妊娠中の食事には食べても良いもの・控えた方が良いものがありますが、“卵”は妊婦さんが食べてもいいのでしょうか?生卵は控えた方が良いよ言いますが、どんな危険性があるのでしょうか?妊娠中に必要な栄養素と共に解説いたします。
- 卵が妊娠中でも食べられる?
- 卵が含む主な栄養素とは?
- 生卵は食べていけない?
- 胎児がアトピーやアレルギーになる?
- 妊娠中でもおいしいアレンジレシピ
これらのテーマについて紹介いたします。
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目次
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卵ってどんな食べ物?
エネルギー(100gあたり) | 151kcal |
糖質量(100gあたり) | 0.3g |
私たちが普段食べている卵はニワトリ(鶏)の卵です。栄養価が非常に高いのはご存知の通りで「完全栄養食品」と呼ばれています。
農林水産省の令和元年の統計調査によると、国内の卵の生産量トップは茨城県、第2位が鹿児島県、そして3位が千葉県と続きます。
6キユーピータマゴ株式会社によると、日本の1人当たりの卵年間消費量は337個。ほとんど毎日卵を食べている計算になります。この数は世界でもトップクラスの水準なのです。
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卵は妊娠中に食べても大丈夫?
卵は、妊娠中でも食べられるオススメ食材です! 卵には食物繊維とビタミンC以外のほとんどの栄養素が含まれており 、その栄養価の高さから『完全栄養食品』と言われています。
卵には“タンパク質”が豊富に含まれており、妊娠中の体つくりをサポートします。卵1個当たりには、6.2gのタンパク質が含まれています。妊娠中にはどのくらいタンパク質を摂れば良いのか、詳しい数値についてみてみましょう。
妊娠中期以降はタンパク質量を増やして
タンパク質は体を作る上で欠かせない栄養素ですが、妊娠中は妊娠前よりも摂取量を増やす必要があります。妊娠初期・中期・後期それぞれの摂取目安量はこちらです。
- 妊娠前の成人女性…50g/1日
- 妊娠初期…50g/1日
- 妊娠中期…60g/1日
- 妊娠後期…75g/1日
妊娠中期以降、胎児の成長に合わせて摂取すべきたんぱく質量がアップします。1日50gだった妊娠前・妊娠初期よりも+10g必要量が増えて1日60gを、後期には1日75gを目安に摂ることが望ましいとされています。
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卵に多く含まれる主な4つの栄養素
たまごは良質なタンパク質を含んでおり、栄養の宝庫です。また、人の体で作れない8種類の必須アミノ酸すべてがバランス良く含まれており、消化吸収にも優れています。
- たんぱく質:たんぱく質は20種類のアミノ酸が複数個結合することで作られています。結合するアミノ酸が種類や配列によって様々な臓器や組織の材料になります。特に筋肉の材料として使用されるため、多くの摂取が望ましいです。食品では魚や肉、大豆に多く含まれており、様々な種類を多く摂ることが大切です。
- メチオニン:メチオニンは、硫黄を含む結合を持つアミノ酸です。加えてどの様なたんぱく質の合成にも必ず最初にメチオニンから他のアミノ酸が結合して組織が作られます。体のかゆみの原因になるヒスタミンの分泌を抑制し、抗うつ効果も注目されているアミノ酸です。
- フェニルアラニン:フェニルアラニンは脳内物質のドーパミンやノルアドレナリンの材料になるアミノ酸です。体の自律神経の働きや機能を向上させ、活動時の集中力を向上させます。人間本来持つ元気な活力の元であると同時に記憶力を高め、交感神経を優位にさせる力があります。
- トリプトファン:トリプトファンは、脳内物質メラトニン、セロトニンの材料です。メラトニンは人間の睡眠の質に関わる物質で、セロトニンは脳内を穏やかにする働きがあります。不足すると睡眠の質が低下やいつもイライラすると言った症状が現れます。摂取することで冷静で穏やかな思考を保ちます。
妊娠中に卵を食べるとアレルギーやアトピーになる?
