日野菜(カブ)の特徴・旬の時期まとめ|独特の辛味と苦味が特徴!滋賀県の伝統野菜の色付きカブ

近年、和食文化が広く海外で知られるようになり、ユネスコの無形文化遺産の登録もされました。和食文化は、食べる時のしきたりだけでなく、献立や和食に使われる多くの食材にも注目されており、日本人が何気なく送る日々の生活スタイルに欧米諸国を中心に関心が高まっています。

今回は、その中でも桜漬けや天ぷらなどで親しみのある歴史的なカブの1つ日野菜について詳しく見ていきます。

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日野菜ってどんなかぶ?

読み方 ひのな
旬の時期 10月頃~1月頃
主な生産地 滋賀県蒲生郡日野町・草津市、京都府・三重県など
種類 細長く、赤紫色~白色の小カブ

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読み方

日野菜(ひのな)と読みます。日野とは滋賀県蒲生郡日野町の地名を指します。日野菜と読みますがカブの1種で、滋賀県を代表する伝統野菜の1つとして知られており、「あかな」「緋の菜」「えびな」の愛称でも知られています。

日野菜は約500年以上の歴史があるカブで、室町時代に日野の地で当時の領主であった蒲生貞秀によって発見されました。自生している日野菜をお漬物にして食べたところ、その色味と風味の素晴らしさから広く認知されるようになり、現在まで栽培されるようになったと言われています。

特徴(サイズ、味、形状など)

日野菜は大根の様な形状であることや、名前に「菜」が付くためカブと認知されにくいですがカブの1種です。根部分の太さが100円玉程とほっそりとしており、上部が赤紫色で下部が白色に色分けされているのが特徴です。茎部分や葉脈も鮮やかな赤紫色をしています。

この赤紫色と白色の色味が、紅白を連想し祝事に合うとされ現在では祝賀料理でも丸ごと1本使われる事が多いです。程よい辛味と苦味が特徴的な味わいです。

漬物にすると絶品のかぶ

日野菜はその程よい辛味と苦味の味わいの良さから、古くからお漬物にして食べられています。日野菜は漬けると淡いピンク色になるため、見た目が桜のように美しいことから日野菜のお漬物は「桜漬け」とも呼ばれています。その味わいの良さと見た目の雅さから、後柏原天皇にも献上されたと言われており『近江なる ひものの里のさくら漬 これや小春の しるしなるなん』と日野菜について和歌を詠われたほどです。

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日野菜の旬の時期と主な生産地

ここからは、日野菜の旬の時期や主な生産地について詳しく見ていきます。日野菜の歴史は室町時代まで遡るほどに古く、見た目の美しさや味わいの良さが広く親しまれているため現在でも全国的に食べられています。馴染みのない方にも、祝賀料理・お正月料理・桜漬けで知っている方もいるのではないでしょうか。

旬の時期はいつ?

野菜の旬は、10月頃~1月頃です。真夏を除いていつでも栽培はできる品種ですが、本来は夏から冬にかけ栽培されるのが一般的です。日野菜は梅雨明け~10月上旬頃までに何度も種蒔きをし、40~50日程度で収穫されます。この期間中に何度も種蒔きを行う事で、収穫時期を長くする事もできるそうです。

特に秋に種蒔きをされ、冷たい風にさらされ耐えた11月中旬頃に収穫される日野菜は最も美味しいと言われており、色も鮮やかで美しいと言われています。

主な生産地はどこ?

日野菜は、滋賀県蒲生郡日野町・草津市、京都府・三重県などで主に生産されています。日野菜は露地栽培が基本で、発芽率が比較的高く安定的に成長しやすいため栽培しやすいと言われていますが、形や色身の良いものに成長させるには手間と技術が必要と言われるカブでもあります。

現在、発祥地の日野町よりも土壌環境の適合性の良さなどから滋賀県草津市での栽培数は多いといわれています。

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滋賀県の伝統野菜

「近江の伝統野菜」の1つでもある日野菜は、滋賀県の食文化財にも認定されています。滋賀県日野町では、現在も原種から栽培されているそうです。

日野菜は室町時代から広くお漬物として食べられてきており、

  1. 葉付きのまま下漬けし甘酢に漬けこんだ「えび漬け」
  2. 短冊切りにした根と刻んだ葉を酢に漬けた「桜漬け」
  3. ぬかに漬けた「ひね漬け」

が代表的な日野菜のお漬物です。

日野菜の価格相場ってどのくらい?

