これから美味しくなってくる冬の食卓に欠かせない長ネギや、秋に収穫期を迎える玉ねぎなどのネギ類ですが、中にはアレルギーを持っていてお辛い時期になってしまう方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は…
- ネギアレルギーの症状とは
- ネギアレルギーになった時の対処法
- ネギアレルギーを防ぐには?
- 花粉症と関係がある?
ネギアレルギーについて解説したいと思います。
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目次
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ネギアレルギーの症状とは
アレルギーは数多くの種類、様々な症状がありますがネギアレルギーはどのようなものなのでしょうか。
ネギアレルギーの原因物質
玉ねぎやその他のネギ類、ニラ、ニンニクの共通した匂いは「硫化アリル」という成分によるものです。人体効能では血糖値や血中のコレステロール、血圧などを下げてくれる成分である「硫化アリル」ですが、ネギアレルギーの人にとってはこの「硫化アリル」が原因となってしまいます。
しかし、硫化アリルは熱を加えるとアレルギーの発生率は0ではありませんがぐっと可能性は減ります。加熱してもアレルギー症状が出る場合は「ジアリルジスルフィド」という物質が関係しているかもしれません。
この「二硫化アリル」または「ジアリルジスルフィド」もまたネギ属の植物にみられる有機硫黄化合物です。ネギアレルギーを起こす人は、一般的な人よりも二硫化アリル(ジアリルジスルフィド)を分解する消化酵素が少ないため、アレルギー症状を引き起こしてしまうと考えられます。
この二硫化アリルは加熱しても変性せず長ネギや玉ねぎの中に残っていますので、火を通しているかどうかに関わらず食べるとアレルギー反応が出る、という場合は二硫化アリルに対するアレルギーの可能性が高いと考えられます。
ネギアレルギーの症状
ネギアレルギーの場合、鼻水や喉がイガイガするなどの粘膜症状、皮膚症状、吐き気、頭痛などの症状が出てくることがあるといわれています。
アナフィラキシー症状は危険!!
食物アレルギーで特に注意が必要なのは、アナフィラキシーショックという急性アレルギー反応です。
アナフィラキシーとは、アレルギーが原因で複数の臓器症状が急速に全身に出る状態です。アナフィラキシーショックは、アナフィラキシーの中でも、血圧の低下に伴い活動性の低下、意識障害、ときには心肺停止という状況に陥った状態のことを言います。日本でも定期的に死亡例の報告があります。
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ネギアレルギーになった時の対処法
アレルギーはいつ発症するかわかりません。突然発症してしまった時の対処法はどうしたら良いのでしょうか。
水を飲んで安静にする
アレルギー症状が食べてすぐに出た場合は、15〜30分以内に治まることが多いです。 ただし、アレルギーの種類や体調に応じて、症状が落ち着くまでの時間はそのときどきで異なります。
比較的症状が軽い程度でしたら水分を取り、安静にし様子をみてもよいでしょう。ですが油断は禁物です。呼吸がしずらくなってきたり、吐き気などが出てきた場合は緊急性がありますので救急車を呼ぶなどして病院を受診しましょう!
ひどい場合は救急車を呼ぶ・病院を受診する
食物アレルギーを発症したかも知れないと思ったら、まず速やかに病院に行ってください。命の危機を感じた場合は遠慮せず救急車を呼びましょう!必ず病院へ行って、適切な治療を受け、専門の医師に食物アレルギーかどうかを診てもらうようにしてください。
アナフィラキシーショックへの対処法
アナフィラキシーショックには、アドレナリンという薬が唯一効果的です。この薬は、発症30分以内に投与されることが理想的とされています。しかし通常30分以内に医療機関に到着することは、現場の判断の遅れや救急体制の問題で困難なのが現状です。このため、現場でアドレナリンを投与できるように開発された、アドレナリン自己注射薬(エピペン)があります。安全キャップをはずし、太ももに押し付けると針が出てきて薬が注入されます。
自己注射薬なので基本的には患者ご本人が打つものですが、保護者の方も打つことができます。ご本人が自己注射できないときを考慮し、平成20年には学校・幼稚園で、平成23年からは保育所で、教職員の方がご本人の代わりに打てるようになり、救命率を高める取り組みが広がっています。
ネギアレルギーが確定している方は万が一があった時の自分への保険としてエピペンを持っていると安心です。
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ネギアレルギーを防ぐには?
