久留子紋(くるす)の意味・由来を解説!器物紋の一種の家紋

キリスト教が伝来すると、キリスト教のシンボルでもある「十字架」を家紋に用いたいと思う者が増え、誕生した家紋があります。

「久留子(くるす)紋」という名のその家紋は、馬の道具を表した「轡(くつわ)紋」をアレンジした紋です。どのようなものなのでしょうか?

今回は、「久留子紋」の由来や意味に加え、久留子紋・轡紋・キリスト教の関連についてご紹介いたします。

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久留子紋の意味・由来とは?

読み方 くるすもん
家紋の分類 器物紋
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久留子紋は別名「十字架紋」で、その名前の通り十字架をモチーフとした紋です。

「くるす」という名前は、ポルトガル語で十字架を「クルス」と言うことに由来しています。

キリスト教の伝来と共に武士の間でも改宗する者が増え、それと同時に家紋として用いられるようになりました。

久留子紋に似ている十字の入った「轡(くつわ)紋」をキリシタンがアレンジして誕生したのが久留子紋です。

しかし、キリシタンの弾圧により使用が禁止されましたが、他のモチーフと組み合わせて使用し続けるものもいたようです。

天草四郎や小西氏、小見川藩の内田氏などに使用されていました。

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久留子紋の種類いろいろまとめて解説

十字久留子

久留子

切り竹久留子

中川久留子

三つ久留子

角花久留子

久留子菱

花久留子

久留子紋には必ず十字型の模様が入り、シンプルなものと華やかさのある2タイプがありました。「十字久留子」は一番シンプルなもので、「切り竹久留子」は竹をモチーフとした久留子紋です。

また、「中川久留子」は中川氏が使用していたオリジナル家紋です。他にも、菱形の「久留子菱」、中心部の装飾が3つの「三つ久留子」などがありました。

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「久留子紋」の元となった「轡紋」とは?

冒頭でもお話しましたが、久留子紋は別の轡(くつわ)紋をキリシタンがアレンジして誕生した家紋です。

轡紋とは、馬の縄を引くために馬の口に付ける道具である轡をモチーフとしたもので、紋のほとんどに十字が入ったものなのです。

このような道具は見たことがあるのではないでしょうか?轡紋は久留子紋よりもシンプルに描かれ、尚武的な意味合いを持って家紋に用いられていました。

轡紋はキリスト教には全くの無関係なものでしたが、道具の形状から家紋には十字が描かれていたのです。

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キリシタンと久留子紋・轡紋の関係

日本は仏教の国なので、かつてはキリスト教であることを禁じられたことは皆さんご存知ですね。

江戸幕府は1612年にキリスト教禁止令を法令として制定し、踏み絵などを行いキリシタンがいないかどうか徹底的に調べあげました。

禁止となった宗教は邪宗門と呼ばれ、キリスト教のシンボルでもある十字型をした「久留子紋」は使えないものとなりました。

そこで、隠れキリシタンは「轡紋」を家紋に用い、轡の中に十字架を見出していたと言います。

現代の日本は自由に宗教を選ぶことができますが、当時は非常に厳しかったため、轡紋を使用することで見つからぬよう、こっそりと十字にあやかっていたそうです。

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まとめ

キリシタンの手によって生み出された「久留子紋」についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

キリスト教のための家紋でありましたが、キリスト教禁止令が出ると轡紋に乗り換えた者が増えたのは、そこまでしても十字と共にいたいという気持ちがあったからなのでしょう。

久留子という名前がポルトガル語からきていることも面白いですね。元となった轡紋についても是非チェックしてみましょう。

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