日本人には馴染みのある食材「あんこ」ですが、保存方法を間違えると大変なことになるのをご存じでしょうか。今回は意外と知らないあんこの正しい保存方法やあんこによって引き起こされる食中毒について以下にまとめました。
- あんこのカビを食べたら下痢・腹痛に!
- あんこの賞味期限はどれくらい?
- あんこによる食中毒とは?
- おはぎやあんこを使った和菓子の保存方法
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目次
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あんこのカビを食べたら下痢・腹痛に!
あんこと言わず、傷んだものを食べたらお腹を壊します。しかし、傷んだあんこは他の食品と違い症状が激しいものとなる時があるのです。
あんこは腐るとどうなる?
水分を多く含むあんこは比較的腐りやすい食材です。室温に放置すると比較的早く腐敗が進みます。また、あんこを作る過程で素手で触れることがあるかもしれませんし、空気中に触れることもありますよね。腐る要素は色々あります。
あんこは時間が経つにつれ水分を失いパサパサとした見た目になり、腐ると最後は緑や白のカビが生え始めます。また、見た目に変化が無かったとしても変な臭いがしたり、口にしたら酸っぱかったり、ネバネバと糸を引くようでしたら今すぐ食べるのをやめて下さい!
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あんこの賞味期限はどれくらい?
市販の物と手作りのもので賞味期限は大きくことなります。
市販のあんこの賞味期限
パッケージやメーカーによっても賞味期限には大きく差があります。これは商品に含まれる糖質の割合やあんこを容器に注入する方法によって賞味期限が異なるためです。
市販のあんこは糖度がとても高く、密封されているものが主流ですので下記のように長期保存が可能なのです。また、あんこを常温保存する場合は未開封の状態であることが絶対条件です。
- 袋入りタイプ: 60日~3ヶ月(メーカー等によっても異なります)
- チューブ型タイプ:6ヶ月~1年未満
- レトルトパウチタイプ:1年~2年未満
- 缶詰タイプ:3年
手作りのあんこの賞味期限
手作りあんこの賞味期限は冷蔵庫で保存しても「3日~1週間」が目安です。それ以上になると市販品とは違い、菌も増殖しやすくなりますので必ず賞味期限は「1週間以内」として下さい。
賞味期限前でも異臭がしたり、少し味が変わっていた場合は賞味期限切れとして、食べるのをやめて下さい。
賞味期限切れはいつまで食べられる?
賞味期限が1~3日過ぎた未開封のあんこは、メーカーなどの見解ではまだ食べられる状態であると言われています。しかし臭いや味に少しでも異変を感じたら食べることは中止して下さい。
開封後の場合は冷蔵で1週間以内を目安に消費するようにして下さい。
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あんこによる食中毒とは?
適切な保存方法をとらずに食品を管理していると食中毒のリスクは高まります。
原因はセレウス菌
あんこの食中毒はセレウス菌によるものです。製造時、あんこを調整した際に室温放置などでセレウス菌が増殖し毒素を産生することによって起こります。
セレウス菌は28℃~35℃の温度帯で増殖しやすいことから7~9月にかけての夏場は特に注意が必要となります。
食中毒症状
セレウス菌による食中毒症状は嘔吐型(細菌性毒素型)と下痢型(細菌性生体内毒素型)に分かれます。日本のセレウス菌食中毒は嘔吐型(毒素型)が大半を占めています。
何時間後?
嘔吐型は一般に潜伏期が短く(30分~5時間、普通1~3時間)、激しい嘔吐が特徴となっています。この嘔吐型はブドウ球菌食中毒に症状が似ていて、食物中に産生された毒素セレウリドという毒物によって発病します。セレウリドは100℃30分の加熱でも不活化しませんのでセレウリドを作らない対応をしなければなりません。
一方、下痢型は嘔吐型より潜伏期が長く(8~16時間、普通10~12時間)この型の食中毒はウェルシュ菌食中毒に症状がよく似ていて臨床的には区別できません。この下痢型は食物の中に増殖した生菌を摂取して発病します。
対処法は?
