妊娠中の食事には食べても良いもの・控えた方が良いものがありますが、“つぶ貝”は妊婦さんでも食べることができるのでしょうか?
妊娠中につぶ貝を食べる危険性の有無や、つぶ貝が持つ栄養素と体への効果などに着目しました。それでは、
- つぶ貝は妊娠中でも食べられる?
- 栄養成分と妊婦への効果
- 刺身・お寿司は食中毒が危険?
- 妊婦が貝を食べる時の注意点
これらのテーマについて紹介いたします。
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目次
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つぶ貝は妊娠中に食べても大丈夫?
妊娠中でも、加熱したつぶ貝であれば妊娠中でも食べることができます◎ つぶ貝以外でも、しじみやあさり、ハマグリ、牡蠣、ムール貝、ホタテ、アワビ、つぶ貝など、種類に関わらず大抵の貝は加熱済みであれば妊婦さんも食べられます。
加熱が不十分だと食中毒にかかる可能性が高いので、生の貝は絶対に控えるようにしましょう。貝のお刺身は非常に美味しいものですが、妊娠中は妊娠前に比べて免疫力が低下しています。
普段は食中毒にかかりにくい体質でも、妊娠中は少量でも食中毒となる可能性が高いので注意が必要です。では、貝による食中毒にはどのような原因菌や食中毒症状、母体や胎児への危険性があるのでしょうか?
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妊娠中の貝による食中毒の危険性
妊娠中に生の貝を食べると、食中毒症状が出る可能性が高くなります。お刺身やお寿司などで生貝を食べるのは、産後まで我慢しておくのが無難です。貝による食中毒菌には、下記のものがあります。
貝の主な食中毒菌と症状
- ノロウイルス
- 腸炎ビブリオ菌
- 病原性大腸菌
- 黄色ブドウ球菌
- ボツリヌス菌
生の貝や生焼けの貝には、これらの食中毒菌が含まれている可能性があります。加熱すればこれらの菌は死滅するものの、生の場合は生きたまま体内に入ってしまうため、食中毒症状を起こす危険性があります。妊娠中に食中毒を起こすことは、妊娠前と比べて様々なリスクがあるのです。
妊娠中に食中毒を起こすとどうなる?
“腸炎ビブリオ菌”や“ノロウイルス”、“病原性大腸菌”による食中毒を起こすと、腹痛や吐き気・下痢などの食中毒症状が現れます。
妊娠中の食中毒が危険と言われる理由は、繰り返し下痢を起こすと、子宮収縮を起こし胎児へ影響が出ることが考えられるからです。そして、本来であれば飲める薬も妊娠中には限られるため、食中毒になった時に満足な治療ができないこともあります。
- 治療に必要な薬が制限される
- 繰り返す下痢によって子宮収縮を起こす可能性がある
- 子宮収縮によって酸素や栄養が届きにくくなる
- 酷い場合は流産に繋がる可能性もゼロではない
つぶ貝が含む主な栄養素
- ビタミンB1:ビタミンB1は、人間の代謝に関わるビタミンで、炭水化物を糖に分解し、エネルギーを作り出す経路の最初を担います。食べた糖質全般を燃焼させる工程に関わるため、不足すると疲れやすくなります。また脳の神経伝達物質にも関わり、集中力を増やすや手足の痺れにくくすると言った働きがあります。
- ビタミンB2:ビタミンB2は、たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝で、酵素に近い補酵素としての働きます。ビタミンB2は単独では酵素としての働きは持たないものの、体内で特定の分子がつくことで代謝の働きを担います。三大エネルギーの分解の他、体内の活性酸素の除去作用も持っています。
- ビタミンB12:ビタミンB12には、細胞分裂に関わり、特に乳児や人間の血球の文化には不可欠な栄養素です。細胞分裂の際の、DNAの複製に関わるため、不足すると正常な組織が作られず体の機能維持に影響が出ます。神経伝達や脂質代謝にも関わる酵素です。
- カリウム:カリウムは、細胞の水分量及び、体内の水分の排出に関わるミネラルで、細胞の中に主に存在しています。ナトリウムとセットで、体内の水分量を調整し、体内にある過剰な水分の排出を促進させます。むくみや冷え性と言った不調の改善効果があります。
