生食でも食べられる珍しい芋の1つ「山芋」は栄養豊富なだけでなく、食べ方も「とろろ」にすりおろしたものや様々な切り方・加熱調理をすることで色んな食感が楽しむこともでき、レシピも豊富で万能野菜としても重宝しますよね。
そんな魅力たっぷりの山芋は、実は品種名ではなく「ヤマノイモ科に属する芋類の総称」とご存知でしたか?何気なく「山芋」と呼んでいるのは総称なので実際に食べられている山芋には、色々な名前が付いているんです。今回は、山芋の主な栄養成分と期待できる効果や効能について詳しく見ていきましょう。
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やまいもの栄養成分表
エネルギー | 65kcal |
水分 | 82.6g |
たんぱく質 | 2.2g |
炭水化物 | 13.9g |
ナトリウム | 3mg |
カリウム | 430mg |
カルシウム | 17mg |
マグネシウム | 17mg |
リン | 27mg |
銅 | 0.10mg |
ビタミンB1 | 0.10mg |
ビタミンB2 | 0.02mg |
ビタミンB6 | 0.09mg |
ビタミンC | 6mg |
食物繊維総量 | 1.0g |
食品成分表(可食部 100gあたり)
やまいもの主な栄養成分
ここからは山芋に含まれる主な栄養成分を詳しく見ていきましょう。古くから滋養強壮の野菜として知られる山芋には、たくさんの体に嬉しい栄養素が含まれています。
山芋に含まれる主な栄養成分7つを見ていきましょう。
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ムチン(ネバネバ成分)
ルチンは、毛細血管の強くして弾力性を上げることが知られています。毛細血管が強くなり、弾力が上がることで、血行が良くなる結果代謝がアップ冷え性の解消を言った不調を改善することができます。加えてビタミンCの吸収や脳細胞を助ける働きがあります。
たんぱく質
たんぱく質は、20種類のアミノ酸が複数個結合することで作られています。結合するアミノ酸が種類や配列によって様々な臓器や組織の材料になります。特に筋肉の材料として使用されるため、多くの摂取が望ましいです。食品では魚や肉、大豆に多く含まれており、様々な種類を多く摂ることが大切です。
ビタミン
ビタミンには様々な種類があります。山芋にはその中でも、特にビタミンB1・ビタミンB6・ビタミンCが含まれています。ビタミンB1とビタミンB6は合わせてビタミンB郡とよく呼ばれています。
- ビタミンB1は、人間の代謝に関わるビタミンで、炭水化物を糖に分解し、エネルギーを作り出す経路の最初を担います。食べた糖質全般を燃焼させる工程に関わるため、不足すると疲れやすくなります。また脳の神経伝達物質にも関わり、集中力を増やすや手足の痺れにくくすると言った働きがあります。
- ビタミンB6は、たんぱく質をアミノ酸に分解し、再合成して筋肉や必要な組織を作る働きがあります。加えて、体内のホルモン分泌のバランスも整える働きを持っています。エネルギー代謝にも関わり、加えて神経伝達にも関わる多くの役割を持つビタミンです。
- ビタミンCは、抗酸化効果が高く活性酸素を除去し、過酸化脂質の生成を押さえや動脈硬化含む血管疾患、免疫力を上げるため風邪の予防効果があります。コラーゲンの生成やメラニン生成を抑えるため美肌効果が高いのも大きな特徴です。また、脳を落ち着かせる働きの脳内物質の生成や、ホルモン合成にも関わっています。
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ジアスターゼ
ジアスターゼは分解酵素アミラーゼのことで、体が栄養を十分に吸収するために食べた物を消化する働きをする消化酵素の1つです。特に、炭水化物の1つであるデンプンの消化を行う働きをします。
カリウム・マグネシウム
カリウム・マグネシウムなどのミネラルは、地球上に存在する金属元素を指し、人間の体の内部の酵素の触媒や特異的な細胞の機能の要になる成分です。体の代謝や老廃物の分解、排出にも関わっています。不足すると、人間の体の本来の機能が良く無くなるため、日頃の摂取が大事な栄養素です。
- カリウムは、細胞の水分量及び、体内の水分の排出に関わるミネラルで、細胞の中に主に存在しています。ナトリウムとセットで、体内の水分量を調整し、体内にある過剰な水分の排出を促進させます。むくみや冷え性と言った不調の改善効果があります。
