アニサキスは年間7,000件近くも起きていると言われる身近な食中毒です。海に住む魚に寄生し、その魚を食べることによって起こる食中毒ですが、どうすれば対処できるのでしょうか?今回はその対処方法や、症状・潜伏期間について着目しました。それでは、
- アニサキスの種類
- 食中毒症状と期間・対処法
- 治療法・自然治癒は可能?
- 病院に行かないケースはどんな時?
これらのテーマについて紹介いたします。
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目次
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アニサキスの種類
『アニサキス』にはいくつかの種類が存在します。形状は同じですが、生息する場所や習性に違いがあります。
アニサキス・ピグレフィー
食中毒を起こすアニサキスには、下記3つの種類があります。
- アニサキス・ピグレフィー
- アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト
- アニサキス・シンプレックスC
どれも名前に『アニサキス』が付きますが、海の領域によって生息しているアニサキスの種類が分かれています。太平洋側で漁れる魚に寄生している80%以上が”アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクト”、日本海側で漁れる魚に寄生している80%が”アニサキス・ピグレフィー”です。
アニサキスは基本的に魚の内臓部分に寄生しており、 宿主である魚が死ぬとアニサキス・シンプレックス・センス・ストリクトは魚の筋肉部分に移動 します。これに対して、 アニサキス・ピグレフィーは魚が死んでも内臓部分にとどまる習性 があります。
しかし、だからといって日本海側で漁れる魚(アニサキス・ピグレフィーがいる可能性のある魚)が安全というわけではないので注意しましょう。アニサキスを含む魚を生で食べる際は、どの領域で漁れた魚に関しても気をつける必要があります。
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アニサキスの寿命
アニサキスは魚類の体内では生き続けますが、人の体内は生息環境として合わないため、 食べてしまってから5日ほどで死滅 します。死滅するまでに消化器系の粘膜に刺入することによって食中毒症状を起こすのが、“アニサキス症”と言われるものです。
アニサキス食中毒とは?
アニサキスによる食中毒症状は、主に激しい腹痛・吐き気・下痢です。アニサキスが消化器官の粘膜に刺入することで痛みを伴い、刺入した場所によって「胃アニサキス症」と「腸アニサキス症」に分かれます。
胃アニサキス症
“胃アニサキス症”とは、生きたまま体内に入ったアニサキスが胃の粘膜に潜り込むことで激しい胃痛や吐き気・腹痛を伴う症状です。アニサキスは胃や腸の粘膜に刺入する寄生虫ですが、腸よりも胃に刺入するケースが多いです。
腸アニサキス症
“腸アニサキス症”とは、アニサキスが腸内まで到達して腸内の粘膜に潜り込むことで激しい腹痛や下痢を起こす症状です。腸アニサキス症が重症化すると、稀に腸閉塞となることもあります。アニサキスにより腸閉塞を起こした場合は、外科的処置をすることで治療されます。
ちなみに、腸アニサキス症のケースは稀で、アニサキスによる食中毒全体の5%以下となっています。
2日後に発症することも
アニサキスの潜伏期間は数十分〜十数時間 で、早ければ食後すぐに症状が現れます。食後すぐに症状が出る場合は胃に刺入するケースで、アニサキスが腸内まで到達する場合は食べてから2日後に症状が出るケースもあります。症状はいつまで続く?
魚の体内では生き続けれるアニサキスですが、 人間の体内では環境が合わないため4〜5日で死滅します 。ですが、最長で5日ほど生き続けるため、その間は症状が続くことになります。
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アニサキスの対処法
アニサキスが死滅する条件には、2つのパターンがあります。“冷凍処理”と“加熱処理”によるものです。それぞれアニサキスが死滅する温度と時間が決まっており、正しく処理すれば食中毒となることはありません。それぞれの詳しい条件について確認してみましょう。
加熱温度と加熱時間
アニサキスを加熱死滅させる際は、 60度以上で1分間以上 加熱することで、完全に危険性をなくすことができます。また、70度以上であれば1分かけずともアニサキスは死滅します。
アニサキスのいる可能性のある魚を加熱する際のポイントは、加熱温度が重要です。電子レンジ加熱だと温度が死滅温度に達しず、また加熱ムラも出るためオススメしません。しっかり火を通し熱処理するには、フライパンや魚焼きグリル・オーブンなど高温で加熱できる方法が良いでしょう。
流行りの低温調理は温度が足りずアニサキスが死滅しないので注意!
