メジマグロは色々な食べ方ができるマグロの一種ですが、メジマグロを食べて起こり得る食中毒には、どのようなものがあるのでしょうか?今回は、
- メジマグロで食中毒になる原因
- メジマグロに付きやすい寄生虫とその特徴
- 対処法は?加熱温度・冷凍の死滅条件
これらのテーマについて紹介いたします。
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目次
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メジマグロとはどんな魚?
特徴
“メジマグロ(目近鮪)”はスズキ目サバ科マグロ属に属し、「クロマグロ」と同じ魚を指す出世魚です。大きさによって呼び名を変えていて、メジマグロはクロマグロの小さなサイズのことです。
メジマグロと呼ばれるのは体長1m、体重30〜40kg以下のものを指すことが多く、それ以上のサイズのものはクロマグロと呼ばれるようになります。
メジマグロは大きくなるとクロマグロ(本マグロ)になるため、メジマグロを獲りすぎるとマグロの資源が減ってしまうものとして、“メジマグロは食べるべきれはない”とも言われています。
メジマグロは鮪の稚魚なので赤身魚ですが、濃い赤色ではなくピンク色が強い魚です。脂がたっぷりのっていることはなく、さっぱりとした鮪の味わいです。
旬の時期
メジマグロの旬の時期は、冬の時期となります。魚は冬に脂がのることが多いですが、メジマグロに関しては脂があまりのっていません。しかし、鮪の稚魚なので味はしっかりマグロの味です。
生産地
メジマグロは、主に北海道から新潟県にかけた日本海側で獲ることができます。メジマグロを獲ることは本マグロ(成魚)の数を減らすことに繋がってしまうので、あまり獲らない方が良いという声も上がっています。
食べ方
メジマグロの食べ方としては、お刺身や煮付け、ユッケ、唐揚げ、ステーキなどがあり、調理法のバリエーションはかなり豊富です。
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メジマグロによる食中毒は?
メジマグロはお刺身や漬け丼など、生で食べることの多い魚です。生で食べるにあたり、注意したいのが食中毒。しっかり処理されたメジマグロであれば食中毒となる可能性は低いですが、処理が甘かったり、傷んでいたりすると腹痛や下痢・嘔吐といった食中毒症状を引き起こします。
メジマグロによる食中毒の原因として考えられるものは、
- アニサキス…食べると激しい腹痛・嘔吐・下痢などの 食中毒症状を引き起こす危険なもの です。
- クドア…食後数時間後に嘔吐・下痢などを発症しますが、一時的なものでアニサキスほど危険性は高くありません。
ちなみに、 養殖物にはこれらの寄生虫がいることはほとんどありません 。海とは別の場所で養殖されている魚は、食べているエサや環境が決まっているので物理的にアニサキスを食べる機会がないためです。
それでは、アニサキスとクドア、それぞれの特徴について詳しく見てみましょう。
クドアってどんな寄生虫?
引用:schoowell
クドアは主にマグロ類やヒラメに寄生している寄生虫です。特定の条件下で発生すると言われており、食べると食中毒症状を引き起こします。
見た目・大きさ
寄生虫は肉眼で確認できるサイズのものが多いですが、クドアに関しては約10マイクロメートルで 肉眼で見ることはできない小さなサイズの寄生虫 です。
食中毒・害は?
生きた状態のクドアを食べると、食後数時間後に嘔吐・下痢・腹痛といった食中毒症状を引き起こします。一時的なものなので症状はしばらくすると落ち着き、人の体内に寄生することはありません。
どこに寄生している?
クドアは魚の筋肉部分に寄生しています。筋肉部分とはお刺身などで一般的に食べる部位なので、生食する際は注意が必要です。
クドアの対策・予防法は?
クドアは加熱と冷凍で死滅する寄生虫なので、死んだものは食べても害がありません。加熱と冷凍には、それぞれ温度と時間の条件があります。
- 加熱…75度で5分以上の加熱
- 冷凍…-15度から-20度で4時間以上の冷凍
上記の方法でクドアは死滅するため、生食する場合は一度冷凍すると安全です。加熱に関しては中心部分の温度が75度になる必要があるので、生焼けには注意しましょう。
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アニサキスはどんな寄生虫?
魚の体内に潜んでいる寄生虫の中でも代表的なものは“アニサキス”です。アニサキスが人間の体内に入ると様々な食中毒症状を起こすわけですが、そもそもアニサキスはどんな特徴を持つ寄生虫なのでしょうか?
アニサキスとは?
アニサキスは海に生息する小さな寄生虫で、クジラやイルカなどの体内で生まれます。アニサキスの始まりは卵の状態で、クジラやイルカの排泄物と共に海に放出されます。
その後、アニサキスは海中で幼虫のような形状に羽化します。この時点でのサイズは大きくても長さ3cmほどです。その小さなアニサキスの幼虫は最初の住処として甲殻類などの動物プランクトンに寄生し、そこから生まれる食物連鎖によって寄生を繰り返します。
アニサキスが寄生している小さな甲殻類を小魚が食べ、その小魚を大きな魚が食べ…その魚を私たち人間が食べることによって、アニサキスによる食中毒を発症することとなります。
特徴 | 半透明の白色で糸状で魚に寄生している |
寿命 | 人の体内に入った後は約1週間 |
幼虫のサイズ | 長さ2~3cmで幅0.5~1mmくらい |
成虫のサイズ | メス:6〜10cm / オス:3〜9cm |
良く発見される魚 | サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類 |
アニサキスの色は半透明の白色で、幼虫のサイズは2〜3cmの糸状なので、気づかず食べてしまうことも多いです。
魚など宿主の体内では成虫に成長しますが、人間の体内はアニサキスにとって環境が合わないため成虫にはならず、1週間以内に死滅します。しかし、その際アニサキスが胃や腸内の粘膜に潜り込むことによって激しい激痛などの食中毒症状が起こります。
アニサキスの見つけ方|目視は可能?