“妊娠中に卵を食べると、赤ちゃんが卵アレルギーやアトピーになる”と言われることがありますが、これらに科学的根拠はありません。 卵は妊娠中でも安心して食べることができます◎
お腹の赤ちゃんへの影響を考えて妊娠中に卵を食べるのを控える方もいるようですが、妊娠期に卵を控えてもアレルギーやアトピーの発症を防ぐことには繋がりません。卵には栄養素が豊富に含まれているので、積極的に食事に取り入れたい飲料です。
しかし、妊婦さんが卵を食べる時は、加熱することが必須です。生卵は控えた方が良いとされています。その理由について詳しく見てみましょう。
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生卵は妊娠中食べられない!
生卵には、“サルモネラ菌”が付着・混入していることがあるため、妊娠中は加熱調理が必須です。 サルモネラ菌は卵の中身や殻に付着 しています。
食中毒を起こした場合、直接胎児には影響しませんが、繰り返す下痢によって子宮収縮を起こし、早産や流産リスクが上がる原因となります。
生卵を使った料理には、卵かけご飯(TKG)やすき焼きなど美味しいものが多いですが、妊娠中はリスク回避のため控えるようにしましょう。
妊娠中でも安全おいしい卵のおススメレシピ
妊娠中に卵を食べるには、どんなレシピがあるのでしょうか?卵料理には様々なバリエーションがありますが、妊婦さんでも安心して食べられる栄養満点オススメの卵レシピをご紹介!栄養たっぷりなので是非お試しください♩
ほうれん草オムレツ
ほうれん草を混ぜ込んだオムレツは、朝ごはんやお昼ご飯に食べたい卵料理の一つです。ほうれん草には、貧血予防効果のある鉄分や、皮膚や臓器の形成をサポートするβカロテンが豊富に含まれています。どちらも妊娠中に摂りたい大切な栄養素です◎
- ほうれん草に含まれる鉄分で貧血予防!
- 卵はしっかり加熱して食中毒を予防して
親子丼
鶏肉にもタンパク質が多く含まれているため、妊娠中の栄養補給としてオススメなのが親子丼です。卵は半熟派の方が多いかと思いますが、妊娠中はサルモネラ菌のリスクがあるのでしっかり加熱した方が安心です◎
- 鶏肉で更にタンパク質量アップ!
- 卵はしっかり加熱して食中毒を予防して
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妊娠中に食べたい食材・控えたい食材・食べてはいけない食材60選まとめ
妊娠中にどの食材を食べればよいのか?どの食材を控えれば良いのか?というのは非常に気になるところです。代表的な60食材でまとめました。
妊娠中に積極的に摂りたい食材
妊娠中に積極的に摂りたい食材には、どんなものがあるのでしょうか?その食材が含む、妊娠中に摂りたい栄養素とあわせてチェックしてみましょう!
- 豚肉 …たんぱく質+ビタミンB群
- 鶏肉 …たんぱく質
- 牛肉 …たんぱく質+鉄+亜鉛
- 青魚 …DHA・EPA
- 鮭 …たんぱく質+ビタミンB6+ビタミンD
- ぶり …鉄
- かつお…鉄
- 白身魚…たんぱく質
- 貝類 …鉄+亜鉛
- 桜エビ…カルシウム
- 卵 …たんぱく質
- ブロッコリー…葉酸+カリウム
- 青菜 …葉酸+鉄+カリウム+カルシウム
- ヨーグルト …たんぱく質+カルシウム
- 納豆 …葉酸+ビタミンE
- 大豆(大豆製品) …たんぱく質+鉄+ビタミンE+カルシウム
- いちご …葉酸
- アボカド …ビタミンE+カリウム
- トウモロコシ …葉酸+ビタミンE
- グリーンアスパラガス …葉酸
- 枝豆 …葉酸
- そら豆 …葉酸
- トマト …カリウム
- もずく …ミネラル+食物繊維
- きのこ …食物繊維+ビタミンD
- 切り干し大根 …食物繊維
- もち麦 …食物繊維
妊娠前から必要と言われている葉酸やビタミン類、妊娠中に不足しがちな食物繊維やカルシウムなどのミネラル類を補える食材には、上記のようなものがあります。
これらの食材を妊娠中の食事にバランス良く加えることで、ママの体や胎児の発育に良い効果をもたらします。妊娠中は食べ物の嗜好が変化することもありますが、できる範囲で色々な食材を食べるようにしましょう!