冷凍温度と冷凍時間
アニサキスを冷凍死滅させる際は、 マイナス20度で24時間以上 冷凍することで完全に危険性をなくすことができます。
家庭用の冷凍庫の設定温度は、だいたい-18度となっています。-18度だとアニサキスの死滅温度としては足りないため、24時間以上冷凍しても完全に死なないことがあるので要注意です。
家庭用の冷凍庫ではアニサキスが死ぬくらいの温度にならないので死滅しない
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アニサキスの治療法
アニサキス食中毒になった場合、その多くは激しい腹痛を伴うので医療機関で診てもらう必要があります。内視鏡検査によってアニサキスの場所を特定し、刺さったアニサキスを抜き取る処置が行われます。アニサキスを抜き取ることで痛みは緩和し、下痢など他の症状も落ち着きます。
病院に行かないケース
基本的には病院での治療をするアニサキス食中毒ですが、中には病院に行かなくても大丈夫なケースもあります。
- 我慢できる痛み
- 症状が軽い場合
生きたアニサキスを食べても、症状が軽かったり我慢できる痛みだったりすることがあります。人によっては食中毒症状が全く出ず、アニサキスを食べたことに気づかないこともあるようです。このような場合、アニサキスは体内で死滅し排出されるので病院に行かなくてもOKです。
アニサキス食中毒は自然治癒する?
アニサキスによる食中毒は、体内でアニサキスが生き続けている間症状が継続しますが、やがて死滅すると症状は治まります。アニサキスによって死亡することはなく、腹痛・吐き気・下痢・発熱が主な症状なので、軽症でれば自然治癒に任せることも可能です。
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自然排出される
人の体内でのアニサキスの寿命は4〜5日で、それ以上経つとアニサキスは死滅します。死んだアニサキスは他の食べ物とともに消化され、自然排出されるので問題ありません。体内に刺さったまま残ってしまうことはないので安心しましょう。
胃酸は効く?
“アニサキスは胃酸で弱る・死ぬ”と言われることがありますが、アニサキスは胃酸の中でも生きられる寄生虫です。胃の粘膜に刺入していくので、胃酸が効くことはありません。
熱いお茶は効く?
“アニサキスには熱いお茶が効く”と言われることがありますが、生きたアニサキスを食べてしまった場合、熱いお茶を飲んでも食中毒症状を改善することはできません。加熱によるアニサキスの死滅温度は60度以上であり、飲める温度の熱いお茶を飲んでも効果はありません。
アルコールは効く?
“アニサキスにはアルコールが効く”と言われることがありますが、こちらも効果はありません。アニサキスはアルコールに強く、2.5〜10%濃度のアルコール飲料内で 5 日間生存、14〜25%アルコール飲料内でも平均 5.6 時間生存します。
あくまでも温度の決まった冷凍処理か加熱処理でしか死滅させることができないので、それ以外の方法は効かないので注意しましょう。
正露丸は効く?
アニサキスによる食中毒症状が出た時の対処法として、正露丸を飲む方法があります。正露丸は下痢や腹痛に効果的なので、一時的な応急処置としては効果があります。
まとめ
この記事をまとめると
- アニサキスの対処法は、①加熱処理:60度以上で1分加熱
- ②冷凍処理:-20度で24時間以上冷凍
- 軽症であれば病院に行かなくてもOK
- 食中毒症状は胃アニサキス症:4〜5日、腸アニサキス症:3〜4日続く
アニサキスによる食中毒症状のほとんどは胃アニサキス症なので、発症から4〜5日は症状が続きます。痛みが強い時は病院での処置が必要となるので、あまり我慢せず速やかに医療機関を診療しましょう。
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