「鐶紋(かんもん)」という家紋があるのですが、この家紋は一体なにを描いたものだと思いますか?
現代ではあまり見なくなった、家具のとある部分をモチーフにしたものなのですが、ちょっと意外なものなのです。
今回は、「鐶紋」の意味・由来・種類について詳しくご紹介いたします。
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目次
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鐶紋の意味・由来とは?
読み方 | かんもん |
家紋の分類 | 器物紋 |
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鐶は、タンスや茶釜、手箱などの引き手部分に用いられる金具を指します。現在ではあまり見ないタンスのデザインですが、かつではこのような持ち手のタンスが一般的でした。
紋としての誕生は不明とされていましたが、幾つかの鐶を組み合わせて構成されたり、他の紋と合わせて使用されていました。
藤原氏流の松波氏や、清和源氏流の北村氏などが使用していました。
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鐶紋の種類いろいろまとめて解説
鐶紋にはどのような種類があるのか、2つのタイプに分けてご紹介したいと思います。
「鐶紋のみ」で構成された鐶紋
五つ鐶 |
鐶輪 |
木瓜形四つ鐶 |
繋ぎ三つ組み鐶 |
外五つ鐶 |
外六つ鐶 |
外四つ鐶 |
外三つ鐶 |
鐶紋のみを使用した家紋には内側と外側、それぞれ向きが異なる2パターンがありました。上段の左から3つは、そのデザインの例です。
基本形は5つの鐶を使用した「鐶紋」なのですが、花型のように並べた「五つ鐶」や、「木瓜紋」のような形に並べた「木瓜四つ鐶」など種類は様々です。
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ちなみに「木瓜紋」とは植物の瓜の断面を描いたもので、織田信長も家紋に用いていたものでした。
詳しくはこの記事をチェック!
また、「繋ぎ三つ組み鐶」のように、輪に鐶紋を絡めたようなデザインもありました。一見知恵の輪のような家紋ですね。
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「鐶紋+他の家紋」で構成された鐶紋
六つ鐶に橘 |
五つ鐶に桔梗 |
五つ鐶輪に桜 |
八つ鐶に九枚笹 |
丸に四つ鐶に四つ目 |
五つ鐶に三つ巴 |
五つ鐶に三つ鱗 |
平外六つ鐶に槌 |
続いては鐶紋の中に別の紋を入れたデザインのものです。植物紋はよく他の紋と組み合わせて使用することが多いのですが、上段には「鐶紋×植物紋」をピックアップしました。
鐶紋と合わせた「植物紋」の意味・由来とは?
それぞれ独自の家紋があるもので、このような意味合いや由来を持っていました。
- 橘……いつの季節でも葉が茂ることから「永遠」の意味合い
- 桔梗…この花で「吉凶を占っていた」ことが由来
- 桜……かつてから「日本の代表的な花」であったことが由来
- 笹……縁起が良いものとして「神事に使用していた」ことが由来
それぞれの植物紋には、このような意味合いがあり、様々な家紋とともに用いられていました。
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下段には、それぞれジャンルの異なる紋と組み合わせたものをピックアップしました。このように、鐶紋はあらゆる家紋と組み合わせることで多様なバリエーションを持っていました。
まとめ
タンスの持ち手をモチーフとして珍しいデザインの家紋「鐶紋」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
家紋には様々なものが描かれていましたが、持ち手を使用したのはなぜなのか、その発祥が気になりますよね。
鐶紋のように発祥不明の家紋は多数ありますので、それを想像してみるのも家紋の面白いところです。
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