- カルシウム:カルシウムは骨や歯の主成分のリン酸化カルシウムの材料でもあり、人間の体内の筋肉や臓器の収縮に関わるミネラルです。神経伝達の正常化にも大きな働きを持ち、体の酵素の働きをサポートします。血液凝固やホルモンの分泌等、多用な働きを持ちます。
- 鉄分:鉄分は、人間の血液を運ぶ赤血球に含まれるヘモグロビンの材料として使用されます。加えて、体内に存在する酵素の材料にもなりエネルギー代謝や肝臓での解毒の働きに関わっているミネラルです。
- たんぱく質:たんぱく質は20種類のアミノ酸が複数個結合することで作られています。結合するアミノ酸が種類や配列によって様々な臓器や組織の材料になります。特に筋肉の材料として使用されるため、多くの摂取が望ましいです。食品では魚や肉、大豆に多く含まれており、様々な種類を多く摂ることが大切です。
貝類には、体のエネルギー源となるたんぱく質の他、鉄分やビタミンB群、カリウムやカルシウムなどのミネラル類を多く含んでいます。それぞれの妊婦さんへの影響について確認していきましょう。
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加熱したつぶ貝の妊婦への効果
つぶ貝が持つ主な栄養素であるタンパク質・ビタミンB群・カリウム・カルシウム・鉄分について、妊婦さんへの効果をそれぞれご紹介します。
妊娠中期以降はタンパク質量を増やして
タンパク質は体を作る上で欠かせない栄養素ですが、妊娠中は妊娠前よりも摂取量を増やす必要があります。妊娠初期・中期・後期それぞれの摂取目安量はこちらです。
- 妊娠前の成人女性…50g/1日
- 妊娠初期…50g/1日
- 妊娠中期…60g/1日
- 妊娠後期…75g/1日
妊娠中期以降、胎児の成長に合わせて摂取すべきたんぱく質量がアップします。1日50gだった妊娠前・妊娠初期よりも+10g必要量が増えて1日60gを、後期には1日75gを目安に摂ることが望ましいとされています。
ビタミンB群の各効果
ビタミンB群の中でも、貝類に含まれるB1・B2・B6・B12には、妊婦さんにとってこのような効果があります。
- ビタミンB1…糖質をエネルギーに変える時に必要
- ビタミンB2…タンパク質の代謝に働き成長を促進
- ビタミンB6…鉄分の合成を高めてつわりの吐き気を軽減
- ビタミンB12…DNAの合成をサポート
どれもビタミンBですが、それぞれに異なる働きがあります。
妊娠中は貧血になりやすい
妊娠すると赤血球が多くつくられるようになり、胎盤や胎児形成のためにお腹に送られていきます。血液量も増えるため、より多く鉄分を摂らないと貧血になりやすくなります。
特に妊娠初期は貧血が起こりやすく、 鉄分が不足することで動悸や息切れが起こり、つわりがより一層辛くなる 方も多いです。また、貧血状態が酷くなると『鉄欠乏性貧血』となることもあります。
貝類には鉄分が多く含まれているため、妊娠中の鉄分不足を解消する効果を期待することができます◎ 葉酸と鉄分がセットになったサプリもありますが、食品からも摂るようにしましょう。
カリウムは悪阻(つわり)と関係アリ!
ミネラルの一つであるカリウムは、妊娠すると胎盤や胎児に多く取り込まれるのですが、 体内のカリウム量が減ると、つわりが酷くなる と言われています。
また、カリウムは体内の塩分量を調整して尿と共に排出する働きがあるため、むくみ改善にも効果的です。妊娠後期は特に足や指がむくみやすいので、カリウムを含む食べ物は妊婦さんにオススメなのです◎
妊娠中不足しがちなカルシウム
妊娠中は、カルシウムが不足しやすいと言われています。葉酸のようにサプリで補う必要はありませんが、カルシウムは骨や歯の材料となります。乳製品や小魚・大豆などに含まれる栄養素ですが、貝類にもカルシウムが含まれています◎
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妊娠中に食べたい食材・控えたい食材・食べてはいけない食材60選まとめ
妊娠中にどの食材を食べればよいのか?どの食材を控えれば良いのか?というのは非常に気になるところです。代表的な60食材でまとめました。
妊娠中に積極的に摂りたい食材
妊娠中に積極的に摂りたい食材には、どんなものがあるのでしょうか?その食材が含む、妊娠中に摂りたい栄養素とあわせてチェックしてみましょう!