アレルギー症状は事前に防げるのであればそれに越したことはありません。
食材に火を通す
加熱すれば食べられる、という人は、ネギ類には必ず火を通して食べる、ということを徹底すればまず問題ありません。しかし加熱してもアレルギー症状が出る、という人は、同じネギ科のらっきょうやニンニクなどでも同じ二硫化アリルによってアレルギー症状が出ますので、食材には十分注意しましょう。
事前にプリックテスト・パッチテストを受けておく
やはり、自分が何を食べたらアレルギーが出るのかを知っておく必要があると思います。知ることによって事前に自分も他人も防止することができるからです。プリックテストやパッチテストを受けて自衛することが大切です。
【プリックテスト】
プリックテストは、即時型アレルギーに対する検査として、その安全性や有用性、簡便さから本邦や欧米で推奨されている検査法です。方法はプリック針でアレルゲンを少量皮膚に入れ、15分後に出現した膨疹径を測定します。
適応疾患は、花粉症・鼻アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー・口腔アレルギー症候群、ラテックスアレルギー、薬剤アレルギーなど、様々な即時型のアレルギー疾患に行うことができます。
【パッチテスト】
遅延型アレルギーは現時点において最も有用とされる検査法はパッチテストです。パッチテストは、アレルゲンを患者の健常な皮膚(背部もしくは上腕外側)に48時間貼布し、得られた反応を一定の基準のもとに判定します。
パッチテストは皮膚に接触する製品や成分、つまり、金属、外用薬、日用品(シャンプーやヘアカラー剤、香料など)、化粧品、職業性に触れる樹脂やゴム手袋など多岐にわたる物質を検査することができます。
ネギが入っていないか随時確認する
近年は食品表示義務が厳格化され、使用食材やアレルゲンの明記が明確になりました。自衛できる内容であれば自衛するに越したことはありません。
中にはネギが使われていると分からないものがお店で提供されたりするかもしれません、そんな時は店員さんに聞いて確認を取るのも手です。お店のためにも自分のためにもなりますので臆せず聞いてみてください。
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花粉症と関係がある?
玉ねぎも長ネギもユリ科の野菜です。ユリと言えば大きな黄色いおしべと服についたらなかなか取れない花粉を連想するかと思います。また、ユリの花粉症も存在します。
花粉症持ちはアレルギーを発症しやすい
特定の果物や野菜に含まれるアレルゲンの構造は、花粉のアレルゲンと構造がよく似ています。そのため花粉症の方が特定の果物や野菜を食べると、身体の中に花粉が侵入してきたと勘違いし、すでに体で作られているIgE抗体と反応、アレルギー症状を起こすのです。
花粉症の方はネギアレルギーを発症する可能性がありますので頭の片隅に置いておいてください。
まとめ
この記事をまとめると
- ネギアレルギーの原因物質は玉ねぎやその他のネギ類、ニラ、ニンニクに共通した「硫化アリル」という成分によるものです
- 硫化アリルは熱を加えるとアレルギーの発生率は0ではありませんがぐっと可能性は減ります
- 加熱してもアレルギー症状が出る場合、原因は物質は「硫化アリル」ではなく「ジアリルジスルフィド」という物質が関係しているかもしれません
- ネギアレルギーを起こす人は、一般的な人よりも二硫化アリル(ジアリルジスルフィド)を分解する消化酵素が少ないため、アレルギー症状を引き起こしてしまうと考えられます
- 二硫化アリルは加熱しても変性しません
- アナフィラキシーショックという急性アレルギー反応は命の危険に及ぶこともあるので注意が必要です
- アレルギー症状が食べてすぐに出た場合は、15〜30分以内に治まることが多いですが、アレルギーの種類や体調に応じて、症状が落ち着くまでの時間はそのときどきで異なります
- 命の危機を感じた場合は遠慮せず救急車を呼び、速やかに病院に行ってください
- アナフィラキシーショックには、アドレナリンという薬が唯一効果的です
- アレルギー症状は事前に防ぐには「原因食品に火を通す」「事前にプリックテスト・パッチテストを受けておく」「ネギが入っていないか随時確認する」とよいでしょう
- プリックテストは、即時型アレルギーに対する検査法、パッチテストは遅延型アレルギーに対する検査法です
- 花粉症の方が特定の果物や野菜を食べると、身体の中に花粉が侵入してきたと勘違いしてしまい、すでに体で作られているIgE抗体と反応しアレルギー症状を起こすのです
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