苦玉という言葉を知っていますか?お魚をよく食べる日本人なら一度は聞いたことがあるかもしれません。
ですが、スーパーなどで売られている魚は取り除かれていることが多く、知らない方もいて当然でしょう。ということで、今回は苦玉についてご紹介いたします。
- 苦玉って何?
- 栄養はあるの?苦玉の毒って?
- 鯉の苦玉には注意
- 苦玉以外で気をつけること
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目次
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苦玉ってなに?
なんの処理がされていないお魚を捌くと、 濃い緑色の袋 が出てきたことはありませんか。それが苦玉(にがだま)です。食べ物を消化するためにある内蔵の1つで、魚の 「胆のう」 のことを指します。
ちなみに、人間にも胆のうはありますが、苦玉は主に料理人がお魚のみで使う言葉です。扱いが難しく、お魚を捌くときはキレイに取り除かなければなりません。
なんで苦玉って呼ばれている?
なぜ苦玉と呼ばれているかというと、文字の通り、 吐き出してしまうほど苦い からです。胆のうの役割は、肝臓で作られた胆汁を溜めておくことなのですが、この 胆汁が強い苦味を発しています。
お魚を捌くときはとてもやっかいな箇所で、破ってしまうと お魚自体が苦くなってしまい、時には臭くなってしまいます 。
お魚だけでなく、包丁やまな板も根気よく洗わないと取れないくらい染み付いてしまうこともあるので、細心の注意を払って捌く必要があります。
苦玉の栄養
中国では、 体の不調な部分と、同じ部分の食べ物を食べると良い という薬理があり、胆を食べることは、胆嚢を強くし、それにより肝臓を強化へつながり、肝臓が良くなることにより、目も良くなるという考えとなります。
そこで、鯉の苦玉は「鯉担(りたん)」や「鯉魚担(りぎょたん)」と呼ばれ、昔から漢方薬とされてきたそうです。
滋養強壮・眼精疲労の回復・咳止め・聴力向上 などの効果があると信じられ、東南アジア、中国、日本などのアジア地域で民間薬として古くから使用されています。
また、胆には胆汁酸が含まれていますが、この胆汁酸が 利胆作用・肝臓解毒機能増進・免疫物質生産作用 などの効果があると言われています。
ですが、やはりリスクも高く、知識のない人が食べることは危険です。
苦玉には毒が?
苦玉には、食べられるお魚とそうでないお魚があります。 アユやサンマ は、苦味をアクセントとしてあえて食べているもので有名です。
基本的に苦くて食べられない箇所ではありますが、お魚によっては強い毒性を持つものがあるため気をつけなければなりません。
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鯉の苦玉には毒が?
まさに、毒性を持つお魚というのが、コイ目魚です。「コイ毒」と呼ばれる強毒を持っていて、食べるとひどい体調不良に襲われます。
鯉の苦玉を潰してはいけない理由
先ほども述べたように、鯉を捌くときは、苦玉を潰さないように捌かなければなりません。もし、潰してしまうと苦玉から液が漏れ、少しでもお魚につくと洗っただけでは苦みや臭みが取れないからです。
また、コイ毒は胆汁酸という成分から構成されています。それを摂取することで、 嘔吐や下痢・消化器系の中毒・腎不全・肝機能障害 など症状は重く、重篤なものになることもあります。
日本では、鯉の筋肉を摂取することで起こる中毒もあります。症状は、 下痢・嘔吐・腎不全・肝機能障害・痙攣・麻痺・意識不明 など、症状は重いです。
死ぬ可能性も
中国の統計では,1970~75年の間にコイ科魚類の胆のうによる食中毒が82件発生し,そのうち死者21人が出ているのだそうです。(厚生労働省HPより)
報告された中毒件数や死者数は、フグ中毒の次に多いとされています。
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苦玉以外に気を付けることは
お魚を食べる際に、苦玉以外でも気をつけなければならないのが、食中毒です。特に、釣りをしたりお刺身をよく食べる私たち日本人なら知っておいたほうがいいでしょう。
アニサキス食中毒
アニサキスは鮮魚介類に寄生している寄生虫です。アニサキスを生きたまま食べてしまうと、胃や腸壁に侵入し、 激しい腹痛・嘔吐・じんましん などの中毒症状を引き起こします。
具体的には、サバ・サンマ・カツオのお刺身料理での食中毒が多く報告されています。他にも、サケ・アジ・スルメイカ・イワシ・タラ・マス・ニシンなどの鮮魚介類も原因になっています。
アニサキスによる食中毒の発生件数は年々増加しているので、注意しなければなりません。
アニサキスの対処法
アニサキスは熱に弱く、 60度数秒の加熱 で死滅します。一方、低温には強く冷蔵庫に入れて置くだけでは死滅することはありません。
冷凍庫で マイナス20度以下で24時間以上冷凍状態 にさせることでアニサキスを死滅させることができます。
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まとめ
この記事をまとめると
- 苦玉とは、消化器の一つである胆のうのこと。
- 人間にもあるが、苦玉とはお魚の場合だけ使われる言葉。
- 綺麗に取り除かないと苦みや臭みが残る。
- 主に中国では、漢方薬として使われている。
- コイ目魚の苦玉には強い毒があり、食べるとひどい症状に襲われる。
- コイ目魚の苦玉による中毒で死亡例もある。
- お魚を食べるときはアニサキスにも注意。
- 激しい腹痛・嘔吐・じんましんが発症し、アニサキス食中毒は年々増加している。
- 加熱か長時間の冷凍で死滅できる。
漢方で使われていると言っても苦玉をそのままお薬に使っているわけではないですし、何よりリスクが大きいため食べることがないようにしましょう。
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