ここからは、日野菜のカブ価について詳しく見ていきます。日野菜は、伝統的な野菜で古くからお漬物にして食べられてきています。お漬物だけでなく、日野菜の色味を紅白に見立てサラダやちらし寿司の彩りに使われたり、慶事のお料理にも使われていますよ。また加熱調理でも美味しく頂けるので、調理法の豊富さなどから需要はあるようです。

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スーパーだと

主な生産地の地方では、スーパーなどでも並ぶことがあるそうですが、基本的にはあまり一般流通していないようです。一束150円~で販売されているようです。日野菜はお漬物が有名なので、お漬物に加工されたものは広く流通されているようです。また最近では、日野菜を加工したドレッシングも販売されているようです。

日野菜を手に入れたい場合は、道の駅・農家さん直売所・野菜マルシェなのでは販売されている場合も多いそうなので一度足を運んでみてくださいね。

ネット通販だと

近年、流行の野菜専門通販ネットなどでも販売はされているようです。しかし、日野菜の加工品の方が需要がありお漬物やドレッシング・キムチなど種類が豊富です。また家庭菜園用の種も販売されています。1袋約300円~で販売されているので、伝統野菜の栽培にも挑戦してみてくださいね。

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かぶの主な栄養成分と期待できる6つの効果

根の部分だけではなく、葉も美味しく食べることができるかぶ。ただ後で調理しようと置いておいたら葉っぱがしなびてしまって使い物にならない、なんて勿体ないことにならいないようにきちんと保存しておきたいですよね。
かぶを美味しく食べられる保存方法と冷蔵・冷凍・常温の3種類の目安期間をお伝えしていきます。

かぶの主な栄養成分表(100g当たり)

エネルギー 20kcal
水分 93.9g
たんぱく質 0.7g
炭水化物 4.6g
灰分 0.6g
ナトリウム 5mg
カリウム 280mg
カルシウム 24mg
リン 28mg
0.3mg
亜鉛 0.1mg
ビタミンB1 0.03mg
ビタミンB2 0.03mg
ビタミンC 19mg
食物繊維総量 1.5g

食品成分表(可食部 100gあたり)

かぶの主な栄養素:根部分

  • ビタミンC:抗酸化作用があり、ビタミンEと協力して有害な活性酸素から体を守る働きがあります。また、コラーゲンの合成には必須で、鉄分やカルシウムなどのミネラル吸収を高める効果もあります。水溶性のため、汁物にすると効率よく摂ることができます。
  • 分解酵素アミラーゼ(ジアスターゼ):体が栄養を十分に吸収するために食べた物を消化する働きをする消化酵素の1つです。特に、炭水化物の1つであるデンプンの消化を行う働きをします。
  • イソチオシアネート:口にした時に感じる辛みのもとで、消化機能を高める働きがあります。殺菌作用があるので、発がん物質の毒性を解毒して排出するとも言われています。免疫力を高める効果もあります。

かぶの主な栄養素:葉

  • β-カロテン人間の体の酸化を防ぐ抗酸化作用が強く、免疫力を高めます。またビタミンAが足りない時には変換されることでビタミンAの働きも担います
  • カリウムナトリウムとともに、神経刺激の伝達や心臓機能や筋肉機能の調節、酵素反応の調節などの働きをします。必須ミネラルの1つで、体内にある余分な塩分を体外に排出する効果があります。
  • カルシウム:骨や歯などを作るだけでなく、筋肉収縮のコントロールや神経興奮の抑制、血液凝固作用の促進効果があります。
  • ビタミンB1ブドウ糖をエネルギーに変換する際に、必要な栄養素で疲労回復効果が高いです。
  • 葉酸「造血のビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12とともに血液の赤血球生産を助けたり、細胞の生まれ変わりに関わる働きがあります。特に胎児・乳幼児期・成長期の子どもの発育に必要不可欠な成分であるとされています。
  • 人間の血液を運ぶ赤血球に含まれるヘモグロビンの材料として使用されます。加えて、体内に存在する酵素の材料にもなりエネルギー代謝や肝臓での解毒の働きに関わっているミネラルです。
  • ビタミンE強い抗酸化作用、加えてコレステロールの酸化を防ぎ血流を良くする働きを持っています。また、毛細血管の収縮を抑制することで、細くなった血管が広がることで血流の悪化による体の不調改善効果もあります。