アニサキスは半透明の白色なので見にくいですが、大きさは幼虫でも長さ2〜3cmなので目視で確認することはできます。白身魚の場合は色が同化しているので発見しにくいですが、赤身魚であれば目に付くことが多いです。
アニサキスの発生率が多い部位
アニサキスの発生率が多い場所・部位は下記になります。アニサキスが寄生しやすい魚を捌く時は、この部位に注意してみてください。
- 内臓
- 筋肉の部分
- 卵
アニサキスは魚の内臓部分を好んで寄生します。付着したら魚の体液をエサとして住み着くのですが、これは寄生している魚が生きている時の寄生場所です。その魚が死ぬと、アニサキスは魚の筋肉部分に移動していきます。
私たちは魚の内臓を生で食べることはないので魚が新鮮なうちはアニサキスを食べずに済むことが多いですが、 魚が死んでから時間が経っていると私たちが食用としている魚の筋肉部分に移動しているので、食べてしまう可能性が上がる のです。また、魚の卵に寄生していることもあります。
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なぜアニサキス(寄生虫)を食べると食中毒になるの?
なぜ食中毒になるの?
アニサキスによる食中毒は、みぞおちや腸の激しい痛みや嘔吐を生じます。これはアニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こすからです。
どんな症状になる?何時間後から症状がでる?
アニサキスが胃の粘膜に刺入した時はみぞおち辺りに激しい痛みを生じ、腸の粘膜に刺入した時は下腹部に激しい痛みを生じします。痛みが出るのは主に胃・腸ですが、そのほとんどが胃のケースであることが多いです。
- 急性胃アニサキス症(ほとんど)…食後数時間後~十数時間後に、みぞおちの激しい痛み・悪心・嘔吐を生じる
- 急性腸アニサキス症(稀)…食後十数時間後~数日後に、激しい下腹部痛・腹膜炎症状を生じる
- 消火器外アニサキス症(稀)…消化器官を突き破り他の部位に移動することで症状を生じるが、非常に稀なケース
- アニサキスアレルギー…通常無害であるアニサキスの死骸でも、腹痛や蕁麻疹などのアレルギー症状を生じる
アニサキスアレルギーはアニサキス症とは別物です。アニサキスアレルギーはアニサキスに含まれるタンパク成分に反応して発症するので、アニサキスがいるかどうか、死滅できているかどうかは関係ありません
アニサキスの症状が出る確率はどのくらい?
アニサキスの症状が出る確率は、あるレポートによると 『1,000万円の宝くじが当たる確率と同じくらい』 と言われています!
その理由というのは、アニサキスによる食中毒の年間発生件数と全国民が1週間に1度お刺身を食べると仮定して計算した数値です。診療報酬明細書から計算した年間のアニサキス発生件数は、約7,000件にも及ぶと言われています。
「全国民(1億2,500万人)」が「毎週1度生魚を食べて(年間約50回)」年間7,000件発症した場合、1/90万の確率でアニサキスによる食中毒を発症していることとなる
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寄生虫(アニサキス)から確実に予防する6つのステップ
食べると激しい腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こすアニサキスですが、確実に予防できる方法はいくつかあります。予防するための6つのステップは下記になります。
アニサキスから身を守る6つのポイント
- 新鮮な魚を選び早めに内臓を取り除く
- 目視で幼虫の有無をチェックする
- しっかりと噛むようにする
- 刺身(生食)を控える
- 冷凍する(-20℃で24時間以上)
- 70℃以上で加熱する
アニサキスによる食中毒を起こさないポイントは、主に鮮度・加熱・冷凍です。アニサキスは加熱や冷凍すれば死滅し、死滅したものは食べてしまっても体に害はありません。
新鮮な魚を食べるに越したことはないお刺身やお寿司ですが、一度冷凍することでアニサキスが死滅するので安全に食べることができます。また、アニサキスが死滅する加熱温度が決まっているので生焼けにも注意が必要です。
確実にアニサキスを殺す2つの方法には
確実にアニサキスを殺すには冷凍と加熱処理が確実です。
- 冷凍で死滅させる (-20℃で24時間以上冷凍)・・・アニサキスを死滅させる方法の1つは“冷凍処理“です。-20度で24時間以上冷凍することで、完全にアニサキスは死滅します
- 加熱で死滅させる(70℃以上、または60℃なら1分)・・・70度以上で加熱することでアニサキスは死滅します(60度でも1分加熱すれば死滅)
冷蔵庫の温度・低温調理には要注意
冷凍と加熱処理で確実に撃退することが可能ですが、以下の2点の注意が必要です。
- 家庭用の冷蔵庫・冷凍庫ではアニサキスが死ぬくらいの温度にならないので死滅しない
- 流行りの低温調理は温度が足りずアニサキスが死滅しないので注意!
食中毒などにならないためにも確実な対策をしておきましょう。
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まとめ
この記事をまとめると
- メジマグロには、アニサキスやクドアといった寄生虫が付着していることがある
- 対処法としては、①しっかり加熱すること ②一度冷凍すること
- 養殖物であれば寄生虫のリスクはかなり少ない!
メジマグロは食べ方が豊富な魚ですが、処理が甘いと寄生虫による食中毒症状を引き起こしかねません。加熱調理したり、生で食べる場合は一度冷凍するなどして、しっかり食中毒対策を行うようにしましょう。
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