妊娠中(妊婦)でももつ鍋は食べられる?ビタミンAの危険性・注意点は?

妊娠中の食事には食べても良いもの・控えた方が良いものがありますが、“もつ鍋”は妊婦さんでも食べられるのでしょうか?脂質が多いイメージがありますが、妊婦さんにとっての危険性の有無や、栄養素について着目しました。今回は、

  • もつ鍋は妊娠中でも食べられる?
  • カロリーと脂質はどのくらい?
  • もつ鍋を食べる際の注意点

これらのテーマについて紹介いたします。

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もつ鍋ってどんな食べ物?

もつとは、牛や豚の内臓のことで「ホルモン」とも呼ばれています。主に小腸・大腸のことで、焼肉の部位としても人気です。牛や豚の内臓に限った言葉で、鶏の内臓はホルモンと呼びません。

もつ鍋は福岡県の博多を代表とする鍋料理で、ニラやキャベツなどの野菜と一緒に食べるのが定番です。

もつ鍋のもつはどこの部位?

もつ鍋のもつはどこの部位?という疑問についてですが、もつ鍋によく使われているのは『マルチョウ』と呼ばれる部位です。焼肉のメニューにもあるマルチョウは、小腸の部分にあたります。柔らかくプルプル食感が特徴で、噛むとじゅわっと脂が滲み出る部位です。

もつ鍋に使う部位として一番有名なのはマルチョウですが、他にもこのような部位が使われることがあります。

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もつ鍋は妊娠中でも食べられる?

もつ鍋は、妊娠中でも食べることができる料理ですが、『食べ過ぎない方が良い』とされています。その理由には、モツが含む脂質の多さにあります。

妊娠中は適度に体重を増やす必要がありますが、肥満は難産などトラブルの原因となります。もつ鍋1人前分のモツのカロリーや脂質について、詳しくみてみましょう。

モツのカロリーと脂質

モツ100gあたりのカロリーは、牛ホルモンが162kacal豚ホルモンが179kcalとなっています。かなり高カロリーなのがわかります。

また、ホルモン100gあたりに含まれる脂質量は26.1gとかなり高めです。 脂質の理想的な摂取量は1日50g とされているので、ホルモン100gを食べるだけでその半分を占めてしまいます。

ビタミンAの含有量は?

動物性ビタミンAは体に必要な栄養素ではあるものの、妊娠中の過剰摂取は禁物です。“動物性ビタミンA”を妊娠初期(妊娠1ヶ月〜4ヶ月まで)に摂取し過ぎると、胎児の形成異常の原因となると言われています。

モツに含まれるビタミンA量は、100gあたり2μgとごく少量です。ビタミンAに関しては、影響が出る量ではありません。

妊娠中のビタミンA摂取上限は?

厚生労働省によると、 妊娠の有無に関わらずビタミンAの摂取目安量は1日あたり2,700μgRAE とされています。

また、食品安全委員会によると、 胎児に影響が出るビタミンAの摂取量は1日あたり3,000μgRAE以上 とされています。

絶対に食べてはいけないものではないので、食べ過ぎないよう注意すれば妊娠中でもモツは食べることができます◎

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モツに含まれる栄養素とカロリー

モツは脂質が多く高カロリーなので食べ過ぎ注意ですが、ビタミンB12やマンガンを豊富に含んでいます。また、ナイアシンやパントテン酸も含んでいます。ホルモンに含まれているコレステロール値が高いので、過度な摂取は体に負担を掛けてしまいます。