 カブを食べて期待できる6つの効果・効能

実際にかぶを食べるとどのような効果が期待できるのでしょうか。代表的なものをまとめてみました。

  1. 高血圧の予防
  2. 便秘の予防・改善
  3. 老化の抑制
  4. 貧血の予防・改善
  5. 骨粗鬆症予防
  6. 抗がん作用

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かぶの保存方法|冷蔵・冷凍・常温の保存期間の目安

根の部分だけではなく、葉も美味しく食べることができるかぶ。ただ後で調理しようと置いておいたら葉っぱがしなびてしまって使い物にならない、なんて勿体ないことにならいないようにきちんと保存しておきたいですよね。

かぶは腐るとどうなる?どこまで食べられる?

かぶを見極める上で大切なポイントはコチラです。腐っているのかセーフなのか、臭いや見た目・感触などをよくチェックしてみてくださいね。

このかぶ腐ってる?見分け方

食べても大丈夫な状態

  1. 触感:多少柔らかくなっている程度であればOK
  2. 見た目:少しだけ萎んでいる程度ならOK

腐っているので食べるとダメな状態

  1. 臭いで判断:腐った臭いがする
  2. 見た目で判断:茶色・黒・青色に変色している
  3. 感触で判断:ぶよぶよして柔らかくなっている

カブの保存期間の目安を解説

かぶを美味しく食べられる保存方法と冷蔵・冷凍・常温の3種類の目安期間をお伝えしていきます。

  • 冷蔵での保存期間の目安:根は1週間、葉は2〜3日間
  • 冷凍での保存方法の目安:1ヶ月
  • 常温での保存方法の目安:1ヶ月

もちろん保存期間は、あくまでも目安になるのでできるだけ早く食べると美味しいです。上手に保存して根の部分も葉の部分も美味しくいただきましょう。

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おすすめの食べ方

日野菜を美味しく頂けるおススメの食べ方を4つご紹介します。日野菜は、なんといってもその程よい苦味と辛味がお漬物にぴったりのカブです。色々な漬け方で、彩りも美しい伝統野菜の日野菜をまるごと堪能してみてくださいね。

ぬか漬け

日野菜のぬか漬けは、11月下旬頃に漬け込み始めますと美味しく頂ける時期が2月~5月頃になります。近年では、ぬか漬けされたものも販売されています。お好みの味付けのものを探してみてくださいね。

御自身で漬けられる場合は、

  1. 日野菜をよく洗って、2~3日程度天日干しをします。
  2. 漬けたい日野菜の重さに対して5%の塩で下漬けをします。
  3. 米酢・穀物酢と水を混ぜた液に、ざらめ・砂糖を溶かします。更に昆布だしを適量加えることで仕上がりが良くなります。
  4. 米ぬかに下漬けした際と同じ量の塩を混ぜます。
  5. 下漬けした日野菜をザルに上げ水切りをし、下漬けした時に出た水は別容器にとっておきます。
  6. 3の液に日野菜をくぐらせ、2~3本ずつに纏め葉を巻きます。
  7. 桶に日野菜を隙間無く並べ入れ、4を振りかける事を繰り返して日野菜を全て漬けます。
  8. 漬け込みの最後に別容器にとっていた水と3の残り液を入れます。
  9. 押し蓋をし、漬けた量の2倍量の重石をします。

