魚を食べてそれほど時間が経たないうちに、食物アレルギーのような症状を引き起こす『ヒスタミン食中毒』をご存じでしょうか?多くの場合は半日〜1日で自然に回復しますが、毎年発生していて保育園や小学校の給食で集団で発生することがあり、患者数の約6割が14歳以下です。もちろん家庭や飲食店で起こることもありますし、大人も発症します。ヒスタミン食中毒の症状はアレルギーとよく似ているので、症状が出たときに勘違いしてしまわないように『ヒスタミン食中毒』と言うものがあることを知っておくことが大切です。そこで、今回は
- ヒスタミン食中毒とは?
- ヒスタミン食中毒の症状
- ヒスタミン食中毒の治し方
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目次
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ヒスタミン食中毒とは?
ヒスタミンはもともと身体の中にある物質で、肥満細胞や白血球、脳など全身に散らばっています。体内では神経細胞間の情報伝達に関わっていて、血圧の降下や血管の拡張透過性の亢進、平滑筋の収縮などを行う体に必要な成分です。ところが、体外から大量に入ってしまったヒスタミンは中毒症状を起こします。
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なぜ起こる?
ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンが大量に体内に入ってくることで起こります。ヒスタミン食中毒の原因になるヒスタミンは、食品に含まれるヒスチジンというアミノ酸にヒスタミン生成菌が付着することで食品内で生成され蓄積します。食品中のヒスタミン生成菌は常温で増殖していくので、温度管理がきちんとされていないと、どんどんヒスタミンが増えていってしまいます。
さらに一旦できてしまったヒスタミンは熱に強く、加熱調理しても除去できないので加熱調理されたものでもヒスタミン食中毒は起こります。また、ヒスタミンが増えていても食品が腐敗しているわけではないため、臭いや見た目で判断できません。ヒスタミン食中毒にならないためには、 ヒスタミン生成菌を増殖させないように冷蔵庫で保管する ことや、 買ってきた食材はヒスタミン生成菌が付着している可能性があるので、増殖する前に早めに食べる ことが大切です。
なる人とならない人がいる理由
同じものを一緒に食べてもヒスタミン食中毒になる人とならない人がいます。これは、その時の免疫力や健康状態が関係しています。健康な人なら胃酸や腸内細菌で分解されてしまうヒスタミンが、免疫力が落ちている人や体調が悪い人の場合には、対応できず食中毒の症状が現れます。
ヒスタミン食中毒は子供に多い
ヒスタミン食中毒は毎年発生しています。そして発症した人の約60%が14才以下です。しかし、『ヒスタミン食中毒が怖いから魚は食べない。』と言うのは現実的ではありません。魚には子供の成長に欠かせない栄養がたくさん含まれています。近年は冷凍技術が向上し、加工時の温度管理も徹底されるようになったため、年間の発生件数は10件程度と少なくなっています。家庭でも買ってきた食材の温度管理を徹底して行えば、ヒスタミン食中毒になる危険性は低いと考えられます。
参考:厚生労働省 ヒスタミン食中毒について
どんな食品が多い?
ヒスタミン食中毒は、ヒスチジンというアミノ酸が多い食品で起こることが多いです。ヒスチジンはマグロ、カジキ、ブリ、サバ、サンマ、アジなど赤身魚に多く含まれます。そのため、不適切な管理の元ではヒスタミンが増殖しやすく、ヒスタミン食中毒の原因になりやすいとされています。
魚だけでなく、ハムやソーセージなどの加工品や、ワインやチーズなどの発酵食品にもヒスチジンが含まれるためヒスタミン食中毒が起こることがあります。
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ヒスタミン食中毒の症状
ヒスタミン食中毒で起こる主な症状をまとめました。
蕁麻疹
ヒスタミン食中毒で最も起こりやすいのが、蕁麻疹や皮膚の赤み、かゆみなどです。特に口の周りや顔、耳の辺りまでに症状が出ることが多いようです。口の中がヒリヒリしたり、腫れたりすることもあります。これらの症状は原因となる食品を食べてすぐに起こることが多いです。
腹痛
原因となる食品を食べてから1時間程度経ってから腹痛が起こることがあります。腹痛が強いと下痢や嘔吐などの症状も併せて起こることがあります。
頭痛
ヒスタミン食中毒では頭痛が起きることがあります。
発熱
腹痛や頭痛などと併せて発熱することもあります。
潜伏期間は?
ヒスタミン食中毒は原因となる食品を食べた直後から1時間以内に症状が出ることが多いですが、まれに3時間程度経過してから起こることもあります。
ヒスタミン食中毒の治し方
ヒスタミン食中毒は、症状が出ても軽度な場合が多く、ほとんどの場合半日〜1日で回復します。そのため、基本的には安静に過ごせば問題ありません。嘔吐や下痢が続く場合は、脱水になってしまうことがあるので、無理のない範囲で水分を取るようにしましょう。
医療期間を受診する
ヒスタミン食中毒はほとんどの場合で自然に回復しますが、免疫力が弱いお年寄りや子供は重篤な症状が出ることがあります。強い腹痛や嘔吐や下痢が続く、呼吸がしにくくなる、頻脈など重い症状が出た場合にはすぐに医療機関を受診しましょう。抗ヒスタミン薬など症状を改善させる薬があります。
医療機関を受診するときには症状が出る前に食べたものや量などを伝えると診察がスムーズになります。
治るまでどれくらい?
ヒスタミン食中毒は半日〜1日で回復することが多いです。
まとめ
『ヒスタミン食中毒の症状・潜伏期間、治し方』についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
この記事をまとめると
- ヒスタミン食中毒は蕁麻疹や腹痛、頭痛、熱など食べ物アレルギーと似た症状が起きる
- 原因となる物質を食べた後すぐに症状が起こることが多い
- ヒスタミン食中毒ほとんどの場合、半日〜1日で回復する
ヒスタミンはもともと体内にあり、体に必要な物質なのですが、外から大量に摂取してしまうことで食中毒になってしまいます。食品の正しい管理を徹底することで防げるので注意したいですね。
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