  • パントテン酸:パントテン酸は、人間の体内で副腎皮質ホルモンの合成に関わります。コエンザイムAと呼ばれる体内の炭水化物、たんぱく質、脂質全ての代謝に関わるパーツの一部として使用されます。ストレス耐性の効果も上げるビタミンです。
  • ナイアシン:ナイアシンは、糖代謝、脂質代謝の補酵素としての働きで、エネルギー生成のサポートします。ナイアシン一つで複数の代謝工程をサポートするのが大きな特徴です。他にも肝臓におけるアルコール代謝の二日酔いの原因になるアセトアルデヒドの分解を助けます。
  • ビタミンB12:ビタミンB12には、細胞分裂に関わり、特に乳児や人間の血球の文化には不可欠な栄養素です。細胞分裂の際の、DNAの複製に関わるため、不足すると正常な組織が作られず体の機能維持に影響が出ます。神経伝達や脂質代謝にも関わる酵素です。
  • マンガン:マンガンは、食事によって取り込んだ食べ物の炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を助ける必須ミネラルです。加えて、骨形成に関わり、丈夫な骨と軟骨を維持を助けます。加えて、体内のホルモンの合成も担うミネラルです。
  • 脂質:脂質は、1gあたり9kcalのエネルギーを生み出す三大栄養素の中での一番のエネルギー源です。人間の体内では、取り入れた糖質をグリコーゲンとして保存するだけではなくて脂質にすることで、生体維持に必要なエネルギーが無くならないようにしています。細胞膜やホルモンの材料になり、コレステロールや中性脂肪として存在しています。

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生焼けは食中毒に注意!

モツが生焼けの場合、食べると食中毒を起こす可能性があります。その原因菌は、トキソプラズマ菌などです。生焼けの可能性があるモツは、絶対に食べないようにしましょう。特に牛もつに注意してください。

トキソプラズマ菌食中毒となると胎児が『先天性トキソプラズマ症』となり、先天性障害や流産を起こすリスクがあるので、妊娠中はより注意する必要があります。

妊娠中に食中毒になると?
  • 治療に必要な薬が制限される
  • 繰り返す下痢によって子宮収縮が起こる
  • 子宮収縮によって酸素や栄養が届きにくくなる
  • 酷い場合は流産に繋がる可能性もゼロではない

妊娠中にもつ鍋を食べる時のポイント

食べ過ぎない

妊娠中でも、モツ絶対に食べてはいけないものではありません◎ 食べ過ぎは、脂質が多いため肥満になる可能性があります。一度に食べる量を抑え、頻繁に食べなければ妊婦さんでも食べることができます。

よく加熱する

また、加熱不足はトキソプラズマ菌による食中毒の危険性もあります。もつ鍋を食べる際は、しっかり加熱しましょう。トキソプラズマ菌は万が一付着していても、加熱することで死滅するので安心してください◎

妊娠中に食べたい食材・控えたい食材・食べてはいけない食材60選まとめ

妊娠中にどの食材を食べればよいのか?どの食材を控えれば良いのか?というのは非常に気になるところです。代表的な60食材でまとめました。

妊娠中に積極的に摂りたい食材

妊娠中に積極的に摂りたい食材には、どんなものがあるのでしょうか?その食材が含む、妊娠中に摂りたい栄養素とあわせてチェックしてみましょう!

  • 豚肉 …たんぱく質+ビタミンB群
  • 鶏肉 …たんぱく質
  • 牛肉 …たんぱく質+鉄+亜鉛
  • 青魚 …DHA・EPA
  • 鮭       …たんぱく質+ビタミンB6+ビタミンD
  • ぶり …
  • かつお…
  • 白身魚…たんぱく質
  • 貝類 …鉄+亜鉛
  • 桜エビ…カルシウム
  • 卵  …たんぱく質
  • ブロッコリー…葉酸+カリウム
  • 青菜 …葉酸+鉄+カリウム+カルシウム
  • ヨーグルト …たんぱく質+カルシウム
  • 納豆  …葉酸+ビタミンE
  • 大豆(大豆製品) …たんぱく質+鉄+ビタミンE+カルシウム
  • いちご …葉酸
  • アボカド …ビタミンE+カリウム
  • トウモロコシ …葉酸+ビタミンE
  • グリーンアスパラガス …葉酸
  • 枝豆 …葉酸
  • そら豆 …葉酸
  • トマト …カリウム
  • もずく …ミネラル+食物繊維
  • きのこ …食物繊維+ビタミンD
  • 切り干し大根 …食物繊維
  • もち麦 …食物繊維

妊娠前から必要と言われている葉酸やビタミン類、妊娠中に不足しがちな食物繊維やカルシウムなどのミネラル類を補える食材には、上記のようなものがあります。
これらの食材を妊娠中の食事にバランス良く加えることで、ママの体や胎児の発育に良い効果をもたらします。妊娠中は食べ物の嗜好が変化することもありますが、できる範囲で色々な食材を食べるようにしましょう!