ぜひ、お手製ぬか漬けにも挑戦してみてくださいね。

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甘酢漬け

日野菜の甘酢漬けも有名なため、加工されて商品として販売されていることが多いです。ご自身で作られる場合も、気軽にできますので挑戦してみてくださいね。完成した甘酢漬けでタルタルソースなどにアレンジするとお料理が華やかになりますよ。

  1. 日野菜の葉を切り離し、根の部分だけ漬けるときれいに漬かりやすいです。

    日野菜の重さに対し5%の塩で3日間下漬けをします。下漬けは5日間を過ぎると歯切れが悪くなるので注意しましょう。葉も使う場合はアクが強いので別の桶に、根と同様に日野菜の重さに対して5%の塩で下漬けします。
  2. 下漬けの日野菜をザルに上げて水を切り、酢と砂糖を混ぜたものに漬け込みます。

    この時も、根と葉は別の桶で漬けるほうが良いです。
  3. 5日程度で、美味しく漬かります。長期保存はできないので、小分けして漬けるようにします。

    およそ1ヶ月程度は美味しく頂けます。

お家にある調味料で気軽に作ることができますので、ぜひ試してみてくださいね。

桜漬け

日野菜の色味が漬かることにより桜のようなため呼ばれるようになった桜漬けは、日野菜を代表する食べ方とも言えます。加工されて広く販売されており人気のお漬物ですが、簡単にご自宅でも作ることができますよ。

  1. 日野菜をきれいに洗い、根と葉を切り離します。根の部分のひげを丁寧に取ります。
  2. 根の部分は長さ3cm程度・厚さ1mm程度に短冊切りします。葉は細かく刻んでおきます。
  3. 根と葉それぞれの重さに対し3%の塩で、別々に1日程度漬け込みます。
  4. 出てきた水を捨て、根も葉も水洗いします。しっかり水きりをしたら根と葉を混ぜ合わせ、らっきょ酢と昆布だしを混ぜた液に漬けます。
  5. 1日程度寝かしたら、完成です。

葉を入れすぎると紫色になりやすいようです。また1の日野菜の洗い作業の際に、熱湯を根と葉にかけて下準備することもできます。

塩漬け

発祥の地・日野町では一般的にぬけ漬けや桜漬けとして多く食べられているそうですが、究極とも言われる塩のみで漬けた日野菜も絶品だそうです。無添加・無着色の究極のお漬物、ぜひ一度試してみてくださいね。

  1. 日野菜を丁寧に洗い、根と葉を切り離します。根は3cm程度の短冊切りにし、葉は細かく刻みます。
  2. 根と葉を湯通しし、ざるに広げ冷まします。
  3. 常温程度に冷めたら、日野菜の重さに対し約4%の塩で揉み、アク抜きをします。
  4. 陶器のかめ・べに鉢などに根と葉を別々に入れたら、重石をのせ蓋をし更にビニール等で外気が入らないように密閉します。
  5. 1週間~10日間くらい寝かせて完成です。完成後は、冷蔵保存します。

日野菜の彩りが淡いピンク色で染まり、まさしく桜のような塩漬けになります。素朴な味わいながら、日野菜の程よい苦味と辛味でお酒やご飯が進むこと間違いなしです。

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まとめ

ここまで、日野菜について詳しく見ていきました。日野菜は名前で誤解されやすいですが、カブの1種近江の伝統野菜でもあり滋賀県の食文化財にも認定されています。日野菜の歴史は鎌倉時代とされ当時から現在に至るまで、「桜漬け」「えび漬け」「ひね(ぬか)漬け」などのお漬物にして親しまれています。

特徴的な紅白の色味細長い形状に加え、程よい苦味と辛味がある日野菜は、お漬物だけでなく祝賀料理やお正月料理などでも使われています。地域によっては、あかな・緋の菜・えびななどの愛称で親しまれているようです。日野菜は旬が10月頃~1月頃と冬ですが、その彩り鮮やかな色合いは早い春の訪れのようで高級和食店などで重宝されています。滋賀県蒲生郡日野町・草津市、京都府・三重県などで主に栽培されているので、ぜひ一度食べてみてくださいね。

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