- マグネシウムは、健康な骨を作る上でビタミンDを活性型にする働きや、エネルギー代謝、たんぱく質の合成を担います。マグネシウムは、体内の酵素の要になる触媒や酵素反応を助ける働きを含めると300種類以上サポートしています。血圧の調整機能もあり、片頭痛や冷え性の改善にも効果があるとされています。
食物繊維
食物繊維は、植物の細胞壁を構成する、人間の消化酵素では消化できない成分とされています。食物繊維は、植物しか作り出すことしか出来ず、水に溶けるか溶けないかで種類が分かれます。人間の腸内環境を整える免疫力改善等の働きがあります。
鉄分
鉄分は、人間の血液を運ぶ赤血球に含まれるヘモグロビンの材料として使用されます。加えて、体内に存在する酵素の材料にもなりエネルギー代謝や肝臓での解毒の働きに関わっているミネラルです。
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やまいもを食べて期待できる効果・効能
山芋を食べることで、老若男女問わず嬉しい効果が期待できます。不調の時はもちろんですが、予防医療としても積極的に食べたい食材の1つです。
消化促進・胃もたれ解消
山芋には消化酵素が多く含まれているため消化促進働きをしてくれます。更に、山芋のネバネバ成分には内臓の機能を活発にする働きがあるので、胃もたれ解消だけでなく胃腸風邪の予防にも効果が期待できますよ。
便秘改善
山芋にはレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)と呼ばれる成分が含まれているので、便秘解消には効果的です。レジスタントスターチとは2種類ある食物繊維と同じ働きを持っており、便の量を増やす働き・便のかさを増やすことと腸内細菌のエサになる働きを一度にしてくれる効果があります。
加熱するとレジスタントスターチの量が減ってしまうので、すりおろして生で食べるようにしましょう。
がん予防やアルツハイマー型認知症の向上
近年の富山大学や静岡県立大学の研究結果によると、山芋にはジオスゲニンという成分が含まれていることがわかり、このジオスゲニンの成分がアルツハイマー型認知症の向上や大腸がんの発生を抑える効果が期待できることがわかりました。
マウスを使った実験によるとアルツハイマー型認知症の原因となる、タンパク質「アミロイドベータ」の約70%の減少効果や、神経細胞の軸索という突起の変性が正常に近い状態に戻るという効果があったと報告されています。
また山芋をとろろにして食べることで、豊富な食物繊維とジアスターゼが消化と吸収を助ける働き・ネバネバ成分のムチンが胃粘膜を保護する働きがあるので、腸内を綺麗にし体を内側から整える作用があるため大腸がんの予防にも効果的と言われています。
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滋養強壮・疲労回復
山芋は「山うなぎ」と呼ばれるほど、滋養強壮や疲労回復効果に期待できる野菜です。山芋を乾燥させたものは「山薬(さんやく)」と呼ばれ、漢方薬にもよく使用されているほどです。その効果が大きいことから、夏の土用の時期にはよく「麦とろご飯」を頂き、疲れた身体を元気にしてくれますよね。
消化にも良いので、食欲不振な時や病後・虚弱体質な方にもおススメの野菜です。
血圧・コレステロールを下げる
山芋には、高血圧予防に効果があるといわれるカリウム・マグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群、ビタミンCなどをバランスよく含んでいます。また最近の研究では、山芋に含まれるサポニンの一部であるディオスゲニンには、体の抗酸化・血中コレステロール低下などの脂質代謝改善に効果が期待できることが報告されています。
血糖値の上昇を抑える
芋類のなかでもじゃがいもは血糖値が上がりやすいなどと言われていますが、山芋は少量で血糖値の上昇を抑える働きがあるとされています。
特に、ご飯(米)のみの場合とご飯(米)に山芋とろろをかけて食べた時の数値を比較すると、ごはんに50g程度の山芋とろろをかけて食べた時の方が明らかに血糖コントロールがよくなり、血糖値が上がりにくくなることがわかっています。ただし、山芋を加熱してしまうと効果は半減すると言われているので注意が必要です。
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腎臓の機能回復