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妊娠中に少量に控えたい食材

妊娠中の食事は栄養素のバランスが大切ですが、中には控えておくべき食べ物がいくつかあります。食中毒リスクや、食べると胎盤を通じて胎児に届き、成長に悪影響を及ぼすものなど様々です。妊娠中に控えたい食材について、確認していきましょう。

食中毒や感染症のリスクのあるもの

  • お刺身
  • 生卵
  • ローストビーフ
  • 生ハム
  • ナチュラルチーズ
  • 肉・魚のパテ

メチル水銀を含むもの

  • 金目鯛:1回80gを週に1度まで
  • メカジキ :1回80gを週に1度まで
  • メバチマグロ:1回80gを週に1度まで
  • 本マグロ:1回80gを週に1度まで
  • エッチュウバイ貝:1回80gを週に1度まで
  • くじら:1回80gを週に1度まで
  • きだい:1回80gを週に2度まで
  • インドマグロ:1回80gを週に2度まで
  • マカジキ:1回80gを週に2度まで
  • くろむつ:1回80gを週に2度まで

ヨウ素・ヒ素を含む食べ物

  • 昆布 :1日1回少量
  • ひじき:小鉢2杯程度を週に2度まで

カフェインを含む飲み物

カフェインを含む主な飲み物と、100mlあたりのカフェイン量は下記となります。

  • コーヒー …約60mg
  • 紅茶        …約30mg
  • 緑茶        …約20mg
  • ほうじ茶 …約20mg
  • ウーロン茶 …約20mg
  • ココア    …約10mg

糖分を多く含むお菓子やジュース

糖分を多く含むお菓子や、甘いジュースなども妊娠中には控えたい食べ物です。甘いものを過剰摂取することで、妊娠前は糖尿病を持っていなくても妊娠期間中に糖尿病を発症することがあり、『妊娠糖尿病』と呼ばれています。
より多くの栄養を胎児に与えようとする体の自然な働きと考えられていますが、妊娠糖尿病になると胎児に合併症が出る危険性があります。

ビタミンAを多く含む食べ物(妊娠初期)

“動物性ビタミンA”を妊娠初期に摂取し過ぎると、胎児の形成異常の原因となると言われています。ビタミンAを多く含む食べ物には、下記のようなものがあります。

  • レバー
  • うなぎ
  • あなご

塩分を多く含む食べ物

妊娠中に塩分を過剰摂取すると、『妊娠高血圧症候群』という病気になることもあります。この病気を発症する確率は、妊婦さん20人に対し1人と言われており、妊娠中の食生活が原因で引き起こされます。
妊娠34週(妊娠9ヶ月)未満で引き起こした場合は重症化リスクが高く、胎児発育不全(赤ちゃんが育たない)・常位胎盤早期剥離(赤ちゃんに酸素が届かない)・胎児機能不全(赤ちゃんの状態悪化)となる可能性があります。酷い場合は胎児の命に関わることもあるので、食事には注意が必要なのです。

妊娠中に食べてはいけない食べもの

  • 生肉(ローストビーフ・ユッケ・馬刺し・お刺身・パテなど)
  • アルコール

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まとめ

この記事をまとめると

  • もつ鍋は妊娠中でも食べられるが、脂質が多いので量には注意!
  • 加熱不足はトキソプラズマ菌による食中毒の危険性があるので注意!
  • トキソプラズマ菌のリスクは、先天性障害や流産となる可能性もある

妊娠中のモツ(ホルモン)は控えた方が良いとされていますが、絶対に食べてはいけない料理ではありません。食べ過ぎなければ大きな影響が出ることはないので、適度にもつ鍋を楽しんでくださいね。

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