セレウス菌は熱に強い芽胞を形成し、加熱調理をしても菌の一部が生き残って放冷中などに増殖してしまうため、調理済みの食品は長時間保存しない等の対策が重要です。一度に大量調理して保管する食品には特に注意して下さい。
セレウス菌は28℃~35℃の温度帯で増殖しやすい菌です。放冷する時は小分けをするか、清潔な容器に移し、できるだけ早く温度を下げることが重要です。調理後に保管してから提供・喫食しなければならない場合は調理後は2時間以内に冷蔵庫に入れるようにし、8℃以下で冷蔵保管、もしくは55℃以上で保管しましょう。
死亡することもある?
下痢型(細菌性生体内毒素型)は腹痛・下痢等の症状が表れた際、抵抗力の弱い方が感染すると急性肝不全を起こす可能性があります。過去の事案でも死亡例がありましたので注意が必要です。
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おはぎやあんこを使った和菓子の保存方法
早い消費が基本の和菓子ですが、余ってしまうという話をよく耳にします。そんな時は以下の方法をお試しください。
なお、製造する際は素手で作らない、使い捨て手袋を装着し製造していることを前提としてお話します。
常温保存
おはぎの場合は密閉容器に入れ、室温20℃以下で直射日光の当たらない冷暗所にて保存することによって半日~1日程度おはぎの品質を保つことができます。常温保存のおはぎは「作ったその日の内に食べきる」のであれば、問題ありません。
和菓子はお重箱か陶器の蓋物あるいはプラスチッ ク等の密閉容器に入れて常温で三日間程保存が可能です。
冷蔵保存
おはぎは中に餅やごはんが使われていますので実は冷蔵保存との相性がとても悪いです。冷蔵保存は不可能ではなく、密閉できる容器に入れ冷蔵することで1~2日は保存することができますが風味は落ちますので早めに食べきるようにして下さい。
和菓子もまた、でんぷん系の材料を使ったものが多いので、冷蔵することによって乾燥します。乾燥しないようラップなどにくるみ、早めの消費をして下さい。
冷凍保存
おはぎも和菓子も安全に保存するには冷凍保存が一番良い方法です。家庭用冷凍庫の温度は-18℃が基準となっており、菌の繁殖危険温度帯やごはんの劣化温度を避けられるため、おはぎも和菓子も保存することができるのです。
冷凍保存の際は、おはぎや和菓子を1つずつラップで包み、ジッパー付きの冷凍保存用袋に入れることで1ヶ月ほど保存可能です。
解凍は「自然解凍」をして下さい。食べる予定の2~3時間前に冷凍室から室内または冷蔵庫へ出しておくと程よく解凍されます。解凍しましたら当日中の消費をお願いします。
まとめ
この記事をまとめると
- あんこは徐々に水分を失いパサパサとした見た目になり、やがて腐ると緑や白のカビが生え始めます
- あんこの見た目に変化が無かったとしても変な臭いがしたり、口にしたら酸っぱかったり、ネバネバと糸を引くようでしたら今すぐ食べるのをやめて下さい
- あんこの食中毒はセレウス菌によるもので、食中毒症状は嘔吐型(細菌性毒素型)と下痢型(細菌性生体内毒素型)に分かれます
- 嘔吐型は一般に潜伏期が短く(30分~5時間、普通1~3時間)、下痢型は嘔吐型より潜伏期が長い(8~16時間、普通10~12時間)
- セレウス菌は28℃~35℃の温度帯で増殖しやすい菌なので、調理後に保管してから提供・喫食しなければならない場合は8℃以下で冷蔵保管、もしくは55℃以上で保管して下さい
- おはぎや和菓子の保存方法は当日であれば室温保存、長期間であれば冷凍保存がおすすめです
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