とろりとした食感が大きな魅力のフルーツ、ラ・フランスは、その名の通りフランスを原産としている果物です。
食欲の秋でもある10月下旬から11月上旬にかけてが旬となるラ・フランスですが、現在は本国フランスではほぼ生産がされていないという事実をご存じでしょうか。
- ラ・フランスが現在収穫されている国はどこ?
- ラ・フランスの由来や歴史を知る
- ラ・フランスが美味しくなるには追熟が必須
今回は、こちらについて詳しく解説します。
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目次
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ラ・フランスを栽培しているのは現在日本だけ!?
結論から言うと、現在ラ・フランスを栽培・収穫しているのは日本だけです。また、そのすべてが東北地方に集約されているという特徴があります。
1900年代初頭にフランスではすでに絶滅
ラ・フランスは1864年に、フランスのクロード・ブランシェという人が発見した西洋梨の品種になります。
発見した際は、あまりの美味しさに「これこそ我が国フランスの名前を冠するのに相応しい果物である」という意味を込めて「ラ・フランス」と名付けられたとも言われています。
しかし、ラ・フランスは他の果物と比較すると病気になりやすく、美味しく育つ前に多くの時間が必要となります。
更に、フランスの気候がラ・フランスの栽培には適していなかったことも影響して1900年初頭には既にフランスでの栽培は行われず絶滅してしまったという歴史があります。
大半が山形県で生産されている
祖国での栽培が行えなくなってしまったラ・フランスですが、幸い絶滅する前に日本へと苗が持ち込まれていました。
日本の気候や高い栽培技術は、ラ・フランスと非常に相性が良かったこともあり東北地方、特に山形県では現在もラ・フランスの生産量は群を抜いて高くなっています。
具体的には山形県の誇るラ・フランスの生産量は、全国一位であり全国の約6割以上を占めているのです。
現在、山形県には「県・生産者・出荷団体」の3つの団体が一緒になって構成されている「山形県ラ・フランス振興協議会」という組織が生まれ、美味しいラ・フランスを全国に届けるための様々な取り組みが行われています。
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ラ・フランスの歴史や由来とは?
1900年代初頭に日本へと持ち込まれたラ・フランスですが、すぐに日本で人気を博したわけではありません。ここでは、日本に持ち込まれてから現在に至るまでのラ・フランスの歴史を解説します。
缶詰め用から生食の時代へ
ラ・フランスが日本へと持ち込まれるよりも前に、山形県には洋梨の別品種であるバートレットが入ってきました。当初、和製梨とは味も食感も大きく異なるバートレットを生で食べるという習慣がありませんでした。
また、収穫したばかりのバートレットはまだ固くて美味しくなかったため、当時は一度缶詰状態へと加工して流通を行っていたようです。
その後、バートレットを追って日本へと入ってきた収穫されたラ・フランスのとろりとした美味しさに気付いたことで、西洋梨は現在のような生食での楽しみ方へ変化していくことになります。
明治8年に山形で栽培
フランスで生まれたラ・フランスですが、絶滅寸前に日本へと伝わってきたことはさきほど解説しました。しかし、ラ・フランスよりも前に日本へは西洋梨の品種であるバートレットが一足先に山形県へと渡ってきました。
大正天皇により広まる
フランスから渡来したバートレットですが、当時の日本にとってはまだまだ未知の食べ物。全国へと美味しさが伝わるには、何かの切っ掛けが必要でした。
山形県のの屋台村の古文書には
明治42年、皇太子(後の大正天皇)東北行幸の折に、特産の日本なしを献上したところ大いに喜ばれ、金一封とバートレットの苗を賜わった。これが山形県の西洋なしの歴史のはじまり
引用:山形味の農園「くだもの歳時記」より
という言葉が記載されていたともされており、これが山形県での西洋梨作りの分岐点であったとも推察されています。
バートレット時代とは?
以後、缶詰用として加工されたバートレットは約100年間もの間栽培されていました。このとき交配用の受粉樹として栽培されていたのが、今回の主役であるラ・フランスなのです。このバートレットが主となっていた100年間は、いわばバートレット時代と言えるでしょう。
昭和60年頃に生産が安定する
病気に弱く栽培に手間もかかるラ・フランスでしたが、山形県ではしっかりとした土作りからこつこつと研究を重ねることで昭和60年頃にはすっかり生産量・品質ともに安定するようになりました。
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ラ・フランスは販売開始基準日が設けられている
ラ・フランスは収穫してから追熟が必要
ラ・フランスの生産地である山形県では、他の果物とは異なりラフランスを収穫してから徹底した温度管理の元で追熟を行っています。
この追熟期間は、過去の生育記録や現在の生育状況などから全て計算が行われることで、毎年の販売開始基準日が決定されることが特徴となっています。
食べごろのラ・フランスの見分け方は?
ラ・フランスは、完熟すると特徴的なフルーティで甘い香りが漂ってきます。また、ラ・フランスの軸にシワが出てくるだけでなく、周囲の皮部分までシワが出てくるころが最も食べごろです。
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まとめ
この記事をまとめると
- ラ・フランスはフランス原産の果物だが、現在は日本でのみ栽培されている
- 日本では最初にラ・フランスが持ち込まれた山形県での収穫や栽培が盛んに行われている
- ラ・フランス以前に日本に入ってきた洋梨バートレットが長い間主流になっていた時期は100年にも及ぶ
- ラ・フランスは収穫されてから独自の追熟を行う必要があり、山形県ではこの追熟を計算した販売開始基準日を毎年設けている
いかがだったでしょうか。
ラ・フランスを食べる際は故郷でもあるフランスを思い浮かべると、より味わい深く楽しめるかもしれませんね。
この記事がみなさんの参考になれば幸いです。
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