ヤシの木によく似た「棕櫚(しゅろ)」という植物があります。ヤシと同じヤシ科の木ですが、ヤシとは別の植物で、家紋にも使用されていました。
実物を見てみると南国に生えているような、あまり日本らしくはない植物なのですが、家紋としてはどのような扱いをされていたのでしょうか?
今回は、「棕櫚紋」の意味・由来・種類や、神紋として使用している大社についてご紹介いたします。
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棕櫚紋の意味・由来とは?
読み方 | しゅろもん |
家紋の分類 | 植物紋 |
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棕櫚はヤシ科の常緑高木で、九州などの温かい地域に生息する幹の太い植物です。
古代中国では戦いの「勝利のシンボル」とされ、日本では「神霊の憑代」として文様や家紋になりました。
室町時代の軍用記である「太平記」にも棕櫚紋が登場し、藤原氏支流の米津氏や、清和源氏支流の佐々木氏、富士氏などが用いました。
棕櫚は九州地方をメインに生息するものの、家紋がよく用いられたのは静岡県や愛知県です。また、富士山本宮浅間大社の神紋としても用いられています。
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棕櫚紋の種類いろいろまとめて解説
一つ立ち棕櫚 |
抱き棕櫚 |
三つ割り棕櫚 |
変わり抱き棕櫚 |
向かい棕櫚菱 |
入れ違い棕櫚 |
加納抱き棕櫚 |
長江棕櫚 |
扇状の葉を持つ棕櫚紋は、どれもボリューム感のあるデザインとなっています。こうして並べてみると、円形状に構成されているものが多く見られます。
中には「向かい棕櫚菱」のように菱型にはめ込んだものや、「長江棕櫚」のように太い輪紋で囲んだものもあります。
葉の中に葉脈が描かれているものがほとんどですが、葉脈を描かないものは葉が11枚という特徴もあります。
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棕櫚を神紋とする富士山本宮浅間大社
静岡県富士宮市にある富士山本宮浅間大社では、神紋に棕櫚を使用しています。
棕櫚は暖かい地域に生える植物で、現在の富士山本宮浅間大社には植えられていませんが、「浅間大社境内絵図」には大社の横に数本の棕櫚が描かれています。
日本では、棕櫚は「神霊の宿る葉として昔から尊ばれた」とされているため、その意味合いから神紋に用いられるようになったのではないかと言われています。
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まとめ
ヤシの木のような植物、棕櫚をモチーフとした「棕櫚紋」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
棕櫚の葉には神が宿るとも言われ、大切に扱われていた植物でありました。家紋にはそのように神関係の家紋も複数ありますので、是非いろいろな家紋を見てみてください。
信仰によって普及したものや、単に文様として流行ったため普及したものなど、成り立ちは様々なので面白いですよ。
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