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妊娠中に少量に控えたい食材
妊娠中の食事は栄養素のバランスが大切ですが、中には控えておくべき食べ物がいくつかあります。食中毒リスクや、食べると胎盤を通じて胎児に届き、成長に悪影響を及ぼすものなど様々です。妊娠中に控えたい食材について、確認していきましょう。
食中毒や感染症のリスクのあるもの
- お刺身
- 生卵
- ローストビーフ
- 生ハム
- ナチュラルチーズ
- 肉・魚のパテ
メチル水銀を含むもの
- 金目鯛:1回80gを週に1度まで
- メカジキ :1回80gを週に1度まで
- メバチマグロ:1回80gを週に1度まで
- 本マグロ:1回80gを週に1度まで
- エッチュウバイ貝:1回80gを週に1度まで
- くじら:1回80gを週に1度まで
- きだい:1回80gを週に2度まで
- インドマグロ:1回80gを週に2度まで
- マカジキ:1回80gを週に2度まで
- くろむつ:1回80gを週に2度まで
ヨウ素・ヒ素を含む食べ物
- 昆布 :1日1回少量
- ひじき:小鉢2杯程度を週に2度まで
カフェインを含む飲み物
カフェインを含む主な飲み物と、100mlあたりのカフェイン量は下記となります。
- コーヒー …約60mg
- 紅茶 …約30mg
- 緑茶 …約20mg
- ほうじ茶 …約20mg
- ウーロン茶 …約20mg
- ココア …約10mg
糖分を多く含むお菓子やジュース
糖分を多く含むお菓子や、甘いジュースなども妊娠中には控えたい食べ物です。甘いものを過剰摂取することで、妊娠前は糖尿病を持っていなくても妊娠期間中に糖尿病を発症することがあり、『妊娠糖尿病』と呼ばれています。
より多くの栄養を胎児に与えようとする体の自然な働きと考えられていますが、妊娠糖尿病になると胎児に合併症が出る危険性があります。
ビタミンAを多く含む食べ物(妊娠初期)
“動物性ビタミンA”を妊娠初期に摂取し過ぎると、胎児の形成異常の原因となると言われています。ビタミンAを多く含む食べ物には、下記のようなものがあります。
- レバー
- うなぎ
- あなご
塩分を多く含む食べ物
妊娠中に塩分を過剰摂取すると、『妊娠高血圧症候群』という病気になることもあります。この病気を発症する確率は、妊婦さん20人に対し1人と言われており、妊娠中の食生活が原因で引き起こされます。
妊娠34週(妊娠9ヶ月)未満で引き起こした場合は重症化リスクが高く、胎児発育不全(赤ちゃんが育たない)・常位胎盤早期剥離(赤ちゃんに酸素が届かない)・胎児機能不全(赤ちゃんの状態悪化)となる可能性があります。酷い場合は胎児の命に関わることもあるので、食事には注意が必要なのです。
妊娠中に食べてはいけない食べもの
- 生肉(ローストビーフ・ユッケ・馬刺し・お刺身・パテなど)
- アルコール
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まとめ
この記事をまとめると
- 卵は妊娠中でも飲める!
- 卵に含まれるタンパク質:エネルギー作りには欠かせない栄養素!
- 妊娠中に卵を食べることで赤ちゃんがアレルギーやアトピーになることはない!
- 生卵にはサルモネラ菌による食中毒リスクがあるので妊娠中は控えた方が良い!
卵にはタンパク質をはじめとする栄養素が豊富に含まれているので、栄養不足になりがちなつわり中にもオススメです。食べ方のバリエーションは豊富にあるので、お好みの卵料理にアレンジして栄養を摂るようにしましょう!
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