24mg
リン 28mg
0.3mg
亜鉛 0.1mg
ビタミンB1 0.03mg
ビタミンB2 0.03mg
ビタミンC 19mg
食物繊維総量 1.5g

食品成分表(可食部 100gあたり)

かぶの主な栄養素:根部分

  • ビタミンC:抗酸化作用があり、ビタミンEと協力して有害な活性酸素から体を守る働きがあります。また、コラーゲンの合成には必須で、鉄分やカルシウムなどのミネラル吸収を高める効果もあります。水溶性のため、汁物にすると効率よく摂ることができます。
  • 分解酵素アミラーゼ(ジアスターゼ):体が栄養を十分に吸収するために食べた物を消化する働きをする消化酵素の1つです。特に、炭水化物の1つであるデンプンの消化を行う働きをします。
  • イソチオシアネート:口にした時に感じる辛みのもとで、消化機能を高める働きがあります。殺菌作用があるので、発がん物質の毒性を解毒して排出するとも言われています。免疫力を高める効果もあります。

かぶの主な栄養素:葉

  • β-カロテン人間の体の酸化を防ぐ抗酸化作用が強く、免疫力を高めます。またビタミンAが足りない時には変換されることでビタミンAの働きも担います
  • カリウムナトリウムとともに、神経刺激の伝達や心臓機能や筋肉機能の調節、酵素反応の調節などの働きをします。必須ミネラルの1つで、体内にある余分な塩分を体外に排出する効果があります。
  • カルシウム:骨や歯などを作るだけでなく、筋肉収縮のコントロールや神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進効果があります。
  • ビタミンB1ブドウ糖をエネルギーに変換する際に、必要な栄養素で疲労回復効果が高いです。
  • 葉酸「造血のビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに血液の赤血球生産を助けたり、細胞の生まれ変わりに関わる働きがあります。特に胎児・乳幼児期・成長期の子どもの発育に必要不可欠な成分であるとされています。
  • 人間の血液を運ぶ赤血球に含まれるヘモグロビンの材料として使用されます。加えて、体内に存在する酵素の材料にもなりエネルギー代謝や肝臓での解毒の働きに関わっているミネラルです。
  • ビタミンE強い抗酸化作用、加えてコレステロールの酸化を防ぎ血流を良くする働きを持っています。また、毛細血管の収縮を抑制することで、細くなった血管が広がることで血流の悪化による体の不調改善効果もあります。

 カブを食べて期待できる6つの効果・効能

実際にかぶを食べるとどのような効果が期待できるのでしょうか。代表的なものをまとめてみました。

  1. 高血圧の予防
  2. 便秘の予防・改善
  3. 老化の抑制
  4. 貧血の予防・改善
  5. 骨粗鬆症予防
  6. 抗がん作用

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かぶの保存方法|冷蔵・冷凍・常温の保存期間の目安

根の部分だけではなく、葉も美味しく食べることができるかぶ。ただ後で調理しようと置いておいたら葉っぱがしなびてしまって使い物にならない、なんて勿体ないことにならいないようにきちんと保存しておきたいですよね。

かぶは腐るとどうなる?どこまで食べられる?

かぶを見極める上で大切なポイントはコチラです。腐っているのかセーフなのか、臭いや見た目・感触などをよくチェックしてみてくださいね。

このかぶ腐ってる?見分け方

食べても大丈夫な状態

  1. 触感:多少柔らかくなっている程度であればOK
  2. 見た目:少しだけ萎んでいる程度ならOK

腐っているので食べるとダメな状態

  1. 臭いで判断:腐った臭いがする
  2. 見た目で判断:茶色・黒・青色に変色している
  3. 感触で判断:ぶよぶよして柔らかくなっている

カブの保存期間の目安を解説

かぶを美味しく食べられる保存方法と冷蔵・冷凍・常温の3種類の目安期間をお伝えしていきます。

  • 冷蔵での保存期間の目安:根は1週間、葉は2〜3日間
  • 冷凍での保存方法の目安:1ヶ月
  • 常温での保存方法の目安:1ヶ月

もちろん保存期間は、あくまでも目安になるのでできるだけ早く食べると美味しいです。上手に保存して根の部分も葉の部分も美味しくいただきましょう。

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おすすめの食べ方

温海地区でも、温海かぶは収穫されるとその殆どがお漬物に加工されます。その為なかなか加工される前の温海かぶの入手は一般市場では困難です。そんな事情からも、温海かぶはお漬物にとても適したカブと言えます。

ぜひ一度、希少な焼畑農法で栽培された温海かぶのお漬物を食べてみてくださいね。

  • 甘酢漬け
  • 浅漬け
  • ぬか漬け
  • なます
  • 味噌漬け地元では、アバ漬けと呼ばれています)

この中でも温海かぶの甘酢漬けはとても有名で、現在一番食べられています。

また、味噌漬け(アバ漬け…アバとは方言で母親の意味)は栽培が始まったとされる江戸時代の献上品として食べられていたようです。江戸時代以降、甘酢漬けが主流となり味噌漬けは食べられなくなりましたが、2015年頃から地域活性化の一環として昔ながらのアバ漬けを復活させる動きもあるようです。

現地にて、昔ながらのアバ漬けを頂くのも良いですね。

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まとめ

今回は温海かぶについて詳しく見ていきました。温海かぶは、江戸時代の頃から山形県鶴岡市温海一霞(ひとかすみ)地区を中心に栽培されている庄内地域を代表する伝統野菜の1つで、現代においても古来から続く種子が守り続けられているカブの1つです。

温海かぶの旬は10月上旬頃~12月頃で、表皮が濃い赤紫色で中身は白色をしており、直径10cm程度の中カブです。希少な焼畑農法で栽培されており、無肥料・無農薬のカブです。一般市場での購入は困難で、その殆どが甘酢漬けのお漬物に加工されています。

ぜひ古代から変わらず続く伝統的な温海かぶを、一度食べてみてくださいね。

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