病に罹患(りかん)した時でも自覚症状が表れにくいことなどから「沈黙の臓器」などと言われる腎臓は、疲れていると倦怠感やむくみやすくなったりするので早めの機能回復が重要になってきます。山芋に含まれるカリウムと食物繊維が、身体の水分調整や動物性の老廃物の排出を促す効果があります。
ただし、腎臓病などでカリウムの摂取制限がある場合は医師の指導に従う必要がありますので注意してくださいね。
テストストロン値を上げる
テストストロンは男性ホルモンの1つと知られています。テストステロンの分泌を増やすためには、原料となるコレステロールが不足しないようにバランスの良い栄養摂取と適度な運動・規則正しい生活・十分な睡眠などが必要と言われています。
山芋には、ネバネバ成分のムチンやDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)と呼ばれる「若返りホルモン」が含まれているので、テストストロン値を上げる効果が期待できるとされています。
また、この男性ホルモンのテストストロンは女性にホルモンにもなることから、特に更年期後の女性にも必要なホルモンなため男女問わず効果が期待できますよ。
美容・美肌
栄養価が高いのにダイエットにも効果的なスーパーフードとして注目されている山芋は、カリウム・マグネシウムなどのミネラルと鉄分が豊富な上にビタミンB郡・ビタミンCも含まれているので、抗酸化作用がある上にシミの原因となるメラニン色素を減らす作用もあることから、美容・美肌効果に期待ができます。
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やまいものその他のメリット
山芋には、身体に嬉しい豊富な栄養素が含まれていることがわかりました。しかし、普段の食生活の中で意識はしているものの加齢などにより更に健康に気をつけないといけないと感じられる方も多いのではないでしょうか。
そんな方に嬉しい効果も、山芋には期待できるとされていますよ。
プリン体が少量しかなく痛風対策にも
痛風は、風に当たるだけでも痛むと言われるほどの激しい発作をもたらすもので、血液中に「尿酸」が増えることにより尿酸の結晶がたまることが原因と言われています。この尿酸のもととなるのが「プリン体」と呼ばれる体内の新陳代謝が行われることにより細胞の核からできる物質です。
山芋はプリン体が少量なだけでなく尿をアルカリ性に傾けてくれる働きがあるので、酸性の尿酸を溶かし結晶を作りにくくするため痛風対策におススメの食材です。更に山芋にはカリウムも含まれているので、体内にある過剰な水分を排出してくれる働きにも期待できます。
漢方にも使われるほどの健康野菜
山芋は中国では「山薬(さんやく)」と呼ばれ、乾燥させたものを滋養強壮剤などの漢方薬として使用されています。山薬には強壮・強精・鎮静・解熱・止瀉などの効果があると言われ、虚弱体質・暑さ寒さでの不調・疲労消耗・胃腸虚弱・消化不良・糖尿病・下痢などに応用されています。
山薬が含まれている有名な漢方に、八味地黄丸(はちみじおうがん)・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)・六味地黄丸(ろくみじおうがん)・薯蕷丸(しょよがん)・参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)・啓脾湯(けいひとう)などがあります。
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まとめ
ここまで山芋の主な栄養成分と期待できる効果や効能について詳しく見ていきました。
山芋には大きく7つの有効な栄養素が豊富に含まれており、健康維持や整腸作用・便秘改善、血圧・コレステロールを下げる・血糖値を抑える・腎臓疲労の回復・テストストロン値を上げる・痛風対策など、多くの効果があるスーパーフードとして注目されています。
また、山芋は栄養価の高さから漢方薬に使われている「山薬」としても知られ、虚弱体質・暑さ寒さでの不調・疲労消耗・胃腸虚弱・消化不良・糖尿病・下痢などに効果があるとされています。山芋はイモの中でも生食ができ、特にとろろにして食べることで豊富な栄養素を減らすことなく摂取することができます。
病後や虚弱体質・寒暖からくる体調不良や食欲不振などの際にも、とろろは食べやすく栄養価も高いので、是非積極的に食べましょう。ただし、腎臓病などに罹患している場合などは摂取量など医師の指導に従ってください。
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