- 豚肉 …たんぱく質+ビタミンB群
- 鶏肉 …たんぱく質
- 牛肉 …たんぱく質+鉄+亜鉛
- 青魚 …DHA・EPA
- 鮭 …たんぱく質+ビタミンB6+ビタミンD
- ぶり …鉄
- かつお…鉄
- 白身魚…たんぱく質
- 貝類 …鉄+亜鉛
- 桜エビ…カルシウム
- 卵 …たんぱく質
- ブロッコリー…葉酸+カリウム
- 青菜 …葉酸+鉄+カリウム+カルシウム
- ヨーグルト …たんぱく質+カルシウム
- 納豆 …葉酸+ビタミンE
- 大豆(大豆製品) …たんぱく質+鉄+ビタミンE+カルシウム
- いちご …葉酸
- アボカド …ビタミンE+カリウム
- トウモロコシ …葉酸+ビタミンE
- グリーンアスパラガス …葉酸
- 枝豆 …葉酸
- そら豆 …葉酸
- トマト …カリウム
- もずく …ミネラル+食物繊維
- きのこ …食物繊維+ビタミンD
- 切り干し大根 …食物繊維
- もち麦 …食物繊維
妊娠前から必要と言われている葉酸やビタミン類、妊娠中に不足しがちな食物繊維やカルシウムなどのミネラル類を補える食材には、上記のようなものがあります。
これらの食材を妊娠中の食事にバランス良く加えることで、ママの体や胎児の発育に良い効果をもたらします。妊娠中は食べ物の嗜好が変化することもありますが、できる範囲で色々な食材を食べるようにしましょう!
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妊娠中に少量に控えたい食材
妊娠中の食事は栄養素のバランスが大切ですが、中には控えておくべき食べ物がいくつかあります。食中毒リスクや、食べると胎盤を通じて胎児に届き、成長に悪影響を及ぼすものなど様々です。妊娠中に控えたい食材について、確認していきましょう。
食中毒や感染症のリスクのあるもの
- お刺身
- 生卵
- ローストビーフ
- 生ハム
- ナチュラルチーズ
- 肉・魚のパテ
メチル水銀を含むもの
- 金目鯛:1回80gを週に1度まで
- メカジキ :1回80gを週に1度まで
- メバチマグロ:1回80gを週に1度まで
- 本マグロ:1回80gを週に1度まで
- エッチュウバイ貝:1回80gを週に1度まで
- くじら:1回80gを週に1度まで
- きだい:1回80gを週に2度まで
- インドマグロ:1回80gを週に2度まで
- マカジキ:1回80gを週に2度まで
- くろむつ:1回80gを週に2度まで
ヨウ素・ヒ素を含む食べ物
- 昆布 :1日1回少量
- ひじき:小鉢2杯程度を週に2度まで
カフェインを含む飲み物
カフェインを含む主な飲み物と、100mlあたりのカフェイン量は下記となります。
- コーヒー …約60mg
- 紅茶 …約30mg
- 緑茶 …約20mg
- ほうじ茶 …約20mg
- ウーロン茶 …約20mg
- ココア …約10mg
糖分を多く含むお菓子やジュース
糖分を多く含むお菓子や、甘いジュースなども妊娠中には控えたい食べ物です。甘いものを過剰摂取することで、妊娠前は糖尿病を持っていなくても妊娠期間中に糖尿病を発症することがあり、『妊娠糖尿病』と呼ばれています。
より多くの栄養を胎児に与えようとする体の自然な働きと考えられていますが、妊娠糖尿病になると胎児に合併症が出る危険性があります。
ビタミンAを多く含む食べ物(妊娠初期)
“動物性ビタミンA”を妊娠初期に摂取し過ぎると、胎児の形成異常の原因となると言われています。ビタミンAを多く含む食べ物には、下記のようなものがあります。
- レバー
- うなぎ
- あなご
塩分を多く含む食べ物
妊娠中に塩分を過剰摂取すると、『妊娠高血圧症候群』という病気になることもあります。この病気を発症する確率は、妊婦さん20人に対し1人と言われており、妊娠中の食生活が原因で引き起こされます。
妊娠34週(妊娠9ヶ月)未満で引き起こした場合は重症化リスクが高く、胎児発育不全(赤ちゃんが育たない)・常位胎盤早期剥離(赤ちゃんに酸素が届かない)・胎児機能不全(赤ちゃんの状態悪化)となる可能性があります。酷い場合は胎児の命に関わることもあるので、食事には注意が必要なのです。
妊娠中に食べてはいけない食べもの
- 生肉(ローストビーフ・ユッケ・馬刺し・お刺身・パテなど)
- アルコール
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まとめ
この記事をまとめると
- つ貝類は加熱すれば妊娠中でも食べられる
- 生焼け・刺身・お寿司は食中毒にかかる可能性があるので注意!
- 貝類による食中毒の危険性 ①:下痢による子宮収縮→流産や早産の原因に
- ②:治療に必要な薬が限られる
- つぶ貝にはタンパク質・ビタミンB群・鉄分・カルシウムなど栄養が豊富
つぶ貝は、妊娠中でもしっかり加熱すれば食べることができる食材です。今回ご紹介した栄養素以外にも、疲労回復に効果的なタウリンなど体に嬉しい栄養素が豊富なので、是非妊娠中の食事に取り入れてみましょう。生焼けに注意すれば危険性は低いので、安心しましょう。
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