養殖の魚にアニサキスはいる?エビ・サーモン・サバなど養殖にはいない?

アニサキスは魚類に寄生し、私たちがその魚を食べると食中毒を起こすという危険な寄生虫です。海に住む一部の魚に寄生するアニサキスですが、養殖魚の場合アニサキスはいるのでしょうか?いないのであれば、養殖の魚は安心して食べられることになります。今回は、

  • アニサキス食中毒の原因と症状
  • 養殖魚にアニサキスはいる?
  • アニサキスがいないのはどんなケース?

これらのテーマについて紹介いたします。

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アニサキスとは?

アニサキスは海を住処とする魚に寄生する寄生虫で、始まりはクジラやイルカなど大きな生き物の排泄物から誕生します。小さなアニサキスの卵を小さな動物プランクトンが食べ、その動物プランクトンをオキアミが食べ、そのオキアミを小魚が食べ…という食物連鎖によって寄生先を変えて生き続けるものです。

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アニサキス・ピグレフィー

アニサキスにもいくつか種類があることを知っていましたか?食中毒を起こすアニサキスには、下記3つの種類があります。

  • アニサキス・ピグレフィー
  • アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト
  • アニサキス・シンプレックスC

どれも名前に『アニサキス』が付きますが、海の領域によって生息しているアニサキスの種類が分かれています。太平洋側で漁れる魚に寄生している80%以上が”アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト”日本海側で漁れる魚に寄生している80%が”アニサキス・ピグレフィー”です。

アニサキスは基本的に魚の内臓部分に寄生しており、 宿主である魚が死ぬとアニサキス・シンプレックス・センス・ストリクトは魚の筋肉部分に移動 します。これに対して、 アニサキス・ピグレフィーは魚が死んでも内臓部分にとどまる習性 があります。

しかし、だからといって日本海側で漁れる魚(アニサキス・ピグレフィーがいる可能性のある魚)が安全というわけではないので注意しましょう。アニサキスを含む魚を生で食べる際は、どの領域で漁れた魚に関しても気をつける必要があります。

食べてしまったらどうなる?

アニサキスによる食中毒症状は、主に激しい腹痛・吐き気・下痢です。アニサキスが消化器官の粘膜に刺入することで痛みを伴い、刺入した場所によって「胃アニサキス症」「腸アニサキス症」に分かれます。

自然治癒する?

アニサキスは人の体内では生き続けることができないため、4〜5日ほどで死滅しますがその間は症状が継続します。中には我慢できる痛みで症状が軽いケースもあり、その場合は自然治癒を待つのも可能です。

大抵の場合は激しい腹痛を伴うので、自宅で自然治癒を待つというのは難しいかもしれません。病院に行くと内視鏡検査でアニサキスの場所を特定し、刺さったアニサキスを抜き取る処置を受けることができます。

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養殖の魚にアニサキスはいる?

さて、本題の『養殖の魚にアニサキスはいる?』というテーマについてです。結論からお答えすると、養殖の魚にアニサキスはいません!

海に生息するサーモン、マグロ、エビ、サバ、鯛などの天然物の魚にはアニサキスがいても、養殖魚の場合は同じ魚でもアニサキスが寄生していることは物理的にないので安心して食べることができます。その理由について詳しく見てみましょう。

養殖魚にアニサキスがいない理由

養殖魚にアニサキスがいない理由ですが、海とは別の場所で養殖されている魚は、 食べているエサや環境が決まっているので物理的にアニサキスを食べる機会がありません 

元々アニサキスは、クジラやイルカの排泄物から生まれます。その排泄物を食べた小さな生き物を魚が食べる食物連鎖によって、私たちが食べている魚にアニサキスが寄生することになるのですが、 養殖場ではアニサキスを交えた食物連鎖が起こらない ため、アニサキスを含むことがないのです。

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アニサキスがいない他のケース

アニサキスがいない他のケースを4つご紹介いたします。

淡水魚、淡水のカニ・エビ

1つ目は淡水魚・淡水のカニやエビです。 アニサキスは海に生息する寄生虫で、淡水では生きることができません 。従って、淡水魚や淡水に住むカニやエビにはアニサキスが寄生していないのです。

しかし、海と淡水の交わるエリアに生息している魚についてはグレーゾーンです。淡水魚稀にアニサキスが寄生していることもあり、絶対にいないとは言い切れないので注意しましょう。

注意

淡水魚や淡水のカニ・エビには他の寄生虫がいることも

アニサキスの危険性は無い淡水に住む魚介類ですが、淡水特有の寄生虫がいることはあります。“メタセルカリア”という寄生虫で、別名“横川吸虫”とも言われています。

鮎(アユ)やシラウオ・ウグイなどの淡水魚に寄生するもので、生で食べると腹痛や下痢を起こすことがありますが、食べても症状が出ないことも多く、加熱すれば死滅するのでそれほど危険性はありません。

貝類

2つ目は貝類です。プランクトンをエサとする二枚貝や、その二枚貝やゴカイ類などを食べる肉食の巻貝なども含め、総じて貝類にはその食性からアニサキスはいないと言えます。

注意

貝類には貝特有の「貝毒」という食中毒がある

アニサキスはいない貝類ですが、貝には貝特有の“貝毒”という食中毒があります。貝毒は二枚貝が毒素を持ったプランクトンを餌として食べ、体内にその毒を蓄積させることで起こります。この毒は熱処理をしてもなくならず、毒をもっている時点で食べることはできなくなります。

都道府県では有害プランクトンの発生状況を定期的に調査し、二枚貝について、都道府県や生産者により定期的な貝毒検査が行われています。そのため市販の貝類で貝毒による食中毒を起こすことはほとんどありませんが、 潮干狩りなど自分で収穫した貝類を食べる時は注意 が必要です。

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アニサキスを食べない一部の海水魚

3つ目はアニサキスを食べない海水魚です。アニサキスが生息する海の魚にも、アニサキスを食べない海水魚がいます。アニサキスはオキアミから始まり、イワシなどの小魚、そして最後は鯨やイルカなどを寄生宿とします。この食物連鎖に入らない魚が、アニサキスを含まない魚の種類です。

アニサキスのいない魚
  • ボラ ⇒オキアミや小魚を食べない
  • ナマコ⇒ エサ:デトリタス(有機物粒子)
  • ホヤ ⇒ エサ:植物プランクトン・デトリタス
  • ウニ ⇒ エサ/海藻・デトリタス

このように、食べるエサの種類が異なるためアニサキスが寄生することがないのです。

海底を住処とし主なエサがアニサキスを含まない魚介

4つ目は海底を住処とする魚介類です。海底のエサは海面近くとは異なり、アニサキスを含んでいません。こうした魚たちの食生活の違いにより、アニサキスがいない魚介類もいるのです。海底を住処とするためアニサキスを含まない主な魚類は下記になります。

海底に住む魚介

タコ・アナゴ・ウツボ・カニ類・エビ類・シャコ・カサゴ(ガシラ)・ハゼなど

まとめ

この記事をまとめると

  • 養殖魚にはアニサキスはいない!
  • その理由は、餌が決まっていてアニサキスを含む食物連鎖が起こらないから
  • 淡水魚・貝類・アニサキスを餌とする生き物を食べない魚・海底に住む魚にもいない

アニサキスは海を住処とする魚類に寄生するものですが、養殖魚にはアニサキスを含む食物連鎖が起こらないため、アニサキスがいる危険性はありません。同じ魚でも天然物と養殖物で違いがあるのです。

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