【家紋】松皮菱の意味・ルーツとは?永倉新八が使用した家紋

みなさんは子どもの頃、松の木の皮を剥がして遊んだことはありませんか?軽く触るだけでポロポロと剥がれる松の皮ですが、その剥がれた跡をデザイン化した「松皮菱紋」という家紋があります。

新撰組の永倉新八も使用していた紋で、種類豊富な日本特有の文様です。今回は、「松皮菱紋」の意味や由来、種類や代表的な使用者である永倉新八についてご紹介します。

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松皮菱の家紋の意味・由来とは?

読み方 まつかわびしもん
家紋の分類 植物紋
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松皮菱は、通常の菱の上下に小さな菱を重ねたようなデザインです。単に菱を重ねたものは「重菱」と言いますが、上下に重ねたものを「松皮菱」と言います。真ん中の菱が大きいことから、「中太菱」と言われることもあります。

松皮菱は、その形状が松の木の皮を剥がした時の様子に似ていることが由来しており、日本では広く知られているものの世界的に見ると珍しい日本特有の紋様です。

奈良時代から文様として衣服などに用いられるようになり、16世紀中頃から17世紀の近世初期に本格的な人気が出ました。

松は厳冬や酷暑にも強く、常に緑を保てることから、古代中国では節操が高いことを意味しました。また、神通力のある仙人が松の木を住居として松を食していたことから、「長寿延命」を表す縁起の良いシンボルでもありました。

松を使用した紋は「松紋」と「松皮菱紋」がありますが、松皮菱には厄除けの意味を込めて家紋に用いられていたと言われています。

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松皮菱の種類解説

中陰松皮菱

四つ松皮菱

鉄砲松皮菱

中陰松皮菱に蔦

三つ松皮菱

一重亀甲に松皮菱

丸に松皮菱

五つ松皮菱

松菱紋には、一つの松皮菱を使用したものもあれば、複数の松皮菱を組み合わせたもの、向きや色が異なるものなどアレンジは豊富にあります。

「中影松皮紋」は、中を白く抜いたシンプルな紋ですが、「中影松皮菱に蔦」など、松菱紋の中に別のモチーフを入れたものもいくつか存在しています。

「蔦」は樹木などに絡まって繁殖繁栄することから、「生命力の象徴」として紋に用いられていたため、この紋もその意味にあやかって作られたものと考えられます。

「鉄砲松皮菱」は、松皮菱の中に鉄砲を表す白丸を入れた紋ですが、鉄砲は武士に欠かせない武器であったため、主に武家で使用されました。

松皮菱を太い丸で囲んだ「丸に松皮菱」がありますが、紋を輪で囲むのはよく見られるタイプです。

輪で囲むことにより本家と分家を区別したり、中のモチーフを強調したり、紋をバランス良く見せるといった効果があります。

また、「一重亀甲に松皮菱」は、現在でも「キッコーマン」でお馴染みの亀甲紋の中に松皮菱を入れたデザインです。

「鶴は千年、亀は万年」と言うように、亀も縁起の良いものとして扱われていたため、このように亀甲と合わせて紋にするデザインも豊富に存在していました。

「三つ松皮菱」や「五つ松皮菱」は複数の松皮菱を使用して図形化しています。

松皮菱は一つでも特徴的な形をしていますが、それを上手く組み合わせることで変わった形を構成して紋にするパターンも多くありました。

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松皮菱を使った「永倉新八」

永倉新八の家紋「石持ちに松皮菱」と人物像-新選組二番隊隊士の生き残り-

新撰組の二番隊組長であった永倉新八も、松皮菱紋である「石持ちに松皮菱」を使用していました。詳しい永倉新八の歴史情報については、上記記事でご紹介しています。

nagakura4<石持ちに松皮菱>

黒い丸の中に白い松皮菱を入れた紋で、「石持ち」は食べ物の「餅」を指します。「餅紋」の一種で、黒いものを「黒餅」、白いものを「白餅」と呼んでいました。餅は「幸運の象徴」として紋に用いられるようになり、石持ちに松皮菱にもその意味が込められているものと考えられます。

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まとめ

新撰組の二番隊組長であった永倉新八も使用していた「松皮菱紋」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

松には、松そのものを図案化した「松紋」と、松の皮を剥がした時の様子を図案化した「松皮菱紋」が存在します。松皮菱紋は、厄除けの意味を込めて家紋に用いられるようになりました。

由来を知らないと松との関連がどうあるのかわかりにくい紋ではありますが、詳しい由来や紋に込められた意味を知ると、より紋の面白さを感じるものです。

今回ご紹介した松皮菱紋意外にも、沢山の種類がありますので是非調べてみてください。家紋から派生して歴史上の人物を知るのにも面白みがありますよ!

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