現代の食事欠かせない米は、かつてから日本人の主食として大切にされてきました。米は「稲」の状態で紋に用いられ、「稲紋」は多くの家で使用されていました。
そのほとんどが円形で描かれているのですが、他にはどのような特徴があるのでしょうか?
今回は、「稲紋」の由来や意味・種類と、束ねた稲を描いている理由についてご紹介いたします。
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稲紋の意味・由来とは?
読み方 | いねもん |
家紋の分類 | 植物紋 |
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稲は古くから日本の主食として栽培されてきたため、稲紋は「神への感謝の象徴」とされています。
紀伊半島熊野地区にある農業の守り神である熊野神社に奉仕する神官や氏子などに古くから家紋に用いられ、熊野信仰の普及に伴い全国に広まりました。
日本の名字第二位である「鈴木」の代表紋でもあり、熊野地区では刈った稲を「すずき」と呼んでいました。農耕の神が宿ると考えられていた「すずき」から名字としての鈴木が生まれたのです。
戦国時代には稲紋発祥の穂積氏、亀井氏、江戸時代になると武家や大名の間で40家ほどに稲紋が用いられました。
また、名前に稲関係の漢字が付く米倉氏、米野氏、稲富氏、稲生氏なども稲紋を使用していました。
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稲の家紋の種類解説
右廻り一つ稲の丸 |
左廻り一つ稲の丸 |
違い稲 |
二つ穂変わり抱き稲 |
丸に稲荷抱き稲 |
糸輪に束稲 |
抱き稲に向かい雀 |
稲鶴 |
稲紋にも様々な種類がありますが、全体的に円形を描いたものが多く存在しています。
「右廻り一つ稲の丸」「左廻り一つ稲の丸」は一見向きが逆になった紋に見えますが、よく見ると束ねられている稲の本数や、稲穂の大きさに違いがあります。
左右対称に描かれたものが多く、「違い稲」「二つ穂変わり抱き稲」「丸に稲荷抱き稲」「糸輪に束稲」がその例です。
その中では、稲で円形を構成したものと、輪紋と組み合わせて円形になっているものがあります。「丸に」と「糸輪に」が名前に付いているものが輪紋と掛け合わせた紋です。
また、稲紋の中に鳥のモチーフを入れたものもいくつかあり、「抱き稲に向かい雀」「稲鶴」などがあります。
鳥の種類によっても紋に込められた意味が異なりますが、このようにモチーフの中に鳥を入れたり、や、モチーフ自体で鳥の形をつくる紋は他にも多数あります。
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束ねた稲が描かれているのには供え物が由来
稲紋を見るとわかるように、ほとんどの紋がしっかりと束ねられた状態で描かれています。これは、稲を束ねた状態で神に供えていたことが由来となっています。
現代では、神に供える時は精米した米を使用する場合もあるようなのですが、かつてほとんどの場合は、刈った稲をそのまま束ねて供えていたために束ねた稲を描いた紋になったようです。
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まとめ
日本人の主食として欠かせない米を紋にした「稲紋」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
米は神への象徴とされ、食事にも欠かせないものだったため、家紋としても採用例が多いものです。
現代で束ねた稲を見る機会はあまりありませんが、神に供えていたことからあのようなデザインになったには歴史が関係していて面白いですよね。
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